原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

欠陥マンションを買わされているかもしれない恐怖

2015年10月17日 | 時事論評
 我が人生に於いて4つのマンション物件を買い求めた経験がある身にして、現在横浜市都筑区で発生しているマンション建築不正問題は、まさに他人事でない感覚だ。

 何度購入しようが、たとえ販売会社や建設施工会社が大手企業であろうがなかろうが、マンション建築に関して素人の立場としては、いつも「もしかしたら欠陥マンションではなかろうか?」なる不安感がついて回ったものだ。


 そこで我が家が採った対策とは、販促用パンフレットでは得られない情報に関して、購入前段階で物件販売会社に建築仕様に関する詳細事項を確認することだった。 
 熱心に質問すると、必ずや販売担当員氏は分厚い“建築仕様書”を持って来て説明してくれる。
 それでも建築のプロでもない限りやはり詳細は分かりにくい。 たとえそうであれ、わざわざ建設仕様書を持参して顧客の質問に応えようとする販売員の前向きの姿勢があれば、第一関門がクリアされる感覚はあった。


 冒頭でいきなりだが、何故このようなマンション建築不正問題が発生してしまうのかに関する、原左都子の結論私論を述べさせてもらおう。

 現在のマンション販売の実態とは、物件建設会社(及びその子会社、更には孫会社)と販売会社を“わざと”別にしている感を抱く。 そうすることにより、建築不正等のトラブルが表面化した場合の責任体制を分散させる(悪く言うと、顧客にとっては“煙に巻かれる”思いで一体何処に訴え出てよいのか分からない)状態を故意に作り上げている実態であると私は感じるのだ。 
 要するにマンション建設・販売業界全体がグルになって、「責任逃れ」の体質を作り上げていると言えるのではあるまいか。

 と言うのも、私が現在住んでいる(4件目に購入した)マンション物件も、建設施工会社は“長谷工”だが、販売会社は上記横浜の建築不正物件を販売した“三井不動産”だったのだ。
 私としては販売会社である三井不動産の販売担当者相手に、当該物件が「欠陥マンション」では無いことに関して重々質問した。 それでも一旦物件が顧客に引き渡された暁には、すべての責任の所在が「長谷工」の管理会社に全面的に移行するはめとなった。 販売会社である“三井不動産”の販売責任の程が一体どういう扱いになるのか分からないままに、(なんか問題があったら長谷工へ言えよなー)なる体質が存在する事実が身に沁みたものだ。

 そして実際問題現在住んでいるマンション物件で入居当初より、フローリングの床に凸凹感があるとの室内問題が発生した。 (我が家の場合マンション建築自体に関する瑕疵ではなく、室内の瑕疵だったことに救われたとも言えるが。)
 結局入居後の室内保障期間内であるにもかからわず、我が家の訴えは認められずに現在に至っている…


 少し遡って、3つ目に購入したマンション物件は、国内新鋭不動産会社が売りに出した物件だった。 これに関しては、さすがに販売も建設も同じ不動産会社が執り行っていた。
 我が家にとっては、単に亭主の勤務先に近いとの理由のみで購入しただけの話だが、私にとっては最寄り駅まで徒歩で行くには遠いし、様々な意味合いで不都合が多い場所に存在していた。 (その割には物件価格が高額だったのは時代の経済的趨勢もあったのだろうが…)

 その物件に入居直後に、家中のカーテンオーダーを発注した。  その時に訪れたカーテン業担当者氏曰く、 「ここの物件はカーテン設置の重みに耐える梁が壁内部に設置されていません。 正直言いますと壁の内部全部がズボズボ状態です。 仕方がありませんから、柱に取り付ける事になりますがそれでいいですか?」  突然その話を聞かされた私は、(失礼な業者担当者だなあ…)とのマイナス印象を持ちつつも、「そうして下さい」と応えるしかなかったものだ。
 その後、新築にして年数がさほど経過しないうちに、リビングルームの天井コンクリートに“ひび”が入っているのを亭主が発見して言うには、「このマンション、欠陥工事をしているのではないのか…」
 そうこうしているうちに、我が家は別の理由により別新築マンション物件(現在の住居)を買い求め転居した。 
 我々一家が、新築別マンションを購入して転居した直ぐ後の事だろうか。
 上記当該国内新鋭不動産会社がとてつもない不祥事を起こしたニュースを見聞した。 報道によれば、某新鋭不動産企業は建設法に違反して高層住宅建設禁止地(東京国立市だが)に高層マンションを建設したとの事だ。 住民投票により立ち退きを要請されたとの報道を記憶している。  


 さて、話題を横浜市都筑区の大規模マンションに移そう。

 本日のネット情報より、以下に一部を要約引用する。

 横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、売り主側の説明会が10月16日で終わったことを受け、住民からは17日朝、「他にもまだ不正があるのでは」「建て替えは実現困難」と業者への不信や不安の声が聞かれた。 マンション完成当初から約8年間両親と住んでいるという40代の男性会社員は、「データを改ざんした担当者は、まだほかにも不正をやっているのではないか」と疑念を示した。
 会社側の建て替え案については、「補修した欠陥マンションは価値が下がるし、20年、30年後も安全に住めるか分からない。それを新品に建て替えてくれるなら賛成だが、『引っ越しは嫌だ』と言う住民は意外と多い。。
 この男性は約4000万円で購入したというが、「今はマンション価格が上昇していて、買い替えるにしても同じ値段だと2割は狭くなるようだ」と困惑した様子だった。
 別の若い男性会社員は「高齢の親と住んでいるので、(建て替えで)引っ越せと言われても困る」と顔を曇らせる。建て替え実現には期待していないといい、「会社側には誠心誠意、補償で対応してもらいたい」と話した。
 40代の女性会社員は「くいは見えないところ。強度は大丈夫なのか心配」と不安そうな様子。マンションは大型商業施設に近く、「買い物が便利だから、できればここに住み続けたい。早く解決してほしいけれど、時間がかかりそう」と話した。 
 基礎のくい打ち工事で偽装データを使った旭化成建材は16日、くい打ちをした全国のマンションや商業ビルなど約3000棟の都道府県別の棟数を来週にも公表することを明らかにした。また、事業主の三井不動産レジデンシャルは15日夜の住民説明会で全4棟の建て替えを念頭に住民と協議する方針を明らかにした。 建て替えの場合、3年半ほどかかる見通しを示したという。
 旭化成建材によると、同社がくい打ちをしたマンションに関する問い合わせが多いため、都道府県別の棟数を公表することにしたという。ただ、住民や所有者の同意が得られていないため、建物の名称は明らかにしない方針。 
 同社は今月9日に始めた住民説明会で、全棟の建物に構造上問題となるひび割れがないことなどから、くいの是正工事で正常な状態に戻し、設計時の構造強度にする方針を示していたが、15日夜の説明会では方針を大きく転換し、全棟建て替えに言及した。
 (以上、ネット情報より要約引用したもの。)


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。
 
 マンション物件とは、(本日還暦を迎えた私のごとくの)比較的元気な高齢者にとっては実に住み易い場所であると日々認識・実感している。
 入居後のセキュリティシステムは万全だし、今後の物件管理・修繕は(月々管理費と修繕積立金を支払っておきさえすれば)すべて管理会社がやってくれるしで、おそらく個人が一戸建て住居を建てメンテナンスをし続けるよりも“楽を出来る”と言う点で優れていると私は評価している。

 ところが、その物件が一旦“建築不正があった”と判断されたならばそれはそれは大変な事態だ。

 実際に建設不正物件を購入させられた横浜マンションの方々の、今後のご安泰をお祈り申し上げるしか方策がとれないと言うものだ。

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