原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ディズニーリゾート低迷不振の真相を探る

2011年08月10日 | 時事論評
 1983年の開業以来大活況を続け、日本に於けるテーマパークの王者の地位を揺ぎなく築き上げてきた 東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド及び東京ディズニーシー)が、3月の大震災発生後低迷不振を続けているとの報道である。

 先だってのニュース報道によると、経営主体である㈱オリエンタルランドは、3月11日に発生した東日本大震災後、長期間休館を余儀なくされたことがその後の入場者数を減少させている原因と位置付けているようだ。


 3月11日の大震災当日に東京ディズニーリゾートを訪れた顧客総数は7万名程であったようだ。 そのうち首都圏の交通網の不通や混乱により、自宅までの帰路を確保できた顧客を除き5万5千人もの大量の顧客が帰宅難民となり、リゾート内で一夜を過ごしたとのことだ。
 その翌日より、当然ながらディズニーリゾートも大震災の影響により休園と相成る。

 日本に名立たるテーマパークとは日頃巨大な収入を得ている恩返しとして、このような大震災復興時にこそ、国民が元気を取り戻すべく娯楽分野において社会的責任を担う事を使命としているものと私は捉えていた。 
 ところがその予想に反して休館期間が予想以上に長期に及んでいる事を、私はてっきり千葉県浦安市の埋立地に発生した“液状化現象”の影響を東京ディズニーリゾートも受けているものと勘違いしていた。

 千葉県浦安市の埋立地に林立するかのごとく建設された超高層マンションの数多くが、この“液状化現象”の打撃を受けたとの報道は大震災直後に何度も耳にした。 これらのマンションとは住民にとっては“富の象徴”であったらしく、東京の“シロガネーゼ”や神戸の“アシアレーヌ”をもじって“浦安マリナーゼ”なる新語も生まれる程に、地域住民にとっては特権意識をくすぐられるものであったらしい……
 千葉県浦安市の埋立地に住んで特権意識を煽られる???  (私など元々そんな地に住みたいとの発想すら湧かないのだが…)  
 いえいえ、失礼を申し上げました。 液状化現象による被害は甚大なことであろう。 “浦安マリナーゼ”の皆さん、今後も建設販売主やそれを認可した自治体と果敢に闘われつつ、どうか原状回復を急がれますように…


 さて、東京ディズニーリゾートに話を戻すと、大震災後閉園が長期に渡った理由は“液状化現象”故ではなかった様子だ。 どうやら、ディズニーリゾートがそびえ立つ地は“液状化現象”とは無縁の地であったらしい。
 それでは何故に、東京ディズニーリゾートは大震災後の開園を遅らせたのであろうか?

 これに関しては、当然ながら顧客の安全性を確保するためであって欲しいと一市民としては望みたいところであるし、実際問題そうだったのだろうと推測できる。

 ところが、そう推測するに当たって多少の疑問点があるのだ。
 3月11日の大震災発生時には千葉県浦安市においては震度5強以上の揺れを観測しているはずである。
 その揺れにもかかわらず、東京ディズニーリゾートにおいては死者は元より負傷者の一人とて出していない。 それはこの種の大量顧客を動員するテーマパークにおいては厳重な危機管理がなされていた証拠でもあろう。
 東京ディズニーリゾートがその後長期間休園を与儀なくされたのも、当然ながらこの危機管理力の完全復活を徹底するためだったと推測したい。

 ただ長い閉園期間を経て開園してみると、予想以上に顧客が訪れないことに一番困惑しているのが、経営主体である㈱オリエンタルランドなのではあるまいか?

 大震災による国民の精神面での影響は、首都圏周辺の住民にとっては既に過ぎ去っているのが事実であろう。 そして現在東京ディズニーリゾートの最大の顧客層であろうアジア地域のニューリッチに対しても、原発事故の放射能の風評悪影響情報は沈下しつつある。


 では何故に顧客が“ガタ減り”なのか??

 原左都子が考察するに、その要因とは「マンネリ化」以外にあり得ないのではなかろうか?

 本エッセイ集の2011年2月の時事論評バックナンバー 「ディズニーリゾートに見る若者の“似非”同調志向」 においても綴っているが、現在あの地に出向くと望みもしない妙な“似非”同調志向を強要されるのだ。
 これがもしも小さい子どもでも連れているのなら、我が子のためにミッキーを筆頭とするディズニーキャラを愛好しているがごとくの演技もやむを得ない。 ところが、単に休日の開放感を楽しみたいのみの来園者も含めて、来園者全員にディズニーキャラ愛好の演技を強要されたのではたまったものではない。
 結果として、現在のディズニーリゾートとは“ディズニーおたく”が集う場に変貌するべく落ちぶれていて、“おたく”ではない来園者にとっては居場所がないのが現状なのだ。

 その種の「特異的マンネリ化現象」に実は前々から嫌気がさしていた人種が、大震災後の休園をきっかけとして東京ディズニーリゾート離れを起こしているのが現在の低迷不振の真相ではないのか、と考察するのが原左都子の私論である。

 現在、子ども料金を半額にして夏休み中の子供連れの来園増を目論んでいるディズニーリゾートのようだが、その効果の程はどうなのだろう??
 
 如何なるリゾート地とて、もちろん経営者の理念により運営すればそれでよいことである。
 ただ東京ディズニーリゾートと言えば、既に30年来に渡り国民的、国際的リゾート地として内外にその名を轟かせてきている歴史を抱えているのが事実であろう。
 本家本元のウォルトディズニー社とのライセンス契約の軋轢がネックなのかもしれないが、来園者あってのリゾートであることを今後共肝に命じて欲しいものでもある。

 妙な“おたく”“同調意識”を感じさせず広く一般に真に愛されるリゾートであることが可能ならば、今後も国内外を問わず観光客が末永く押し寄せるのではあるまいか??
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放射能風評、未だ鎮まらず。 (ゴチ)
2011-08-10 23:12:51
確かに30年間のマンネリもあるかと思いますが、やはり最大の原因は放射能だと思います。私でさえ、申し訳ないと思いつつ関東の野菜などは避けています。魚もです。訪日外国人観光客の動向は
1月 71万人
2月 68万人
3月 35万人
4月 29万人
5月 36万人
6月 43万人
徐々に回復しつつありますが、目的はショッピング、温泉などが多く子供連れのテーマパーク訪問は圧倒的に少ないです。放射能による子供への影響を恐れ、子供同伴の観光が少ないと思っています。食への不安も有ると考えられます。勿論、お宅志向の運営にも陰りが見え始めた事もあるかと思います。
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ディズニーに行きたい気持ちを自粛 (ドカドン)
2011-08-11 04:12:27
私は、下の娘が幼稚園で、新幹線代やホテル代の負担が小さい時に、ディズニーランドに行きました。
近くに行けば、ずっと以前からディズニーランドのファンだったと錯覚させる魅力がありました。

今後、再びこの地を訪れるか?と質問されれば、「もう一度遊びに来たい」と、言うでしょうし、ディズニーの魅力は、別格です!
でも、ディズニーはお祭りみたいなもので、震災以降の自粛ムードは正直あるし、被災地に近く液化現象の被害を受けたというイメージも恐いです。

我々、関西人からすると、親子4人、10万以上出してまで、行こうかって雰囲気には中々なれません。
もし、真剣に来客数を増やしたいのであれば、震災の後片付けを進めなくてはならないでしょう。

菅さんスッパリと止めてください。
震災の特例法案をどんどん国会で通してください。
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ゴチさんレポートによりますと、放射能風評が原因とのことですね。 (原左都子)
2011-08-11 16:32:27
なるほど、なるほど。 外国人観光客の来日自体は持ち直しているようですが、その目的地が東京ディズニーランドにはないとのことですね。

でもゴチさん、ゴチさん宅とて我が家とて福島原発からの距離は千葉県浦安市とさほど変わりないのではないでしょうか?
という事は、東京も横浜も南や北の地域からすると放射能の危険性が高く、それ故に観光目的で訪れる事を国民全体が回避しているとのことですね?
確かに関西地方に住むドカドンさんも、今はディズニーランド訪問を避けていらっしゃるようですし…

私自身は本文に記した通り、あの“ディズニーおたく”どもに同調させられることがアホらし過ぎて今後一切あの地に訪れたいとは思わないのですが、やはり、最大の原因は放射能にあるのでしょうかね???

そうすると、放射能風評が完全に過ぎ去った頃にあの地に人がどれ程訪れるのかが見ものですね!
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ドカドンさんの子どもさんはまだまだディズニー適齢期ですね! (原左都子)
2011-08-11 16:46:35
私も我が子が小学生までは、浦安市が近いこともあって積極的に子どもを連れて出かけましたよ。
子どもが喜ぶ姿を見る事こそが親の喜びでもありますから!

ですが、今年の2月に我が娘と一緒にディズニーシーに訪れた時には、さすがに娘も同年の高校生がミニーのカチューシャを頭に被ってはしゃいでいる姿を見て、「あのカチューシャだけは恥ずかしいから勘弁して欲しい…」旨の発言をしていました。
やはり、“ディズニーおたく”こそがディズニーリゾートに出没する時代背景となっているように感じます。

それからドカドンさんが指摘されているように、今やディズニーリゾートは“コストパフォーマンス”の点でも多少無理がある感覚を持っている私です。
我が家の場合電車賃だけで現地に行けますが、現地の“パスポート”代金が大人が6000円を超えているとは、この経済雇用難の時代背景とかけ離れている印象を持ちます。

震災の後片付けに関しては、菅さんの首を挿げ替えても思い通りにはいかないどころか後退するのではないかと私は懸念しています。
これに関しては、日を改めてエッセイを綴る予定でおります。
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私も行きたい (tagu)
2011-08-12 14:03:48
 私の私心 私自身ディズニーリゾートは大好きです、特に

 ディズニーシーは大好きで、妻と結婚する前から後も

 年に2回は出かけてました。

 でも、今年はまだ出かけてません。

 行きたい気もするのですが、出かけて万が一地震で

 交通網が遮断されたら、あの距離だとちょっと歩いて

 帰るのはなあと言う事と、特にディズニーシーは

 水が多いので、津波とは言わないまでも、増水の怖さは

 ありますからね。

  放射能は関東に住んでいますので、とっくに浴びて

 しまっていますのであきらめてますけど(特に3号機の

 核爆発の日も外にいたかも)

  自分の事はともかく、現象としてのディズニーリゾート

 を訪れる方の減少は、当然海外の方は少なくなりますよね

 海外の人にとっては、怖いですよね、地震も津波も放射能

 も、その3つのリスクを侵してまでもまでも、来なく

 なっているのでしょうね。 ディズニーが減ったと言う

 よりも、日本を訪れる外国人及び 関東(東日本全体)

 を訪れる、関東以西の方達自体が全体が全体的に

 減ったのでしょうね。

  本来は資本主義が熟成した国は、一次産業二次産業は

 ダメになっていて、三次産業(特に観光)で、国の運営を

 して行くのも手だったのでしょうが(これは海外に観光に

 出かけた人より、日本に来た人が多い方が好ましい)

 未だに放射能の事もあり、もはや、その手も無くなって

 しまいましたね。(それでも円高なのはアメリカの無策と

 意外に先進ヨーロッパが政治不信の為か?)

  それでもガツガツしないで、なるようになると思って

 生きていくしか無いのでしょうね。
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taguさん、ディズニーリゾートは彼氏(彼女)と行くのが一番ですね! (原左都子)
2011-08-13 08:43:39
taguさんは奥様とディズニーシーに何度か行かれたようですが、やはりディズニーリゾートへはカップルで行くのが一番ですね!

私も独身時代(まだディズニーランドしかなかった時代ですが)には、必ずや彼氏と2人で行きました。
その頃の顧客層は多様でしたが、小さな子ども達がミッキーのカチューシャを被ったりぬいぐるみを持ってはしゃいでいる分には何らの違和感もなかったものです…
若者達はやはりカップルが多くて、それぞれがそれぞれの休日を楽しんでいる様子でした。

その後我が子が幼少時から小学生の頃に連れて行った時にも、まだ顧客は多様だった記憶があります。

“ディズニーおたく”が出没するようになったのはいつ頃からの事でしょう???
結局はディズニーグッズ販売が経営の支柱であり、その販売利益を上げねば経営が成り立たないのでしょう。 それで“おたく”相手にグッズ販促を煽っている結果、園内にあの“おたく”どもが蔓延ってしまうのでしょうが、目障りこの上ないし、園内であの人種に付き合わされるのはまっぴらごめんと言ったところです。

ディズニーリゾートに限らず日本を訪れる外国人自体が減少していますが、やはりその一番の要因は長引く円高でしょうね。
それにtaguさんがおっしゃる通り、大震災時の原発事故による放射能汚染が追い討ちをかけています。

円高、株価暴落はいまや世界が連動していますから、日本のみの努力でどうにかなるものでもないのもtaguさんが指摘される通りですね。

そんな世の中であっても、せめても休日の娯楽ぐらいは開放感を得たいものです。
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