礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

入学試験は個人主義、利己主義の猛訓練(石原莞爾)

2018-01-16 08:00:46 | コラムと名言

◎入学試験は個人主義、利己主義の猛訓練(石原莞爾)

 本日も、石原莞爾著『国防政治論』を紹介する。本日、紹介するのは、同書の第一部「国防政治論」第三章「国防国家の政治」第二節「人」の「三、教育」である。

  三、教 育
 人間の能力を発揮するために教育が一番大切であります。然し今までは、学校即ち教育と思つてをりましたが、これは今日以後はいけません。社会全部即教育でなければいけない。百姓さんは野良仕事をやる田圃が道場であり、それが即教育であります。工場で物を作ることが教育であります。教育即ち建設、建設即ち教育である。学校教育は、その教育の一つの部面であります。このやうに教育の気持を変へてしまふ。今日の学校制度は明治の勃興の大きな原動力であります。然し同時に大正以後今日の廃頽の原因が同じく学校教育であります。金がないから学校に入れないといふ制度は、大体今日以後には許されないことであります。さうして学校万能学歴万能でありますから、少し金のある者は、全部学校に入りたい。無茶苦茶の競争をやる。競争も必要であるが、度を越えると大きな害をなします。今日は、中学校以上に入つた連中は大体利己主義者だ。如何に素質のいゝ人間でも、中学校の入学試験で、親と国民学校の先生から挟み撃ちを食つて、個人主義、利己主義の猛訓練をやられる。なんとかして中学校の入学試験に入らうと思つて、恥も外聞もない、個人主義の猛訓練を受けるのであります。でありますから、学校の教育があればあるほど社会に国家に奉仕すべきものであるのに、却つて田舎の学問のない者ほど愛国的であり、社会に対しても己を捨てゝ奉仕するといふ逆の状況を呈してをるのであります。
 それから今の教育の非常に悪いことは、悪平等といふことです。出来る者も出来ない者も一緖に教へる。私は小学校で割合出来る方でしたが、授業は一番出来ないビリを相手にするから、五十分の時間退屈して困る。仕様がないから、先生の隙に乗じて前の頭をコツンと殴る。それから先生があまり油断してをると、奇襲作戦の稽古として、二三人おいた先を殴る。大体成功しますけれども、時々発見される(笑声)。「立てツ、家へ帰つちやいかん」とといふ。確かに自分が悪いと思ひますけれども、どつか割切れないものがあつた。私の頑迷といはれる性質は、小学校で猛訓練をされた結果です(笑声)。教育は引つ張つて行くことです。然るに抑へて縮まらせる。こんな出たら目のことはありません。それから、貧乏な日本が大量の生産であります。なるべく安く多くの者に学校教育を受けさせる資本主義的経営の学校によつて、生徒から搾取しよう利潤を取らうといふ学校営業といふ営業者が出来て、出たら目の先生を集めてやるから、徹底せる訓練は無論出来ません。お客さんと商売人の間です。大体先生を敬はない学校に教育はあり得ない。この間日本主義を標榜してゐるある雑誌を見ると、日本主義者と自称する学生が、自分の先生の悪口を書いてゐる。これもインチキだ。それほど良心があるならば学校を退校すればいゝ。日本主義者も食はんがために学校へ入つてゐる。とても大きな矛盾があるのであります。さういふだらしがなく、而も勤労しない学校教育の結果、池本氏の話によれば農学士は百姓では飯が食へない人が多いのであります。この間或る工業技術員の養成所でこの話をいたしますと、そこにゐる指導員が真赤な顔して、それは工学土も本当のことを言へば腕では飯が食へず、学歴で飯を食つてをるのですとの話でした(笑声)。これが今日の大きな欠陥である。だから、学校を出た者はぐるになつて、政治的威力の下にインテリ的の贅沢な生活をやつて行かうといふのが今日の社会であります。
 従つて学校を出てからの仕事は、各人の性格の適、不適ではなく、全部どれが一番儲かるだらうかといふことによつて決定されるのであります。こんな状態では国民の力を国防国家として最大限に発揮する道からは遠く外れてゐるといはなければなりません。【以下は、数回のちに】
 
 あいかわらずの漫談調である。しかし、ここで石原莞爾が展開している現代教育の批判は、ラジカルであり、かつ、かなり的を射ている。これは、彼が、教育界とは無縁の人間だったからこそ持ちえた視点であり、退役軍人という責任にない立場だからこそできた発言だったと思われる。
 このあとも、まだまだ、石原莞爾の教育論は続くが、この紹介は、数回をおいた後に。

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1 コメント

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Unknown ( 伴蔵)
2018-01-21 23:40:48
私も現代教育の欠陥に関して、石原莞爾と大体同じような考え方を抱いています。

 特に今は、保護者の顔色をうかがい、偏差値イコール教育と勘違いしている不勉強な教員が非常に多く、彼らは石原莞爾さんの爪の垢を煎じて飲むべきであると痛感しています。

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