ぼちぼちやりま!

悪い時が過ぎれば、よい時は必ず来る。
事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。
焦らず慌てず、静かに時の来るのを待つ。

ぼくは眠れない

2015-11-21 21:50:19 | 読書
椎名誠さんの30年間にわたる不眠症履歴と思索を、シイナ流に朴訥に語る本。

   ***

思えば、僕も不眠症。特に10年程前の東京時代は不眠症との戦いだった。
東陽町の会社着を8時00分に設定して逆算すれば、三軒茶屋の駅発が6時25分。すると寮を出るのが6時10分。起床タイムが5時40分。7時間の睡眠を確保するとして就寝タイムが午後10時40分。報ステの古館を半分程見て寝ることになる。けれどそう簡単に眠れるもんじゃない。床についても、いつの間にか脳みそは反省しきり、その日の出来事をリピートしている。
寝ながら思う。日付が変わる頃まで眠れなかったら、医者からもらった睡眠薬に頼ろう。眠るための酒は極力我慢しよう。そうは誓っていても、たいがいは目がギンギンになってくる。丑三つ時の深夜2時を過ぎるころ、暗闇の中、コップ酒の力を借りている自分がいる。結局睡眠時間は2~3時間、目を真っ赤に腫らして這う這うの体で満員電車に乗ることになる。
そんな(薬+酒)で夜を過ごす生活が何年も常態化し、大げさに言えば、我が身の危険性を感じて、僕は2年の猶予を残して早期退職の道を選ぶことにしたのだった。

   ***

古稀を迎えられた椎名氏は、「不眠症」を徹底的に克服しようとした悪戦苦闘の半生を経験する。
「始まりは唐突にやってきた」「勤めを辞めるかどうするか」という章で始まる本書は、睡眠に関する蘊蓄を満載して、「やわらかい眠りをやっと見つけた」という終章にたどり着く。

   ***

もっと早くこの本に出合えていたら、定年まで無事に勤めあげていたかもしれない。
「軽度のあまったれ不眠症」の僕は、前期高齢者の入口に立ちながら、秋の夜長ひとり自戒するのだった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿