サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

29年前の記憶

2018年11月18日 23時09分35秒 | サキさんとの記憶
今日は、サキさんの大好きな息子の誕生日。

もう29才になる。

29年前の、木枯らし1号の吹いた寒い日だった。

夕方、陣痛の始まったサキさんを車に乗せ、病院に向かった。
病院の前の細い私道(その病院の私道)で、対向車とのすれ違い。ギリギリですれ違うことができず、あせっていたら対向車にクラクションを思いっきり鳴らされ、さらにあせる。車の左側をフェンスにこすりながらなんとかすれ違った。その時、サキさんの陣痛が詰まったのを覚えている。おなかの中の息子もさぞかしびっくりしたんだろうな。

そして、病院へ。しばらく控室で様子をみることになった。途中、腰が痛いと訴えるサキさんの腰やら背中やらをマッサージ、というか撫でるのだけれど、その都度「ギャー。痛い。もっと、優しくやって」と怒鳴られまくる。

そんな時、隣の控室から、サキさんの声よりはるかに大きなうめき声が。思いっきり責められて悲鳴を上げているような声に、一瞬サキさんも私もピタッと動きを止めてしまうほどだった。「隣で何か変なことでもしとるんやろか」と思ってしまうほどの強烈なうめき声・絶叫だった。サキさんの叫びが可愛らしく聞こえるほどだった。

そして、いよいよ分娩室へ。

病院の待合室で、駆けつけてくれたお姉さんと待っていた。
「おぎゃあ、おギャー」
とても、か弱い声だったのを、はっきりと覚えている。

あれから29年。
長いような短いような。

身体の弱かった息子。
いつも点滴をしていたイメージがある。(サキさんにまかせっきりだったので、はっきりとした記憶出ないところが辛い)
アトピー性の皮膚炎もあった。
これは、だんだんひどくなり、小学校の夏休みの登校日に日傘をさして通ったこともある(そうだ)。
さらには、いじめ。ランドセルに石を詰められたこともあった(ようだ)。

そして、アスペルガー症候群。
軽い学習障害なのだろう。
バイバイと手を振る時の息子の手のひらは、息子自身のほうを向いている。(相手の手のひらが見えるので、自分の手のひらも自分に見えるようにしているのだろう)
「行ってきます」「行ってらっしゃい」も、順番で覚えているので、こちらが先に「行ってきます」と、出かける息子に言うと「行ってらっしゃい」と必ず言ってしまう息子でした。(そんな風に遊ぶでいかんのだけれど、ついつい)

そんな息子。まだ独り身です。
優しい子だから、いいお相手が見つかるといいのですが。
私に似て、少し頼りないので、サキさんのようなしっかりした姉さん女房がみつかると心強いのですが。


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4 コメント

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おはようございます。 (あけ)
2018-11-19 08:51:20
ブログを、読みながら、娘が誕生した当時を、思いだしました。私が、陣痛で苦しんでるのに、主人は、私が、食欲ないだろうと、私の分の病院食を食べて、ムカつきました。(笑)娘も、今は、ましになりましたが、アトピーで、保育園に出かける前に、小さな手で、自分で薬を塗る姿を見て、可哀想で、辛かったです。娘は、平成二年産まれ、息子さんより、一つ下ですね。息子さん、これからも、未来に向かって、生き生きと、ご活躍されますように…
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運命の人! (シラキ)
2018-11-19 12:07:37
何か目に浮かぶようです。
慌てた様子で車を擦ってしまうなんて・・・^_^

長男さんで遊ぶことができるなんて凄いですね。サキさんに脱帽です。
澤井さんにとってサキさんは特別なんだという事が本当によくわかります。
運命の人ですね。

凄く納得しました。
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Unknown (サキさんの夫)
2018-11-19 21:19:00
あけさん、ありがとうございます。
娘さんも、アトピーだったんですね。自分で薬を塗っている姿を見るのは辛かったでしょうね。息子もやっぱりちょっとかわいそうでした。
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Unknown (サキさんの夫)
2018-11-19 21:23:00
シラキさん、ありがとうございます。
サキさんは、運命の人と言えば運命の人ですが、同時に大恩人ですね。
私を育ててくれた人でもあります。
大事にしないといけませんね。
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