ぼちぼちやりま!

悪い時が過ぎれば、よい時は必ず来る。
事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。
焦らず慌てず、静かに時の来るのを待つ。

「われ」と「仮面」

2019-02-09 15:52:58 | 日記
映画<マスカレード・ホテル>を見に行ってきた。2時間ドラマに仕上げるために原作の肉をそぎ落とすことに苦労している。けど作家がちりばめたゴチャゴチャ感の迷彩色はまだ残っていて、見始めは初見にはややこしいかなと思ったけど、後半あたりからはまとまりがついてきて、やがてどんでん返しがやってくる。オープニングには違和感を感じるほどの大仰な音楽が、次第に耳になじんできてエンディングを盛り上げてくれる。まあ娯楽作品としては「HERO」の上で、十分楽しめる。評価点7点。

   ***

主題のマスカレードの意は<仮面・仮装>。人の集まるホテルに限らず、人の世を渡るための航海術でもある。

吉永「昔暑い夏の日、列車を待つ田舎の駅で、氷滴をはじいた缶ジュースを一気飲みしてみたかった。でもそれはできなかった。アイドル吉永小百合だったから。」
高倉「体重が70kgを越えたら断食でもなんでもして落としますよ、高倉健ですから。」
矢沢「オレ? オレはいいよ。けどね、オレの中の矢沢がなんてゆうかねぇ。」

自分が「仮面」をつけていることを知ってる人は、たいしたものだと思う。それだけ自己を客観視できているということ。<われ思う、故にわれ在り>の「われ」がしっかりしているのだろう。

凡人は自分の中の「われ」と「仮面」の境界線が複雑に入り乱れていて、どうしようもないカオスの世界に入ってしまっている。
タンスから古い背広を取り出して在りし日の「仮面」を装ってみるのも悪くはないが、その気分には、たぶんならないだろう。背広にあう「仮面」を忘れてしまった。

   ***

「仮面」をかぶらず「素顔」のママがいい、という御仁へ。

---あらゆる種類の仮面のなかで、「素顔」といふ仮面を僕はいちばん信用いたしません(三島由紀夫)---
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする