礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

高橋是清口述『高橋是清自伝』(1936)を読む

2023-07-03 01:31:13 | コラムと名言

◎高橋是清口述『高橋是清自伝』(1936)を読む

 先日、神保町の某古書店で、高橋是清口述・上塚司(うえつか・つかさ)手記『高橋是清自伝』(千倉書房、1936)を入手した。本文806ページ、古書価100円。
 この本は、1936年(昭和11)2月9日に初版が発行されたが、今回、入手したのは、同月13日付の「二十五版」である。なお、高橋是清が、叛乱軍の凶弾に倒れたのは、同月26日のことであった。
 まだ、ところどころ拾い読みしている段階だが、〔九〕「旋風時代の国情」の章に、「ボアソナードの条約改正意見」という節があって、これが非常に興味深かった。本日以降、この節を紹介してみたい。

   ボアソナードの条約改正意見
 私は前田〔正名〕の依頼で、その意見書を携えて井上毅〈コワシ〉氏を訪れた。折柄【をりから】井上氏は風邪で床についてゐられたが特に病床に引いて私に面会された。
 前田依託の意見書を差出すと、氏は親しく手に取つて静かに一読し『誠に結構だ』といひながら二、三の文句をなほしてゐられたがすぐに話頭【わとう】を転じて、当時の中心問題たる条約改正に及び色々と意見を述べられた。さうしてやがて手文庫【てぶんこ】から一通の書類を取り出して『これは極【ごく】内密に前田に見せてくれ』とて託された。
 その書類こそ条約改正に関する井上毅氏と当時司法省のお雇【やとひ】外人ボアソナード氏との対話の筆記であつた。前田君の読後、私が又それを複写して置いたが、今においてこれを見るに、実に得られざる史料である。

 ここで、その「得られざる史料」が引用されるわけだが、その紹介は次回。

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