癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

口蹄疫物語 その1

2010年06月30日 | 口蹄疫
貴重な体験でした。
二度とこのような体験はないでしょう。

これから何回になるか分かりませんが、口蹄疫物語として何度か掲載させていただきます。

癒し系獣医師とは相容れない任務に就きましたが、大げさに言えば国家のためと思い、作業中はなるべく何も考えないで「効率」のみ追求して殺処分しました。これはどの獣医師も同じ気持ちだったと思います。

それでは、その1として・・・

北海道からも農業団体としてすでに2班(1班総員6名程度)獣医師を派遣済みでしたが、管総理の宮崎訪問後急に作業を急ぐこととなり、6月10日に派遣を命じられました。

慌しく出向のための準備を開始したのですが、この「準備」が結構大変なのです。何せ、口蹄疫感染地帯に直に行くのですから、ウィルスを持ち帰ったり、他の地域に撒き散らしてはいけなので、そのための2重3重の準備が必要なのです。

行程予定としては
6月15日 宮崎県に出向
6月16日から22日まで現地任務
6月23日から26日まで、東京でクールダウン
6月27日から7月1日まで自宅待機
なのですが、荷物は「宮崎滞在用」「東京滞在用」「北海道帰還用」に分ける必要があります。つまり、宮崎滞在用のものはすべて現地で廃棄し、東京滞在用のものはあらかじめ、東京に送付しておき、北海道帰還用のものも別に用意する必要があるのです。
つまり、北海道に帰るときはほとんど手ぶらで帰ることになります。
徹底してウイルスの拡散を防御する必要があるのです。

しかも宮崎に入る途中で着替えして、その衣服は密封して帰還するまであけずにいることも必要です。

具体的には
千歳~東京~宮崎のホテル: ホテルで靴、衣服を代えて、脱いだ靴、衣服は密封して置く。これから宮崎では別に衣服で過ごす。

宮崎滞在中:着ていた衣服や履物は帰るときすべて廃棄する

宮崎~東京:密封しておいた衣服や靴で行くが、羽田で別の衣服に着替える。靴も代える。それまで着ていたものは廃棄する。

その後、東京では2回衣服を代える。代えたものは廃棄する。

さらに、北海道に帰るため予め送付しておいた衣服を着る。

まあ、こんな調子です。あまりに複雑で途中で分からなくなりそうでした。

つづく

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした (hig)
2010-07-01 05:37:36
ほんとうにお疲れ様でした。殺処分も終了したようで作業に当たった方々には頭が下がります。
他地域からの人的支援に伴うリスクを懸念する声もあったようですが、厳重に警戒されているのですね。廃棄するのは個人の所有品ですか?廃棄は普通のゴミ箱へですか?持ち帰らざるをえないものは滅菌の手段などはあったのでしょうか?これらの費用はどのように支給するのでしょう?
hig先生へ (Unknown)
2010-07-01 08:49:51
ありがとうございます。
現地で使用したものは現地本部で廃棄しましたので、一般ごみにはなりません。個人所有のものは現地に持っていったり、持ち帰りはしませんので私物の感染リスクはないでしょう。
ホテルで身に付けたもの一切の衣服、サンダル等をホテルの専用廃棄ポストに捨てました。

感染のリスクのあるものは紙一枚でも、一切持ち帰りませんでした。個人のものでもすべて現地で廃棄です。

捨てる衣類にかかった費用は団体から支度金がでました。
捨てた衣類、靴等は膨大な量でした。

ですので、東京から北海道に入るときは手ぶら状態です。