礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

仲木貞一『教育映画物語』(1928)の「はしがき」

2013-05-08 08:09:42 | 日記

◎仲木貞一『教育映画物語』(1928)の「はしがき」

 昨日の続きである。本日は、小学館全集第七七巻、仲木貞一『教育映画物語』(一九二八)の「はしがき」を紹介する。

 はしがき
 教育映画は分つて、学校教育に資する物と、一般社会に資する物との二種にするのが普通です。
 そこで、此所〈ココ〉に集めた物語は、主として学校教育の方面に役立つ物から取りました。そして、それは、大抵〈タイテイ〉皆文部省で推薦認定の証書を与へて、弘く世間に成るたけ多く見る事をすゝめたものであります。内に二三〈ニサン〉一般社会教育にも役立つ物で、児童にも興味を多く与へ、又精神教育に役立つと思つたものを採録しました。其等〈ソレラ〉は、多くは文部省で作られた物でした。
 尚学校教育用として最も重要な地位を占む〈シム〉べき動植物等の博物学一般の映画や、地理歴史運動等の写真は、今日に於ては多くを誇る事が出来ませんが、相当に良き物があるのです。併し、残念ながら、其等の梗概を記した所で、到底その面影を伝へる事も出来ないので、割愛した次第です。
 活動写真が生れで、まだ僅かの年数にしかなりません。そして、これを教化用に利用したのも極く最近の事です。殊に我が国に於ては、極く極く最近にこの方面に手を付けた為に、殊に数〈スウ〉が少なく、又優秀な物が少ないのですが、其等の内から、絵として、芸術的に立派な出来栄え〈デキバエ〉と思へる物のみを、責任をもつて収録したのです。且つ、日本に於ては、教育映画に関する纏まつた研究書は勿論、その出来てゐる写真の目録も、その梗概を記した物も、まだ出来てをらないのです。この物語は、決して完全な物ではありませんが、日本に未だ〈イマダ〉無かつた物を、種々苦心して蒐集したものである事だけを申し上げておきます。
 昭和二年末 仲木貞一

今日のクイズ 2013・5・8

◎仲木貞一は、多芸多才の文化人でした。この人が体験しなかった仕事は、次のうち、どれだったでしょうか。

1 新聞記者  2 脚本家  3 映画監督  4 翻訳家  5 大学講師

【昨日のクイズの正解】 1 線画 ■選択肢の中では、これだと思います。ただし、断定はできません。なお、『教育映画物語』には、アニメーションを指す言葉は出てきません。

今日の名言 2013・5・8

◎正直の頭に神宿る

 映画『闇の手品』(本庄映画研究所製作)で、電信柱〈デンシンバシラ〉に書かれている標語。頭は〈コウベ〉と読む。仲木貞一『教育映画物語』(1928)の46ページより。この映画では、このことわざがキーワードとなる。

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