When words leave off music begins.
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Vitali Chaconne [Arthur Grumiaux]
タルトは原名をタルトレート(TART LETTE)といい、約三百年前にオランダ人によって伝えられました。当時、幕府より長崎探題を命ぜられていた松山藩主・松平定行公は、ポルトガル船二隻が入港したとの知らせに急遽長崎へ向かい、海上警備にあたりました。結局、争いもなく南蛮船はそのまま引き上げましたが、この時にオランダ人を通じて南蛮菓子タルトを味わった定行公は、その風味が大変気に入り、製法を仔細に調べさせて松山へ持ち帰ったといわれています。
当時の南蛮タルトは、カステラの中にジャムが入ったものでした。現在のあん入りタルトは、定行公が考案されたものと思われます。その後、御殿菓子タルトの製法を城下商家に伝え、原材料、製造工程に改良が加えられ、松山の名産となりました。
六時屋は、北海道産の厳選された極上小豆を使用した自社製あんを、カステラで一本一本巻きあげる手づくりにより、独特の風味に仕上げました。「名物にうまいものあり六時屋タルト」何時も変わらぬおいしさ六時屋タルトをお楽しみください。
四日目の晩に住田と云う所へ行って団子を食った。
この住田と云う所は温泉のある町で城下から汽車だと十分ばかり、歩いて三十分で行かれる、料理屋も温泉宿も、公園もある上に遊廓がある。
おれのはいった団子屋は遊廓の入口にあって、大変うまいという評判だから、温泉に行った帰りがけにちょっと食ってみた。
今度は生徒にも逢わなかったから、誰も知るまいと思って、翌日学校へ行って、一時間目の教場へはいると団子二皿七銭と書いてある。
実際おれは二皿食って七銭払った。
どうも厄介な奴等だ。
二時間目にもきっと何かあると思うと遊廓の団子旨い旨いと書いてある。
あきれ返った奴等だ。
(「坊っちゃん(三)」夏目漱石)