原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

南北首脳会談で世界の“蚊帳の外”に置かれた安倍首相と日本

2018年04月28日 | 時事論評
 冒頭から、上記表題に関するネット情報を要約引用して紹介しよう。


 外交の成果をアピールしてきた安倍晋三首相が、朝鮮半島情勢の激変に置き去りにされている。
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日、板門店(パンムンジョム)の韓国側施設で共同宣言に署名し、「南北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と発表した。
 昨年までの戦争危機から一変、南北和解ムードが高まっている。だが、そこに安倍首相の存在感はない。
 会談終了後、首相官邸で記者から「日本は蚊帳の外に置かれているのでは」と質問された安倍首相は、「それはまったくありません」と語気を強くして反論。 米国や韓国と連携して北朝鮮外交に取り組んでいると説明した。 それは本当なのか。
 「日本はこれまで圧力一辺倒で、ウラ側で直接交渉を探る動きはほとんどなかった。 今は朝鮮総連を通じて日朝首脳会談の打診をしていると言われているが、今さら手のひらを返しても相手にされるわけがない」(外交筋)
 北朝鮮だけでなく、韓国からも軽視される日本。 
 韓国国内では南北首脳会談を成功させた文在寅氏への評価は高まっていて、保守派も含めて好意的に受け止められているという。 一方、日本への関心は低い。
 「今回の会談は、6月にも開かれる米朝首脳会談の地ならしのようなもの。金正恩氏と文在寅氏の二人きりの30分の会談も、今後の米朝交渉に向けての話だった可能性が高い。 韓国、北朝鮮、米国でここまで話が進んでいる中で、日本を枠組みの中に入れようとは考えていないのが実情です」(韓国の裴氏)
 年が明けてから金正恩氏は「威嚇」から「交渉」に一気に舵を切った。 平昌五輪では「ほほえみ外交」を駆使して南北協力をアピール。 米朝首脳会談の合意など、北朝鮮と韓国の望むシナリオが次々実現していった。
 その動きを見て、中国とロシアも北朝鮮との連携を着々と深めている。
 3月下旬には習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談するため、金正恩氏が北京を訪問。 両国の関係改善や朝鮮半島の非核化で一致した。
 ロシアのラブロフ外相は4月10日、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相とモスクワで会談。 時期は明示しなかったが、ロ朝首脳会談開催の可能性も示唆した。 6月に予定されている米朝首脳会談の前に、プーチン大統領と金正恩氏の会談が実現する可能性もあるとの談話もある。
 激変する北朝鮮の動きに安倍首相が行動できたのは、トランプ米大統領や文在寅氏に拉致問題を会談で取り上げるよう求めたことぐらい。 両氏から同意を得ることはできたが、南北首脳会談の板門店宣言では拉致について触れられずじまい。 成果に結びつくかは不透明だ。
 「トランプ氏は約束した以上は会談の場で取り上げるでしょうが、それで拉致問題が進展するとは思えません。この問題は直接交渉でしか解決しませんから」(外交筋談話)
 金正恩氏の巧みな米韓中ロへの外交攻勢に、日本は八方塞がりの状態だ。 前出の裴氏は、こう話す。
「金正恩氏は緻密な計算によってシナリオを実現させたが、米朝首脳会談がどこまで成果を挙げるかはいまだ不透明なまま。 こうなると安倍首相が独自に動くのは難しく、朝鮮半島情勢の行方を見守るしかないのではないか」
 (以上、AERA dot.編集部・西岡千史氏によるネット情報より一部を引用したもの。)


 原左都子の私見に入ろう。
 
 昨日、私は時間の許す限り、板門店にて実施された南北朝鮮首脳会談のテレビニュース報道を見守った。
 70年間近くに及ぶ南北朝鮮の分断と対立を乗り越え、史上3度目の実施だった南北朝鮮両首脳の言動の様子を、是非ともこの目で凝視したかったからだ。

 板門店の軍事境界線を越えて韓国に訪れようとする北朝鮮の金正恩委員長を、満面の笑みで待ち受ける韓国文在寅大統領。
 金正恩委員長も最初は護衛と共に歩いていたが、南側で手を振る文在寅大統領の満面の笑顔を確認するなり一人で足早に歩き始め、軍事境界線を挟んで固く握手を交わす。

 その後、私にとって感激の場面があった。
 「ようこそ韓国へ!」と南へ招かれた金正恩氏だが、まずは南側で二人で握手と挨拶を交わした後の事だ。
 文在寅氏に対しまるで「我が国北朝鮮へもどうぞ!」と言わんばかりに、再び軍事境界線を二人でまたぎ、今度は北側で同じように二人が挨拶と握手を交わしたのだ。
 あの時の映像は元々のスケジュールには無く、金正恩氏のサプライズ・アイデアであったと私は推測する。
 
 別のニュース報道で見た映像は、既に両首脳が着席した場面だった。
 その時に、メモを見る事無く発せられた金正恩氏からの“本音と思しき”挨拶談話にもプラスの意味合いで驚かされた。
 文在寅氏と面と向かった場面に於いて、金正恩氏からの初めて「正式談話」だったようだが、その談話内容が自然であり饒舌だったことにも衝撃を受けた。

 ずっと以前に遡るが。  金正恩氏が未成年の頃、海外(スイスだったと記憶しているが)留学している映像がテレビ報道に取り上げられた場面を私は思い起こした。
 金正恩氏は今現在太っている。(これに関しては先々代の金日成主席に似せるために故意にあの体型を作り出している、との情報に触れた事もある。)  その留学映像内の金正恩氏はごく普通に可愛らしい青年(少年?)であり、周囲の諸外国からの留学生と流暢な英語で打ち解けつつ楽しく暮らす様子が放映されたのだ。
 その後時が経過し、北朝鮮労働党委員長として金正日氏の死後を受け継ぐ後継者に金正恩氏が指名された時に、我が脳裏に過った事実とは。 3名存在する後継者の中で、おそらく金正恩氏が一番優秀なのだろう、との憶測だった。

 昨日の「板門店」で私が再認識させられたのは、やはり金正恩氏とは元々聡明な人物なのではなかろうか、との事実だ。
 そして同様に、その金正恩氏を南側に招く事に成功した文在寅氏もまた、優秀な人物であろう。(韓国にて弁護士でもあられるようだが。)

 そんな元々聡明かつ優秀な人物二人の個々の触れ合いが招いた結果の、今回の「南北朝鮮・板門店会談」の成功であったのではないかと結論付けたい。

 おっとっと。 ここで安倍晋三氏を引き合いに出したいものだが、それはいくら何でも失礼であろうから慎むべきだろう。
 

 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 その場が国家間であれ、ごく身近な庶民間であれ---
 とりあえず人と人とが誠意を持ってきちんと話し合うためには、快い会話の場が設定・提供されねばならないのが第一の条件であろう。
 その意味で、韓国文在寅大統領の「板門店首脳会談」は大成功を遂げたと私は大いに評価する。

 ただ…。
 上記ネット情報が提示している通り、今後の課題が膨大であるのも事実だ。

 実際問題、金正恩氏は既に北朝鮮に帰った。
 その金正恩氏が北朝鮮国家最高責任者として抱える課題は膨大だろう。 何分、今まで「非核化」と正反対の政策を国民に信じ込ませて来ている。 昨日文氏とそれはやらないと約束したとて、未だ若き金正恩氏が一体今後如何に身を振るのだろう。

 あるいは、6月には米朝首脳会談を控えている。
 トランプ氏とは文在寅氏とは正反対に、相手を容赦なく斬り捨てる人物だ。 
 実際問題、米朝首脳会談が真に開催される事を、私は未だ想像出来ないのだが…

 それにしても……
 かの安倍晋三氏が、これら首脳会談とは縁の無い空間で“ノーテンキ”に彷徨うばかりの「不甲斐ない国家主席」である実情を、再度一国民として叩きつけられる思いだ……

この記事についてブログを書く
« 根拠不明の似非科学に膨大な... | TOP | パズル「推理」 ー朝日新聞20... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 時事論評