原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

広島土砂災害、政権は早急に国土地質調査を!

2014年08月21日 | 時事論評
 8月20日未明、広島市北部に広範囲に渡り甚大な被害をもたらした土砂災害は、本日昼時点で死者39名、行方不明者7名を出す大惨事となっている。

 災害発生当時山梨県にて夏季休暇中だったらしい安倍総理は、急きょ首相官邸へ戻り、広島県知事よりの陸上自衛隊派遣要請に応え、数百人の自衛隊緊急救助隊員を現地に派遣したとの昨日のニュース報道だ。

 更に本日昼のNHKニュースによれば、古屋圭司防災担当相が被災地である広島市北部へ現地入りした映像が写し出された。
 その古屋大臣曰く、「今回は自治体からの避難勧告が遅すぎた。少しでも早期にそれが出されていたらこれほどまでの犠牲者を出さずに済んだはずだ…」 (原左都子の記憶のみに頼っているため、不正確な場合お詫びするが。)

 ここで一旦、私論に入ろう。

 私は3本前の本エッセイ集に於いて、「ずさんな自治体避難命令に異議申し立てする!」 と題するバックナンバーを公開している。
 その一部を以下に要約して紹介しよう。

 (我が出身地でも今夏は豪雨や台風による甚大な被害を出しているのだが)、台風11号直撃時に郷里の母が電話で曰く、「これから自治体の指示により避難する事になった。 高齢者の私を避難所まで車で連れて行ってくれる地域担当女性が近くに住んでいて、迎えに来てくれる。」   そんな事態になっても不思議ではない事は、遠方に住む私にもテレビライブ台風映像を見れば理解可能だ。  ただ、ちょっとおかしいんじゃないの?? なる疑問符が私の脳裏をかすめる。  台風直撃による暴風雨の真最中に、何でこんな夜になって自治体は避難命令を出したのか!? これじゃあ、避難所へ移動中に暴風雨に打たれて死ね!と言ってるも同然ではないのか??
 そうこう考えている中、テレビニュースは三重県の自治体が次々と避難命令を出している報道を繰り返している。  やはり他府県でもこんな夜の時間帯に住民を避難させるのか??と驚きつつ、私はある事に気付いた。  どうも、避難命令・指示が地方自治体間で「連鎖」しているのだ。 その「連鎖」状態に避難命令発動に於ける「他力本願」性を嗅ぎ取った私だ。   要するに、「隣の自治体が避難命令を出したからうちも出すべきかなあ?」なる論理が自治体間で行き交っているとすると、そんな無責任な話はないだろうに… なる不信感が我が脳裏をもたげる。
 さて、次の日(8月11日)の各メディア報道によれば、徳島県阿南市に位置する加茂谷中学校周辺が、近くを流れる那賀川の氾濫により、一時2階部分まで浸水したとの事だ。  この報道に於いて私が一番驚かされたのは、当該公立中学校が地元住民の「避難場所」として指定されていた事態であり、実際にこの中学校に避難していた住民が少なからず存在した事実だ。  今回の場合、自治体としては“歴史的に鑑みても想定外の洪水”だったらしいのだが…。
 それにしても、“安易に”地元の公立小中学校を「避難場所」とする地方自治体の政策こそ、どうにか改善出来ないものか??
 原左都子家では我が家なりの“独自の避難所”を設定している。  それこそ、築11年にして上階に位置するマンション物件である「我が家」に他ならない。  火事以外は、まかり間違っても何処に避難するでもなく、この場に留まる事が命を繋げる最善の場であると、私は家族に教育し続けている。
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用。)


 話を上記の古屋防災担当相のコメントに戻そう。

 有事の際に発動されるべき自治体よりの「避難勧告」に関して、国の大臣である古屋氏からの“安易な発言”に違和感を抱かされた私である。

 今回の広島北部土砂災害に於いても、理想的にはもちろん早期に「避難勧告発令」が出されるに越した事はなかっただろう。
 ところが、広島北部被災地で生き延びられた住民皆さんの口々から発せられるのは、「こんな災害が起きたのは、この地に何十年も住んで初めての事です。」なる驚きを伴った絶望の中、何とか命拾いした声、また声である。
 これら現地よりの声をニュース報道で見聞して私の脳裏に浮かんだのは、もしかしたら「避難勧告」を出すべき自治体の職員達も住民達と同レベルに、まさかこれ程甚大な土砂災害になるとは想像不能だったのではないかとの一種の“同情心”である。
 もちろん、市民を管轄している自治体本部体制に過ちがあっては許されないであろう。 ただ、これ程までに自然災害が急激に激化過程を辿っている現状で、国家が地方自治体に対し無責任に「完璧性」を求めたところで、国こそが何が実行可能なのかの原点に立ち戻らなければ、同じ災害が全国で繰り返されるとの大いなる懸念感を私は抱くのだ。


 今回の広島北部土砂災害の場合、「まさ土」なる脆く崩れやすい地質に問題があったとのNHKニュース報道、及びネット情報を得ている。
 以下に、ネット情報よりその内容を要約して紹介しよう。

 広島北部で発生した土砂災害は、もろく崩れやすい地質と短時間に多量の雨を降らせる気象現象が重なって引き起こされたと見られる。 防災や気象の専門家は、今回と同様の土砂災害が全国各地で発生する危険性があると指摘する。
 この地の地質を形成しているのは、花崗岩(かこうがん)が風化して出来た粒の小さい「まさ土(ど)」であるが、20日昼過ぎに現地調査に入った広島工業大の某気象学准教授も、「まさ土が広範囲に流れて、大きな岩石が家屋を壊した」と話す。
 新潟大災害・復興科学研究所の某教授(地すべり学)は「これまでの雨に加えて、短時間の集中豪雨が引き金になった」と指摘する。 広島市北部では20日未明、1時間に100ミリを超える雨量を記録。そのうえ今月上旬の台風11、12号の影響で長雨が続き、地中に大量の水分を含んでいたとみられる。
 更に、広島大の某教授(地盤工学)は「雨量のデータをみると、非常に狭い範囲で急に強い雨が降り続いているのが、被害が大きくなった原因だろう」と分析する。 雨量計のデータは誰でもネットで閲覧できるが、「このような雨の降り方だと、これまでのような警報の出し方や避難勧告は間に合わない。これまでの考え方を変える必要があるのではないか」と指摘する。
 豪雨に弱い、もろい地質は、広島市に限った話ではない。「まさ土」は神戸市や岡山県などにも多い。雨の条件さえそろえば繰り返し崩壊するという。 
 これらを含む「特殊土壌地帯」は全国で約5万8千平方キロで、国土の約15・3%を占める。鹿児島、宮崎、高知、愛媛、島根の各県の全域のほか、静岡や兵庫、広島などの各県の一部に広がっている。
 東京都大島町(伊豆大島)では昨年10月、台風の影響で溶岩の層の上に降り積もった火山灰層が薄く広く崩れて泥流となり、集落を襲った。死者・行方不明者は39人にのぼった。
 崩れやすい斜面のすぐそばまで住宅が建つようになったことも被害を大きくする要因になる。東京電機大の某教授(地盤工学)は「本当は山際まで開発しないのが合理的だが、日当たりがよかったり、水を取りやすかったりするため、人が住んで危険なところがたくさんある」と言う。
 国土交通省も「新たな宅地開発が進み、それに伴って土砂災害の発生するおそれのある危険な場所も年々増加している」と認める。これまでに都道府県が指定した土砂災害警戒区域は全国で約35万カ所に及ぶ。
 京都大防災研究所の某教授(応用地質学)は「高度成長期以前には今回のような災害は少なく、都市化がもたらしたと言える。土地の性質をよく理解した上で住まいを決めることが重要だと言う。
 (以上、ネット情報より要約引用。)


 最後に、原左都子の私論で締めくくろう。

 有事の際に発動されるべき自治体よりの「避難勧告」に関して、政権大臣である古屋氏からの“安易な指導発言”に違和感と失望感を抱かされた私である。

 ここ2,30十年に渡って我が国にこれ程までの気象異常を招いた責任は、国家こそが取るべきはずだ!
 と同時に、国が自治体の「避難勧告」の遅れを指摘する以前の問題として、国政こそが即時に気象異常対策の実行力を発揮するべきだ。

 それこそが、表題に掲げた「国土地質調査」に他ならない。
 特に「(軟質)まさ土」地域は即刻住宅開発を禁止する事は元より、今後土砂災害が勃発しそうな全国すべての地域住民の命を保障するべく、国家にはすぐさま行動して欲しいものだ。

 安倍政権には、「集団的自衛権」より何よりも至急に取り組むべく国内の課題が山積している事実に、この機会に今一度目覚めて欲しい思いである!

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