サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

サキさんの想いはどうだったんだろう

2017年01月10日 19時35分36秒 | 介護日記
日曜日に聞いた若年性認知症当事者の方のお話の続きです。

 本当に初めての経験でした。それまでは機会があっても聞きに行くのを拒んでいました。なかなか素直に聞けない自分がいました。
 「本人の想いなんか、十分わかっている。こっちだって毎日毎日一緒に生活しているんだ。サキさんの想いは私の想いだ」今さら話を聞かなくたって十分知っています。そういう話は、施設の方、病院の方などのいわゆる専門職の方のためのものだと思っていました。

 しかし、実際に話を聞いてみると、やはりそれぞれの苦しみ、悲しみ、辛さがあったんだと改めて感じさせてもらいました。そして、私はサキさんの想いを一体どれだけ分かっていたんだろう、サキさんの想いにどれだけ寄り添ってあげられたのだろうと、自責の念も湧いてきました。
 私と一緒に居られることが、サキさんの一番の幸せなんだと思っていました。実際サキさんも「お父さんと一緒だからうれしい」と言ってくれていました。でもサキさんも、もっともっとやりたいことがあったはずです。

 身体を動かすことが好きだったサキさん。「太極拳」も習っていました。太極拳の先生が体調を崩されたのでお休みになってしまいました。別の場所を探してあげればよかったな。
 おしゃべりも大好きだったサキさん。家にいるは、ほとんど話を聞いてくれない(聞き流してしまう)お父さん。もっともっとおしゃべりしたかったんだろうな。そんな場所があれば、探してでも出かければよかったな。
 着付けの免許も持っていたサキさん。きっともっともっといろんなことにチャレンジしたかったんだろうな。

 介護保険を利用するようになって、サキさんが出かけたのは結局、デイサービス。
 お年寄りの中に、一人だけ若いサキさんがポツリと。それでも話し好きのサキさん、お年寄りの世話の好きなサキさん、一生懸命その中で自分の居場所を探そうとしていたんだろうな。

 やっぱり、若年性認知症の人の居場所が必要です
 さらには、そこが働ける場所、みんなのできることを分担して頑張って、いくばくかの報酬ももらえるような、そんな場所が必要です。

 そんな場所、ないかな。なければ作るか。でも作るには・・・宝くじでも本気で買いますか。

 最後に、日曜日に当事者の丹野さんが言われた言葉
「皆さんがやってみて、楽しいと思えることをやって下さい。毎回、折り紙では」
当事者の交流会などで、本当に参加者の方の事を思って内容を決めているだろうか。介護施設でも同じだと思います。先ず自分達がやってみて「楽しい」と思えるものを提供しているだろうか。

 歌は好きだったけど、演歌は大っ嫌いだったサキさん。どんな思いで高齢者のカラオケを聞いていたのでしょう。