サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

そこにいるのに・・

2021年10月23日 14時07分10秒 | 今日のサキさん
 久しぶりだった前回の面会から2週間、今日サキさんの面会にお姉さんと行ってきました。


 ピンクの服を着せてもらって暖かそう。でも、腕は乙女チックに胸の前で固まっている。
 
 今日のサキさんはほとんど動かなかった。ときおり握ったこぶしがけいれんしたかのようにピクっとするぐらい。


面会終盤のサキさん。からだが全体に右に傾きかけているが、来た時とほとんど同じポーズのまま。「サキさん、元気かね?寒ないかね?」こちらの問いかけに、マスクが少し動く。ただでさえ聞き取りにくいのが、マスクで余計にわからない。でも何か聞こえた。声のようなうなりのような、ため息のような。何かを応えてくれていた。

 会話のできないサキさん。でも、それでも声をかける。それしか出来ないから。目も開けてくれないから。それでも伝えたい。心から伝えたい。一方通行でもいいから・・・一生懸命に声をかける。

 それしか出来ないから。

 早く以前のように、サキさんに触れてみたい。

 目の前にいるのに、そこにいるのに。手を伸ばせば届く距離にいるのに、サキさんに触れられない。

「時間です」
スタッフさんの声であっという間の時間が終わりを告げる。