ぼちぼちやりま!

悪い時が過ぎれば、よい時は必ず来る。
事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。
焦らず慌てず、静かに時の来るのを待つ。

熱闘甲子園

2009-08-17 21:48:45 | 日記
漸く真夏の天気となった昨日、甲子園球場に行ってきた。もちろん外野自由席である。最上段の席は金網が背もたれになって、しかも全景が一枚の絵に納まって素敵なんだけど、選手が点になりどちらかというと鳥瞰図目線。外野でも下段の席は試合に溶け込んで見られるし、ホームランボールに手が届きそうな緊張感もちょっとあって、居心地はいい。幸運にもレフト側の下から3段目にまばらな空席があり、女房と2人で3人分のベンチが確保できた。近畿地方の球団が出場しない日を選んで行った甲斐あり。

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持ち込みのビールからはじめ、都合4杯ほどのビールとなんやかや、試合はどっちが勝ったか記憶に薄いけれど、右や左のアルプス席からの応援合戦は心弾ませるものがあり、一挙手一投作に酔う。

ただ、外野席からの拍手喝采が続く中、右前の団塊世代の一人のおっちゃん、どんな場面でも表情変えず、黙々とビールを飲み続け、結局8杯までカラコップを重ねてるのを横目に見ながら帰路についたが、炎天下の中、紳士然とした彼は一体何者なんやろう?と半分同情しながら推理する。ビール一杯600円である、それが8杯ともなれば、相当なお金、いかに外野席がタダとはいえ、金銭的にはつじつまが合わない。

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思えば学生時代、この甲子園で新聞社のアルバイトをしていた。定時にカメラマンのフィルムを新聞社に送り届けるバイトで、「報道」のフリーパスでどこでも出入りできた。王や長島、江夏、田淵はナマで何度も見た。打席に立つ王と目が合ったときは、その鋭さに思わず萎縮させられる恐怖に近いものを感じた。
真一文字にライトスタンドに飛んでいく王のホームランに比べて、田淵のそれはあまりにもゆっくり大きな弧を描いてレフトスタンドに吸い込まれていく、その違いは、明快だった。長島は存在するだけで絵になった、オーラが他の選手と全く違っていた。昭和も40年代に終わりを告げようとしていた頃だった。

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帰りの電車の中で、小川洋子「博士の愛した数式」で「江夏の28」が「完全ナントカ数」というのか、その一点が思い出せないまま鼾をかきだしていたのを、今頃思い出した。