原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

みみっちい男

2009年08月22日 | お金
 長~~~い独身時代を謳歌、堪能した私であるが、その頃、もしも将来結婚を考える場合、相手の男の条件としてこれこそが最重要!とこだわっていた事項が一点あった。


 それは相手の男の「金銭感覚」である。

 私が独身だった頃は「三高」「四高」という言葉が流行り、女性の男性に対する“高望み”志向がまだまだ蔓延っていた時代だ。 結婚相手の男性の条件としてもちろんそれらも揃っているに越した事はないのであろうが、それよりもまず、一生共に生計を立てていくパートナーと「金銭感覚」が合わないことには共同生活が立ち行かないと私は当時より考えていた。

 独身同士でお付き合いをする場合は、当然ながらお互いに“独立採算制”である。
 そんな中、気前が良くて大盤振る舞いの男は正直なところ“美味しい”存在だった。 お互いに“独立採算制”の基本原理の下、あちらが主体的に大盤振る舞いしてくれる分には、こちらとしては相手に対する責任もない立場であるし、“美味しいところ”だけ享受させてもらっていれば済んだものだ。

 ところが、相手の男が将来結婚を考慮する対象となると話は一変する。“大盤振る舞い”男とは要注意人物でしかない。その人物の経済力にもよるが、それに見合わず“大盤振る舞い”する男に関しては、私の場合、結婚相手としては却下対象となったものである。 いい大人が自分の経済力に相応しい「金銭感覚」を持ち合わせていることは結婚に際しては必要不可欠の条件なのだ。
 と言う訳で、独身時代は“美味しい”思いを享受させていただきつつ、その条件を満たしているかどうかを水面下で虎視眈々と審査していた“我が身息災女”の私であった。
 
 その逆バージョンも当然ながら考慮していたぞ。
 私が独身時代に購入し独力でローン返済も済ませていた私名義の住居物件にまんまと転がり込んでそこを二人の新居にしよう、などと安直に狙う“お気軽男”など門前払い!の意思も強靭だったものだ。(幸いな事に、当時は時代背景的な要因か、私の周囲にはその種の“お気軽男”は一人として存在しなかったものだ。)


 少し前の記事になるが、朝日新聞8月8日(土)の朝日新聞別刷「be」において“ケチで、みみっちい夫に幻滅”と題する相談が取り上げられていた。

 早速、37歳共稼ぎ主婦によるこの相談を以下に要約して紹介しよう。
 同い年の夫と結婚して4ヶ月になるが、結婚してすぐに家を買った。夫婦共有名義でそれぞれがローンを組んできっかり半額ずつローン返済しているにもかかわらず、やれ、ローンが大変だから生活費を多く家計に入れられない、云々と夫がほざく。 自分の欲しいものも夫婦共有名義の講座から引き落としたり、自分の知人からもらったものは“おれのものだ!と恩着せがましい。 最初は我慢していたが、勇気を出して夫同様に“これは私のものだ!”と言い返すようになったが、心がだんだんすさんでゆき、みみっちい夫に対して愛情がなくなってしまい離婚も頭をよぎる私は考えが甘いのか…。
 以上は、朝日新聞「be」“悩みのるつぼ”に寄せられた結婚わずか4ヶ月の女性の相談である。


 この相談を読んで、私は愕然としてしまった。
 今や“草食男”と“肉食女”が増殖しつつあり、女の経済力を当てにしてそれを結婚条件にする男まで出没している時代のようである。(本ブログのバックナンバー「『正社員』は結婚の条件だよ」を参照下さい。)
 そのように、女性が経済的能力を磨き社会において男と対等な力を身につけつつある時代へと変遷している世の中にあって、何故に経済力ある女性が結婚以前に相手の男の素性を見抜く能力を身に付けられないのであろうか。

 あくまでも私の主観的感想であるが、この相談者女性の結婚は失敗である。
 私が十数年前に結婚に踏み切ろうと決断した年齢がこの女性と一致するのだが、長い独身期間中に自分自身の経済力を養うと共に、将来の自分の人生を築いていくべき観点も同時に養っておくべきではなかったのか。 40歳近い年齢にもなって、結婚しようとする相手の男性の「金銭感覚」さえも把握せずに結婚に踏み切ってしまったのか? 結婚前に両人で家計のあり方についての話し合いを持たなかったのか?
 厳しい見解だとは思うが、結婚4ヶ月にしてこの状態では、この女性相談者の結婚生活の先はないものと私は判断せざるを得ない。


 参考のため、今回の“悩みのるつぼ”の回答者でいらっしゃる作家 車谷長吉氏の回答の一部を以下に紹介しよう。
 あなたの夫は駄目な男です。ことお金のことに関して愚痴・小言・泣き言の多い男を救う道はありません。女だって同じです。この世は黙って働くことが一番大事です。最低限飯が食えれば、あとは貧乏がよいのです。


 最後は私論で締めくくるが、結婚に際しては男女両人共に“人格的に自立”していることが最低限の条件だと私は捉える。 その人格的自立を前提として、恋愛結婚であれ見合結婚であれ、とにもかくにも結婚前に両人で話し合いを持ち、今後の長い共同生活のあらゆる要素に関して一応の合意をしておくべきである。
 “話し合い”“合意”などという表現を用いると事が大袈裟であろうが、デートで仲良くしている時にそういう話題を楽しめる時間を二人で共有できてこそ、将来の幸せな結婚生活に繋がるのではなかろうか。 
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2 Comments

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金銭感覚・・・ (ドカドン)
2009-08-23 04:57:25
私は、家を建てる前と後で、金銭感覚が変わりました。
正確には、独身、結婚後、子供が出来て、家を建ててからの4つの状態で、変わりましたね!
持ってるお金で、金銭感覚は変わる。

特に、私の所は、私の収入のみですから、家を建ててからパチンコは止めましたよ・・・。
こづかいも最低限しかもらっていません・・・。
タバコを止めれば、一番いいんだけども。
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ドカドンさん、私の場合、資金力如何で金銭感覚に変動のない人間です。 (原左都子)
2009-08-23 23:22:42
私の場合はまあ、たかだか一庶民の貧乏人ですからやむを得ません。

若い世代の人たちにはドカドンさんがおっしゃるような“持っているお金で金銭感覚が変わる”方々も多いのかもしれませんね。

でもきっと、所持金に応じずに自分なりの金銭感覚が確固としてある方が、一生を通じて安泰なのかとも思います。

いずれにしても、私の結婚の条件は相手が誰であれ“私が家計を牛耳る”ということでした。これで大正解の我が家だと自己満足の私です。

ドカドンさん、タバコは健康のためにもやめましょう!
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