5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

3年で辞める若者

2007-05-14 21:54:19 | Weblog

城繁幸著「若者はなぜ3年で辞めるのか」を読み終えた。



時代の若者の考え方が覗けるかとおもったのだが間違い。若者側から書かれたものではなく、「崩れかけている日本の年功序列制度が原因で未来に対する閉塞感から若者は3年で辞めるのだ」というだけのことだから、これなら200ページでなくてその3分の1程度でちょうどいいくらいだ。裏表紙には人事コンサルタントを生業とするとあるから、総論的なのが講義用にちょうどいいのかもしれない。



「閉塞感」のキーワードで、小津安二郎の映画、「大学はでたけれど」というのがあったなあと思い出した。これは1929年の世界大恐慌の年に封切られている。当時の不況による就職難に苦労する大学生を描いて評判になったらしい。



その後も、1950年代には敗戦後の就職難時代があり、、自分の就職活動期1965年は東京オリンピックの一年あとでも就職口はさほどに多くはなかった。いざなぎ景気の直前で、いわば去年の就職学生と同じような状況だった。



若者の就職難はその時々の景気に大いに影響されて来ているのだ。先行きが読めない時代の閉塞感は何も今の若者だけの専売ではない。これで、「3年で辞める現代の若者」を説明することには無理がありそうだ。



昔は就職が社会人の仲間入りであり、自分で金を稼ぐことのスタートで、文字通り人生の大問題だったわけだが、今は、アルバイトもフリーターもあわせて仕事に対するオプションが増えていて、いわば耳学問・目学問が先行しすぎて自我膨張の若者たちばかりになったことも「3年で辞める」大きな理由のひとつだろうし、破綻しそうな社会保険を回避しようと定年が65歳に上昇し、組織の中でシニアが延命しそうな現状では、若者の活躍のチャンスが相対減している事実も理由として挙げられるかもしれない。



年功序列制度や社会保障の問題、少子高齢化やニート問題など、すべてが戦後60年の構造的問題になっているのはたしかだ。日本人の「生産性の低さ」がときおり国際比較されるが、安倍首相は年寄り議員や役人の年功序列にどう切り込みをいれていけるのだろうか。安倍首相も若くはない。




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