ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

鉄人、衣笠祥雄氏、逝く―

2018-04-24 23:07:12 | ひと
鉄人、衣笠祥雄氏逝く―。
信じられなかった。
亡くなる4日前のDeNA対巨人の野球中継で解説を務めていたのだから。
ただ、その日の解説の声はかすれて弱々しく、何か大きな病気をしているのではないかと懸念したのだったが…。

赤ヘル広島の最初の優勝は、1975年。
私たちが、高校を卒業した年だった。
ホプキンスという外国人選手だけでなく、山本浩二そして衣笠祥雄の両日本人主砲が非常に頼もしかった。
それに比べて、巨人は、主砲長嶋茂雄が選手を引退して監督となったために主砲が王ただ一人となり、非常に弱くなったのだった。
それ以降も、広島は山本・衣笠の存在が大きく、何度かリーグ優勝を果たしている。

衣笠といえば、連続出場記録だった。
死球をくらっても、翌日の試合には出続けた。
当時、連続試合出場数はメジャーの記録を抜いて、世界一であった。
だからこそ、「鉄人」の愛称は似合っていた。

話す言葉にも味わいがあった。
「野球というものに出合わせてくれた神様に感謝したい。」
「いつか、誰かにこの記録を破ってほしい。この記録の偉大さが本当にわかるのは、その人だけだろうから。」(連続試合出場の世界記録を更新した時)
「1球目はファンのために、2球目は自分のために、3球目は西本君のためにスイングしました」(西本に死球をくらった翌日、代打で3球三振をして)
それらの言葉に、高い人間性を見ることができる。

「お父さんから君たちへ」という、子供世代に向けた彼の著書を読んで、感銘を受けたこともあった。
野球解説を聞いていても、おだやかな語りの中にいかにも解説者という専門的な知見があふれていて、私は彼の解説が好きだった。
その解説の声が、先日はあまりにもかすれて弱々しく聴きづらかったので案じていたのだが、まさかそれからわずか4日後に亡くなるとまでは思わなかった。

プロ野球が面白くなったのは、巨人が強い時代を作り、それを広島などが打ち破って来たからだ。
そして、王、長嶋などのスーパースターだけでなく、山本浩二や衣笠など魅力的な選手が活躍したからだと思っている。
連続試合出場で一時世界記録を打ち立てただけでなく、衣笠は、日本プロ野球通算安打数歴代5位(2543本)、通算本塁打数歴代7位(通算504本)という立派な生涯成績も残している。

「フルスイングの人生」を語っていたが、まさしくそのような人生だったと思う。
本当に残念だ。
合掌―。
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