5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

醤油かたまりか

2018-05-20 21:24:35 | たべもの

昔、同じ町内に我が家が利用していた醤油屋があった。当時は醤油屋とは云わず「たまり屋」で、屋根には「みそ、たまり」という看板が掲げられてあった。狭い入口を入ると地場で醸造した豆味噌やたまりを入れた樽が並んで、客は欲しい量だけを量り売りしてもらうのだ。ブランドは豊橋のイチビキ。母親は味噌を入れた丼鉢や醤油の一升瓶を重そうに抱えて帰ってきたものだ。

世代も変わって「たまり屋」のあった場所には今様の平成式文化住宅が座っている。きっとその家の若い主は、そこが昔たまり屋だったという事実を知ってはいないのかもしれない。

我が家も今ではナショナルブランド、野田の醤油をスーパーで買ってくる。味噌は赤味噌だから岡崎ローカルの量産品だ。年寄の味覚変化か近頃の醤油はやけに塩辛く感じる。辛さを求める時代的な要求なのかもしれない。甘口の地場産のたまりはもうなくなったのかと思ったらさにあらず。今日のNHKニュースには岐阜のたまり醸造業者について取材している。

リードは「木おけのしょうゆ 製造見学会」。岐阜市にある山川醸造では、今でも木桶で仕込みを行う伝統製法で醤油を作っており、年二回の一般見学会を開いているのだそうだ。今日がその見学日。
人の背よりも高い杉の大きな木桶が並ぶ蔵の前で、2年間にわたる仕込み作業による豆の発酵プロセスなどが説明されたとある。搾りたてのたまりの味見をしたり、アイスクリームに使う専用の醤油を体験したりと、見学者にはいろいろな発見があったようだ。

全国には1200軒ほどの醤油醸造会社があるが、今も木桶を使うところはわずか40軒だということだ。昔住んでいたところの裏手は日本酒の醸造蔵だったから、大きな木桶の並ぶ光景や蔵特有のカビのにおいなどは今でもはっきり覚えているが、若い世代には木桶蔵に入ること自体が初体験だという者もきっと多かろう。

「一般的な醤油と東海地方特有のたまりとの違いは原料と熟成の期間だ。醤油に使うのは大豆と小麦がほぼ半々づつ。一方のたまりは大豆100%だ。仕込み用の水もたまりの方が醤油の半分から8割程度と少ない。これがたまり特有のどろりとしたコクを生み出す。熟成もやはりたまりの方が長く、一年以上をかけてゆっくりと熟成が進む結果、濃い色合いとまろやかな味が出来上がる」とは山川醸造のHPからの受け売りである。

スーパー買いの醤油を塩辛く感じ出した高齢者所帯としては、もう一度、地元のたまりを使ってみる手もありそうだと考えている。スーパーの利便性かしょうゆの味か、悩むところである。



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