原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

自宅で転び骨折し、全治2か月です。

2014年04月15日 | お知らせ
 元医学関係者 原左都子にして、不覚にも去る4月12日に自宅のベランダにて洗濯物を取り入れ中に激しく転び左肩と右手首を強打しました。


 2,3日経過すれば回復するだろうとの我が自己診断に反し、両腕共に日毎痛みが増し悪化の一途を辿っていると判断しました。

 本日やっと整形外科医を受診したところ、左鎖骨骨折(全治2か月)、右手首骨ヒビ割れ(全治1か月)の診断が下りました。
 右手にはギブス、背中には鎖骨骨折保護コルセットを背負い、現在パソコンに向かっております。


 誠に不覚の事態であり恥ずかしさの極みですが、担当医より2か月安静との指示が下りましたので、今後の「原左都子エッセイ集」執筆を2か月間程自粛したく考えております。


 公開したいオピニオンは山々なれど、両腕の治癒具合を自己診断しつつの今後のエッセイ公開となりますことを、何卒ご了承頂けますように。




4/9小保方会見、むしろ科学者として墓穴を掘った

2014年04月10日 | 時事論評
 (写真は、原左都子が過去の医学関係業務に於いて作成した「実験ノート」の一ページ。 今回STAP細胞論文検証のため小保方氏が理研調査委に提出したとの“正式”「実験ノート」ではなく、あくまでも私が自身の実験用に自主的に作成した簡易ノートの一部を公開したもの。 機密保持のため不鮮明処理を施しています。)


 昨日(4月9日)NHK昼のニュースを視聴していたところ、突然、途中で小保方氏よりのコメント報道が入った。
 記者会見にて理研調査委に対し不服申し立てを行うと表明している裏側で、小保方氏が記者会見に臨むに当たり大いなる不安感を抱いているとの情報を得ていた私は、「もしや、会見を中止するのか!?」と咄嗟に感じた。
 ところがそうではなく、単に記者会見にて最初に発する挨拶文をそのまま「予告編」のごとく伝える内容だった。  その趣旨の程がよく理解できないものの、結局はぶっつけ本番ではなく「予告編」を世間に吹聴する事により自身の心理面でワンクッションを置きたかったのだろうと解釈した。

 そして予定時間通りに「小保方会見」は始まった。
 何ヶ月か前、STAP細胞報道当初にテレビ映像で見た時より痩せている印象を受けた。 洋服の色調を紺色に抑え、ヘアスタイルも前回見た時より不必要に頭頂部を膨らませておらず、化粧も抑えている様子だ。
 もう一点気になったのは、小保方氏が手ぶら(ハンカチは持っていたかもしれない)で現れた事である。 私はてっきり、自分の研究論文に「改ざん」や「捏造」がない事実をせっかく(自費で開いたらしい)記者会見会場で熱弁・証明するため、膨大な実験ノートや資料を持参するのかと思っていたが、肩透かしを食らった。

 原左都子のとりあえずの関心点は、小保方晴子氏の「会見能力」の程にあった。
 と言うのも、STAP細胞報道当初にいきなり理研研究室内での「割烹着姿」の映像が取り上げられ、厚化粧でメディアに登場した姿に違和感を抱いていたからだ。 世界トピックスたる論文発表をした研究者にして、そのような場面の撮影禁止措置も取れたであろうに、我が意地悪視点もあるが「この人の脳細胞は大丈夫なのだろうか?? 」との感想を持っていた故だ。

 さて会見が始まると、意外や意外質問に対する“受け答え能力”はあるようだ。 1名の質問者からの複数の質問に対しても、(メモも取らずして)順番に回答していたところを見て、物事の脳内整理力は十分あるものと判断した。


 以下は研究内容に関する専門的質問に対する質疑応答内容を、原左都子の視点から取り上げて行こう。

 〇 まずは、ネイチャー論文内に掲載された写真に関して「捏造」が疑われている点。
 これこそ小保方氏本人が詳細の説明をするべきなのに、何故か弁護士氏よりの解説だった。 「脾臓由来の細胞と骨髄由来の細胞を取り違えた」 「オリジナル写真を掲載するべきだったのに、写真の整理力に欠け見つからずやむを得ずコピー写真を使用した」???
 科学者としてあってはならない事態であるし、信じられない不祥事である。 しかも、後の追加質問に対して「写真は1000枚近くあるから、整理するのは難しい」とうそぶく始末だ。 

 〇 電気泳動写真が「切り貼り」されている事実に関する釈明に関して。
 小保方氏によれば、論文の不具合が発覚した時点で科学誌「ネイチャー」担当者に電気泳動写真の「切り貼り」に関して質問したそうだ。 その結果、「切り貼り」自体は許容できるが、それをする場合「切り貼り」をした事実を黒線で囲む等の手法により明記するべき、との回答を得たとの事だった。小保方氏としては、その措置をしなかった部分のみで自分に責任があり、これは「改ざん」に当たらないとの説明だったが。
 元医学関係者であり「電気泳動」実験もこなしてきている私にして、初めて耳にした話である。
 もし、ネイチャー発言が正しいと仮定しても。  世界トピックス的論文発表に於いて何も電気泳動写真「切り貼り」などとの“極めて危険性の高い処置”をせずとも、(ご本人曰く)200回も成功した(らしい)STAP細胞実験過程に於いて、幾らでも理想的な電気泳動写真は撮れたであろうに…… 

 〇 「実験ノート」が何冊存在するか、との質問回答に関して。
 これぞ驚かされた。  私の認識によると、小保方氏とはSTAP細胞研究を開始して既に少なからずの年月が経過している事であろう。 加えて、ご自身曰く「200回以上STAP細胞を作り出すことに成功している」。??  それならば「実験ノート」が200冊あっても不思議ではないのに、何故かその回答とは「4,5冊です…」と口を濁している有様だ。 そんな少数ならば、「4冊」か「5冊」か明確に応えよ!とも言いたくなる。 しかもそのノートが何処に存在するかとの質問に関してすら明瞭に記憶していない様子だ。 「ハーバード大学にも置いてある。」 たとえそうだとしても、自分の手元にそのコピーを保存しておくのが科学者としての常識だろうに。
 ここで参考だが、冒頭の写真で紹介した通り、元医学関係者である私も日常の仕事及び医学学会発表等の機会に応じて各種実験研究を実施してきている。  私の場合、元々“記述魔”であるかもしれないが、これまで作成した「実験ノート」の数々は膨大な量に達する。  実験研究を実施する都度、自分なりの“記録帳”として、研究の場を離れたプライベートの時間に及んでも必ずや「実験ノート」を自分が納得できるレベルで記述したものである。

 〇 理研調査委に対する小保方氏の対応に関して。
 小保方氏ご自身がSTAP論文に関し“身の潔白”を信じているのならば、何故その旨を理研調査委に直接訴えないのか?  その趣旨の質問に対する小保方氏の回答とは、「理研調査委の私に対する質問とは質疑応答の形式であり、私の方からは発言できない形式だった」 
 私論だが“身の潔白を信じる者がそんな弱気でどうする!?”  せっかく理研調査委側が会合を持ってくれた場面に於いて、自分の「実験ノート」をはじめとする証拠物件を提示して熱意を持って反論するべきだった。
 闘うべき相手がいない記者会見会場で「未熟故に申し訳ない」などと涙を流したとて、この世の中に貴方の理解者がどれ程存在すると信じているのだ!?
 要するに、貴方は安穏と実験しているだけで自分をユニットリーダーと認めてくれ、莫大な研究費を国民の血税から差し出してくれる理化学研究所の体質にゆったりと浸っていただけの話なのではないのか!


 昨日の「小保方会見」終盤に於ける、“科学ジャーナリスト”と名乗る女性からの質問に唸った私だ。
 今までの通説とは異なる内容の事実を偶然発見した場合、研究者とはまずは「驚く」のではなかろうか?
 そんな結果を導いた科学研究者とは、independent(自分の研究機関とは異なる独立した第三者研究者)を頼るべきであろう。 貴方はそれを実行したのか? (小保方氏より「実行した」との回答) それならば、その研究者の証言を公にする事が貴方に求められるであろう。
 この質疑応答に、小保方氏は「なるほど」とつぶやいたことが印象的である。

 このような事実は、小保方氏に「なるほど」と記者会見会場でつぶやかせる以前の問題として、これまで小保方氏の研究を支えてきた先駆研究者たちが“未熟”を自覚している小保方氏相手に指導し得た内容であろう。
 それが不能だったからこその今回の理研STAP細胞不祥事ではなかろうか?
 これに関しても会見会場から質問が出ていたが、小保方氏からは「申し訳ない」のみの回答で何らの有意義な結論を見いだせなかったのが今回の記者会見の結論であろう。


 昨日の「小保方記者会見」後の世の論評とは、 
 ◇科学者の弁明ではない 
 ◇小保方氏は粗雑な処理が常態化していたのではないか。 新しい知見の発表に必要な努力を欠いた上、研究者としてのイロハが抜け落ちている点を正当化していて驚く。  等々……

 さて小保方晴子さん、今後この事態を如何に打破しましょうか??

STAP検証は血税ではなく関係研究者の自腹で実施するべき

2014年04月08日 | 時事論評
 (写真は、朝日新聞4月5日に掲載された漫画「地球防衛家のヒトビト」より転載したもの)


 早速、冒頭の漫画が不明瞭で見辛いため、その内容を以下に紹介しよう。
  「結局STAP細胞はホントにあったのかなー」
  「1年かけて探すみたいだね…」
  「しかし本当に見つかったらスバラシイことなんだから、このオレもひと肌脱ぐぞ!!」
    (電柱に 「探しています!STAP細胞!! みつけた方連絡下さい」の貼り紙)
  「そーゆーこっちゃないだろ…」
 

 早速原左都子の私論だが、結局今回の理研によるSTAP細胞騒動とは「そーゆーこっちゃ!」と言いたくなるレベルの茶番劇である。

 ここはとりあえず、「STAP細胞みーつけた!」 なる言いだしっぺである小保方康子氏を中心に、それに同意した共同研究者、及び論文内容に関し十分な検証もせずして論文を科学誌「ネイチャー」に発表する事を認めた理化学研究所幹部こそが、“自腹で”その茶番劇の尻拭いをするべきであろう。

 そう考えていたところ、昨日理研より発表された「STAP細胞検証」内容とは以下の通りである。
 理化学研究所(以下『理研』と略すが)の小保方晴子研究ユニットリーダーらが発表した新しい万能細胞「STAP細胞」の論文問題で、理研は4月7日東京都内で記者会見を開き、STAP細胞が実在するかを検証する実験について説明した。 論文の共著者で検証実験を担当する理研の丹羽仁史プロジェクトリーダーが初めて会見し、「共著者の一人として、このような事態になったことを心からおわびする。今後は一切の予断なく検証実験を進める」と述べた。
 検証期間は1年間。 論文に記載されたリンパ球からのSTAP細胞作製だけでなく、他の細胞からSTAP細胞を作って追跡する方法も検証する。再現できた場合は詳しい作製法を公表し、第三者の検証に委ねる。 論文に疑義が指摘された後の3月5日に詳細な作製法を公表したが、第三者が再現に成功したとの報告はない。  丹羽氏は「手順を一から十まで検証できていない」と述べ、自分で全てを確認していないことを認めた。3月の作製法公表については「情報が足りず再現がうまくいかないという状況は見逃せなかった」と釈明。小保方氏によるSTAP細胞の作製は、論文発表後の2月に3回見たと述べた。
 (以上、ネット上より一部を引用。)

 ところが原左都子が今朝方ネット上で見た情報によれば、上記の理研にての「STAP細胞検証」作業に1300万円の費用が計上されるのだとの事だ。(私の記憶に頼っているため不正確である場合お詫びするが。)
 理研と言えば、独立行政法人の位置付けにある。 ということは、STAP細胞検証の費用とは国民の血税から支出されるとの事なのか?!?

 とんでもない話だ。 一研究者の捏造による研究発表を検証する作業に何故国家の税金がつぎ込まれなければならないのだ!?!
 ここは是非とも、「捏造論文」を作成し世間を騒がせた本人及び共同研究者、更にはそれを認め一時平然としていた理研幹部の“自腹を切って!”検証作業に臨んで欲しいものだ。


 それにしても…。

 STAP細胞「みーつけた!」の言いだしっぺである小保方氏は、「STAP細胞検証」を実施するとの理研幹部連中を敵に回し、明日(4月9日)午後記者会見を開き「論文は捏造ではない」との趣旨の反論射撃を展開するそうだ。
 
 原左都子の私論だが、もし貴方が真実の基礎研究者としての自負があるのならば、そんな事で無駄に理研幹部及びメディアないしは世間と闘い、疲れ果てている暇があるのかと心配申し上げる。
 そんな事よりも、「STAP細胞は自分が世界で一番最初の発見者!」との心意気の下、直ぐにでも何処かの実験場所を見つけて自らその検証作業を再開してはどうなのか?
 それにはお金がかかるよねえ。 だからこそ、貴方は今までぬくぬくと“捏造実験”を認めてくれた理研に今後も依存したいのではなかろうか? だからこそ今回メディアにしゃしゃり出て、理研幹部と闘うつもりなのだろうが…
 それでも、残念ながら貴方には既に勝ち目はないと私は結論付けているのだが…


 と言うのも、小保方晴子氏の「論文捏造不祥事」は既に早稲田大学博士論文調査にまで発展してしまっている。
 小保方氏が所属していた早稲田大学先進理工学研究科で学位を取得した複数の著者の博士論文に不正の疑いが指摘されていることを受け、同研究科の全ての博士論文約280本について、研究不正の有無を調べる方針を決めたそうだ。 早稲田大学は調査結果を踏まえ、学位の取り消しを検討するとのことだ。

 ここで私事を述べるが、過去に於いて私も大学院で修士論文を提出しその審査に合格して修士号を取得している。
 私が所属していた大学院は公立大学だったため、そもそも大学院生がごく少数だった。 学院生数よりも教授陣が多いとの恵まれた環境の下、論文審査も実に厳しかった事を鮮明に記憶している。
 第一次、第二次審査共に、学生一人に付き3名の教授陣が審査に当たってくれた。 書類審査の後面談審査も実施され、教授陣3名の目前で論文内容に関する詳細部分の質問を受け、それに口頭にて即答する能力も試された。 無事論文審査に合格し「経営法学修士」をゲット出来た暁には、大きな物事を成し遂げ我が人生最大の関門を通過し得た喜びに満たされたものだ。

 片や私立大学やマンモス国立大学大学院では、教授陣よりもずっと多数の大学院生を抱えているとの事情を心得ている。
 そんなマンモス大学の場で実際に大学院論文審査を経験した人物の話によると、「審査が実にいい加減で、論文を適当に体裁よく書いて出しさえすれば大抵は二次審査にて温情で合格できる」なる裏話も一昔前に聞いたことがある。 

 話題を小保方氏のSTAP細胞騒動に戻すが、氏の早稲田大学博士課程における論文審査の現状とは如何なるものだったのだろう。
 小保方氏が所属していた早稲田大学先進理工学研究科とは、上記報道によれば2007年に新設されたばかりとの事だ。 設立わずか7年足らずの研究科にして一体如何なる教授陣を学内に迎え入れるに相成ったのだろうか???
 小保方氏の博士論文の場合、その内容のほとんどが海外英文文献そのままのコピー、しかも捏造写真入り… そんな小保方氏の博士論文を認めた早稲田大学大学院側の責任も多大であろう。


 最後に原左都子の私論だが、とにかく小保方氏は今回は一旦捏造を認めては如何か。

 その上で反復になるが、貴方が「自分こそがSTAP細胞の先駆者」なる絶対的自負が今尚あるのならば、国税がつぎ込まれる理研ではなく、捏造を犯した貴方を迎え入れてくれる研究室を自力で探し求めるといいだろう。
 それに巡り合えずとも、何らかの手段で是非とも「STAP細胞」がこの世に実在することを「言いだしっぺ」である“貴方”こそがご自身が今後培う経済力と能力で、何十年後であろうと突き止めて欲しい思いの私であるぞ。

嫁の立場での人生終盤義母との健全な付き合い方

2014年04月06日 | 人間関係
 一昨年の夏にケアマンション(介護付き有料老人施設)へ入居した義母の保証人代行を任されて以降、既に1年3か月の月日が経過した。

 元々実業家として先祖代々続いた事業を発展させ、ある程度まとまった額の経常利益を年々上げつつこの世を渡り、華々しい歴史を刻んで来た義母である。
 それでも、ここのところ物忘れの激しさと耳の聞こえにくさが加速している現実だ。


 そんな義母が昨年義理姉を壮絶な膵臓癌闘病の後亡くした後、自分の後見人として実質上一番に頼ってくれているのがこの私である。
 何があってもなくても、真っ先に私に電話で一報をくれるのだ。

 それ程に義母から信頼されている身であることは嬉しい。 その義母の思いに最大限応えるべく対応したいと日々志している。

 
 その一環として、先月3月初頭に私は娘と共に義母の敬老旅行に出かけた。
 過去に於いて義母が「イルミネーションを見たい」と私に告げた言葉を手掛かりに、それが叶う一泊二日の旅を計画し実行した。

 これぞ綿密な旅行計画だった。

 何分、義母はまだ一人で歩けるとはいえ、その歩行速度や距離が限られている。
 例えば新幹線を利用する場合、広大な東京駅構内での乗換の道程を配慮せねばならない。 そのため、新幹線乗り場までのエレベーター利用距離等の詳細までを事前にネット上で調査した。 しかも、新幹線は編成車両が長い事も考慮し、義母が短距離で歩ける範囲内の車両予約も心得ていた。

 目的新幹線駅に到着した後も、駅前からホテルのシャトルバスを利用できる方策を取れるよう、事前にネット検索しておいた。
 更には新幹線下車後の時間にも余裕を持ち、義母がゆったりとトイレへ行ける時間も確保した。 加えて、買い物好きな義母がいきなりお土産店に立ち寄るであろうことも想定し、次なるシャトルバスの発車時間も把握していた。
 私の思惑通り、義母は上記のすべてに時間を費やした。 そうだとして、私にとっては「旅程範囲内」の義母の行動である。 「お義母さん、十分時間がありますからご自由に行動下さいね」と涼しい顔をして義母の相手を努めたものだ。

 その後シャトルバスにてホテルに到着して後も、義母は勝手気ままな行動に出ようとする。
 それも想定内だ。 少なくとも夕食の開始時間を予約している事のみ念を押し、それまでの時間は義母の意向に従い行動した我が母娘である。

 今回の旅行に於いて義母が一番気に入ってくれたのが、ホテル最上階での「フレンチディナーコース」夕食だった。 元々静岡県生まれで幼少の頃その地で暮らした義母が、もしかしたら間近で“富士山”を見たいのではないかと私は想像したのだ。 あいにく天候に恵まれず“富士山”の裾野しか展望できなかったものの、ホテルリゾート施設内のイルミネーションも相まって、義母には久々に見る素晴らしい景観だったようだ。
 
 次の日は、あいにくの大雨に苛まれた。 義母の体調に配慮して早々に帰路に着くことを提案した私だが、どうも義母はもっと土産物を買い求めたい意向のようだ。 それにも快く応じ義母に付き合った私と娘だが、買い物途中で義母から私に提案してきたのは、悪天候を視野に入れ「早めに帰りましょうか」との決断だった。 
 お年寄りとはボケているようで実は明瞭に思考可能な部分が脳裏に混在するものである。 少し時間が経過し場面が変化すると、私の提案事項に従うべきとの論理思考が脳裏にカムバックするのかと認識させられた次第だ。
 結局義母は我が提案通り、早めにケアマンションへ帰る決断を下してくれた。 その意向に沿い、我々は予定よりも早い時間帯の新幹線に乗り、東京までの帰路に着いた。


 この「敬老旅行」が義母にとっては素晴らしいまでに思い出に残る場面の連続だった様子である。
 それまでは、「私はもう年老いたし旅行なんかしたくない」と言っていたのに、その後「また、旅行に行きたい」と私に訴えてくれる。 

 「そうしましょうね!」と義母を励ましつつも…

 
 ケアマンション暮らしの義母と多少ご無沙汰状態に相成ると、直ぐに何かの不都合を私に電話にて訴えてくる義母である。
 
 ある時は「机が低いから新しいものが欲しい」との要求だ。 その義母からの要請に応えケアマンションにお邪魔するととても嬉しそうで、これまた義母の脳内が活性化されている事態を私は読み取れる。
 「それではお義母さんが欲しい高さの机を私がネット検索して送りますから、お待ち下さいね。」と告げ、後日その机をネット検索経由で送付すると、それはそれは嬉しい様子ですぐに電話をかけてくれる。
 同じく「机に合う椅子も欲しい」との要望を義母から聞き入れた暁には、はたまたケアマンションまで参上し、帰宅後ネット検索により義母ケアマンションまで届けているとの有様だ。

 我が義母の場合、当然ながら後日その代金(以上の金額)を私宛に確実に支払ってくれるからこそ成り立っている関係なのだが。 (義母がその記憶まで不明瞭になった場合、私は一体如何に対応するべきか?!?


 今回、このエッセイを綴るきっかけを得たのは、朝日新聞3月1日「悩みのるつぼ」を見た事に遡る。

 相談者であられる、上野千鶴子氏のご回答が印象に刻まれているため、その一文を以下に紹介しよう。 
 戦前の時代とは女性が嫁いでから姑が先立つまで平均11年だった。 ところが現在に至っては(その期間が伸び過ぎて)、いつ終わるとも知れない「超高齢化社会」だ。
 問題は、相談者の貴方が姑の介護から報われたのかどうか。  その報われ方は二つ。
 まず、今までの姑への貢献を評価して夫からの相続分が増えたか否か?? 受け取る立場があなたでなくとも、いずれ夫名義の資産は半分あなたのもの。 そのためにも、夫より長生きしよう。


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 上野千鶴子氏が、上記“悩みのるつぼ”で回答している内容とは、もしかしたら、未だ公証役場にて先代の遺産の配分手続きを済ませていない人達を対象としておられるのではなかろうか。 
 確かに一家の世帯主である人物が他界した時点に於いては、法的にその相続とはまずは配偶者へ3分の2、その残高を子どもをはじめとする遺産相続人が等分に配分して引き継ぐのであろう。
 ところが、一旦正式「遺言状」を公証役場にて作成している場合に於いては、たとえ義母の面倒を死ぬまで看たとて、義母分の相続が一切介護担当人に来ない事も有り得るのだ!

 私にもその恐れは十分にある。
 もしも我が夫が、義母の死後受け継いだ財産を自分の死後全額娘に委ねるとの遺言書を「公証役場」にて作成したならば、私は自分が個人的に築き上げた財産のみで死ぬまでこの世を渡っていかねばならない切実な運命にあるし、その可能性が大である。

 まあ、たとえそうだとしても、私は義母の保証人代行として今後も機能していく所存だ。
 今現在、心の拠り所として(多少ボケた頭脳と耳の聞こえにくさを備えている身で)私を一番信頼し、依存してくれている現実に応えたいためだ。 

STAP騒動、私なら未熟者扱いされるより捏造を認めたい

2014年04月03日 | 時事論評
 元々医学関係の職に就いていた原左都子だが、私がしたためた医学論文が一番最初に日の目を見たのは1970年代後半の事である。
 学生時代に卒論課題として1年程の年月をかけて実施した医学研究成果をまとめた論文を、私の卒業後に担当教官が「BIOMEDICAL JOURNAL」なる医学雑誌に投稿してくれたのだ。

 既に上京して医学専門職社員として民間企業に勤めていた私の手元に、指導教官からその小冊子が届いた時には驚き、感激した。
 添えられていた手紙によれば、地元病院に就職する卒業生がほとんどの中、単身で上京して民間企業なる新天地で頑張る私にエールを贈る意味合いで今回医学雑誌に我が卒論を投稿してくれたとの事だ。 しかも、私の卒業研究にかける熱意の程が半端でなかったことが十分に伝わっていた、とも記して下さっていた。

 確かに、そうだったかもしれない。
 たかが学生の卒論であり、その内容たるやまさか当時の医学トピックス的な斬新なものではあり得ない。 私が取り上げた題材とは、結果を導くために地道なサンプリングを繰り返す等々、多大な時間を要するテーマだった。 そのサンプリング試験を来る日も来る日も夜遅くまで学内実験室で実施していた姿が、おそらく教官の記憶に刻まれた事であろう。
 しかも厳しい実験の合間に大学図書館へ通い、国内外医学論文を紐解き参照する事にも時間を割いた。
 更にはデータ解析時点での統計的処理にも十分に留意し、自分が納得出来る形に論文が仕上がった記憶もある。
 それでも、まさか指導教官が私の卒業後にそれを医学雑誌に投稿して下さるとは夢にも見ていなかった。 別に何らのトピックス性もなく、単に我が氏名(及び共同研究者と指導教官の氏名)及び論文内容が当時の医学雑誌の数ページに掲載されたのみだが、担当教官の“粋な計らい”に感激したとの話である。


 その後私は民間企業医学専門社員として、国内医学学会への研究発表機会が何度かあった。 私が発表者として壇上に立った経験もあれば、共同研究者の立場で名を連ねた事もある。
 そのすべてに於いて、世から「捏造」と騒がれる程の話題性のある発表をしていないことが幸いしているのであろうが、私の場合、何処からもその種のクレームを受けた経験はない。

 そもそも民間企業の立場で医学学会へ発表をエントリーする場合、(正直に言うと)“企業の知名度を上げる”事が社員の第一命題として発生する。 要するに、私の発表を見聞した医学諸機関が我が企業に興味を持ってくれるならば、それこそ我が使命を果たせるとの論理だ。
 その効果の程もまんざらではなかったようで、学会発表後、各医療機関より我が民間企業へ問い合わせが相次ぎ、それにも応える機会があった私だ。

 もしもこの場面に於いて私の学会発表に“捏造”があった場合、その責任の程は如何ばかりだったのだろう。 そんな事態を一末端民間社員が担えるはずもない。 少なくとも我が民間社員としての医学学会発表内容には“嘘偽り”はなかったものだ。

 片や、「未熟」観点に関してはどうだろう。
 まさか大学生の卒論でもあるまいし、一旦民間企業専門職と成った場面に於いて、「私は未熟でした」なる言い訳が通るはずもない。
 これに関しては私も一医学専門職員としてのプライドもあったし、その覚悟も決めていたと言える。


 ここで、STAP細胞騒動に話を移そう。

 当該騒動に対し、論文内容に不正が認定された問題で独立行政法人 理化学研究所の野依理事長が4月1日に記者会見し、「科学社会の信頼を損ないお詫び申し上げる」と謝罪したようだ。 それに伴い理研は、STAP細胞の有無から検証する方針との事である。
 
 (参考ではあるが)原左都子は近年この理化学研究所でアルバイトをしていた事もあり、現場“体質”の程をある程度認識している。
 その観点から申し上げるに、野依氏(元ノーベル賞受賞者であられる人物)よりの今回のSTAP騒動(不祥事と表現した方が適切と判断するが)に関する見解発表が遅すぎたのではあるまいか?!?

 
 しかももっと不幸な事には、STAP細胞提唱者である小保方晴子氏より「撤回の意思ない」との返答が届いている有様だ。

 それも無理ないとの感覚に陥る私でもある。
 今まで、誰が小保方氏に同調して来たのだ?!?  それは国内トップの「理化学研究所」たる基礎研究現場であり、国内有数の共同著名研究者達であり、理研トップ陣であろう。 更には米国ハーバード大学や、世界に名立たる科学誌「ネイチャー」の論文審査力の程も問いたいのは関の山なれど……


 未だ若き世代の小保方晴子氏が 今現在どこで如何なる“隠れ生活”を営まざる運命を背負っているのかに関して、私の立場では計り知れない。
 ただ、もしも小保方氏が本気でSTAP細胞基礎研究者の立場を再度ゲットしたいとの熱意を抱いているのであるならば、今一度何処かの大学で博士論文を書き直す作業を志してはどうか。

 貴方は今回のSTAP細胞騒動に際して、「研究者として未熟」なる理研からの“擁護”発言にすっかり依存しているのか、「捏造」との結論に異議申し立てしておられる様子だ。


 最後に、原左都子の結論で締めくくろう。

 もしも小保方氏ご本人に今後も万能細胞研究によりこの世を操るべく理念と決断があるのならば、周囲よりの「未熟者発言」に依存するよりも、今回はきっぱりと「捏造」を認めては如何だろうか。
 その上で再出発して、あなたが信じる「STAP細胞研究」に今一度地道に専念する方がはるかに貴方の未来が明るいと想像するのだが如何だろう……