原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

高齢者医療、認知症者との間に「問診」が成り立ち得るのか?

2018年07月26日 | 医学・医療・介護
 先週末の事だが、高齢者介護施設に暮らす義母より久々の電話があった。

 何分、認知症状悪化の一途に加え耳の聞こえにくさ加減も極限に達しようとしている中、義母本人の電話能力が極度に低下している。 
 そのお陰で義母からの電話着信が激減しているのを、“これ幸い”としている保証人の私だが…


 猛暑続きのこんな折に、施設にて何かのトラブルか?!? と嫌な予感がしつつ電話口に出てみると。

 義母曰く、「施設の訪問医先生から定期問診の際、肺の“再検査”を受けるように言われたの。1度ならばともかく、その医師先生から2度も言われたのよ。 それまでは特段肺の症状は無かったのだけど、医師先生からそう言われると何だか肺がおかしいような気もするし…  それで、もう一人の訪問医先生と施設の看護師さんにも相談したのだけど、二人とも再検査の必要はないのでは…、と言うのよ。 〇子さん(私の事)はどうすればいいと思う?」

 実はこの問題、既に決着が付いている。
 その後、直ぐに義母保証人の私から施設のケアマネージャー氏に文面(手紙)にて詳細に渡る“事実確認”をした。 そうしない事には、認知症状を抱える義母の言い分が真実なのか否か、判断不能なためだ。 
 そして判明したのは、訪問医師は義母に対して「再検査」を促してはいない、との結論だった。
 5月の健診後、訪問医が「肺陳旧性陰影 D1」 結果が出ている事実のみを訪問医問診時に義母に伝えたが、「再検査」の言葉は発していない、とのケアマネ氏調査結果だった。 別の医師と看護師が再検査の必要は無いと言っているとの事実は、義母の言い分通りだった。

 何故、認知症状を抱える義母に上記のような聞き違い・勘違いが出現してしまうのかに関しては、既に分析済みだ。 
 とにかく、義母とは若い頃から現在に至るまで、医療依存・医師依存を貫いて来ている人物である。 身体の何処かに異変が生じるとすぐさま病院受診し、医師の診断とその後の医療措置に“ぞっこん身を委ねる”歴史を刻んで現在に至っている。 この世で医師程“偉い”人はおらず、その人が発する言葉こそが崇高だと信じて疑っていない。
 おそらく6月・7月と2度の施設での問診時に、当該訪問医が健診結果報告を義母相手に2度繰り返したのだろうが、それを義母が「再検査が必要だ」と勝手に捉えたということであろう。


 ただ医学経験がある私にとって、今回の義母の再検査騒動に関し釈然としない点が残っている。

 実は、施設にて5月に実施された義母の「健診結果個人票」内容に関しては、直後に施設から郵送されてきたその書面にて、重々把握していた。 
 義母との人物は本人が騒ぎ立てる程に身体的欠陥を抱えておらず、むしろ長生きをするのではないかと毎年「健診結果」を見ては思い知らされている。 健診結果によれば致命的分野など何ら無いが故に、このまま事故等に遭遇せねば、おそらく後5年、下手をすると後10年生命を繋げそうだと保証人である私は覚悟を決めている。 (参考だが義母はもうすぐ87歳…)

 今回の「肺陳旧性陰影」に関しても、過去に於いて肺炎にでも罹患した痕の残影であろう。(義母もそれを認めている。)  参考だが、この私も子供の頃に罹患した肺炎の残影を、過去の健診・胸部X線検査後に複数回指摘された経験がある。
 それを高齢者施設訪問医が、1度ならともかく2度にも及んで認知症状が進んでいる高齢者相手に問診時に伝える必然性があるのか!?! と義母から電話を受けた時点で実に腹立たしかったものだ。


 以下の記述は、私が義母施設のケアマネ氏宛の文書(手紙)にも記載した内容だが。

 高齢者医療の実態を、その訪問医がどれ程我が事として理解出来ているのか、認知症等々高齢者が置かれている立場を真に慮って健診結果を問診時に高齢者本人に伝えているのか? 
 「医師」と名の付く人物に無責任に高齢者に対応されたものならば、本人はもちろんのこと、保証人である家族も如何に混乱させられるか、少しは医療従事者の立場でもう少し広い視野で物事を考えて欲しいものだ。

 残念ながら、我がこの訴えに対するケアマネ氏の回答は無かった。

 そりゃそうだろう。

 未だに「医師」とは、医療界に於いて“絶大な権力”の下に君臨している最高権力者である故だろう。 
 その僕(しもべ)に位置するパラメディカル人材が、底辺で何らかを発言出来るすべもないのは、我が過去経験から重々思い知らされている。
 (それを嫌悪したが故に、私は臨床現場への就職を徹底的に避けたとも考察可能だが…。)

 いや、我が過去のマイナーな医学経験を振り返るのはもう辞めにしよう。
 その後素晴らしい臨床医先生との出会いにも恵まれ、現在に至っている。

 そうだとしても。
 高齢者医療に携わる臨床医の皆様。
 特に認知症状を抱える高齢者に向かって、D1レベルの健診結果を幾度も直接伝えるのは控えて頂けないだろうか?!? 
 今まで通り施設を経由する文書にて家族である保証人に健診結果を伝え、その判断を保証人に委ねて下されば嬉しいのだが……

この記事についてブログを書く
« 早稲田政経入試に今まで「数... | TOP | 片方から依存性ある人間関係... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 医学・医療・介護