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カウリスマキの映画「街のあかり」を再び観る

2023年09月26日 | 映画

昨日に続いてカウリスマキの映画を観た。今日は彼の敗者三部作の最後の作品「街のあかり」を観た。2回目。2007年、フィンランド、原題はフィンランド語Laitakaupungin valot、英語Light in the Dusk)

カウリスマキの映画は以前はAmazonやNetflixでは観られなかったと思うが、昨日チェックしたらAmazonPrimeで観られるようになっているではないか。それも無料なのはうれしい。それで連日観ているわけだ。

夜間警備員として働く孤独な男コイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は、「警備会社勤務のままじゃ終わらない」と夢は大きいが人付き合いが下手な不器用な人間。ある日、魅力的な女性ミルヤと出会う。しかしミルヤは、百貨店強盗をもくろむ悪党リンドストロンの女だった。

ミルヤは勤務中のコイスティネンにアプローチして宝石店のボタン式施錠の暗証番号を盗み見る。まんまと利用されたコイスティネンだったが、惚れたミルヤをかばって服役する。リンドストロンはそこまで読んでコイスティネンを狙ったのだ。

なじみのソーセージ売りアイラ(マリア・ヘイスカネン)の思いには気づかぬまま、刑期を終え社会復帰を目指すコイスティネン。だがある日、リンドストロンと一緒のミルヤと居合わせた彼は、自分が利用されていたに過ぎないことに気づき、リンドストロンを刺し殺そうとするが失敗し、どんどん転落していく。

再び観た感想

  • 昨日観た「浮き雲」と同様、映画の中でヘルシンキの街が多く出てきて、現地を旅行している感覚になりよかった。
  • コイスティネンは貧乏暮らしだが、やはりアパートの部屋はカラフルに装飾されている。街もヨーロッパの街特有の曇り空、雨で濡れた路面、枯れ葉が舞う殺風景な印象があるが、部屋の中や店などはカラフルだ、が、高級ではない。安アパートなのにカラフルなのだ。カウリスマキの趣味か。
  • 出演者はコイスティネン以外も皆、寡黙で、余り話さないのは「浮き雲」と同じだ、そして滅多に笑わない。日本人以上だ。
  • 日本では海外に行ったら自己主張しなければダメだ、などと言われているが、ずけずけと言いたいことを言い、大声で話したり笑ったりするのは主にアメリカ人と中○人(1字略)だけじゃないか。言うべきことは言わないといけないが、声高に自己主張するやり方に日本人が合わせる必要は無いと思う。寡黙な日本人が学ぶべきは、イギリス人のユーモアセンスの方であろう。
  • この映画も社会の底辺で働く孤独な人の生き様を描いているが、「浮き雲」と同様、最後には救いがある。ソーセージ売りの娘アイラと街の黒人少年だが、それがカウリスマキ流なのだろう。
  • この映画はそんなに遠くない過去であるが、みんな、結構タバコを吸っている。欧州ではアメリカほど禁煙が徹底されていなかったが、さすがに最近はこの映画のようなことは無いと思うが。
  • 日本にはアメリカのニュースが多く入ってくるが欧州のニュースはそれに比べると少ない、禁煙でもそれが世界のトレンドだと勘違いして直ぐにマネをするのが日本である。よくもあるが思考停止でもある。同じような状況は至る所にある、環境問題などもそうだろう。世界は1つではないことを知るべきだ。日本にないものがあると直ぐに「世界ではこうだ」などと説明されるが、そんな場合はじっくり考える癖をつけたいものだし、報道するメディア自体がそうなってほしい。
  • この映画ではカティ・オウティネンの出番はほとんどないが、スーパーのレジ係でチョットだけ出ていた。

カウリスマキらしい映画だった。



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