原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「自費出版」の残骸

2021年09月18日 | 人間関係
 未だブログがポピュラーではなかった少し以前の時代に、「自費出版」が流行った記憶がある。


 本日のエッセイでは、我が米国在住の姉(私は24年前より絶縁中)がやらかした「自費出版」の大失敗物語を語ろう。


 昨日の朝、郷里の実母から電話があった。
 久々の電話だったのだが、どうも電話口の声に元気がない。

 そうしたところ、実母が語り始めたのは…
 以下に、まとめて話そう。 


 我が絶縁中の米国の姉が、何をやらかしたかと言うと。 
 それは「自費出版」である。
 
  それ自体は問題なく、米国でかなりリッチに暮らしているらしい姉故に、本1冊自費出版するのに200万円 かかろうが、本人の好きにすればよい話だ。 その点では母も同意している。

 実は、この原左都子も15年程前にそれを実行しようと欲して、国内某出版社が主催した「 自費出版コンクール」に応募したことがある。
 最優秀賞の場合、無料にて出版できるとの触れ込みだったが。 
 私は優秀賞で、格安(いくら ぐらいだったか忘却しているが)で出版できるとの電話連絡が来た。 (応募者全員を優秀賞扱いにして、皆に電話を寄越したとも十分に考え得る。)
 それでも私はやめておく、との結論を出して。

 その後間もない時期に、私は当該gooブログを“無料”で開設したといういきさつだ。

 
 姉の場合は自分が住んでいる米国ではなく、なぜか日本の自費出版社より上記のごとく 自費200万円をつぎ込んで、まず一冊目を日本国内で3000部出版した。  本人の宣伝により、知人のみが10冊ほど買ってくれた様子だったようだ。
  それに気をよくした姉が、またもや200万円をつぎ込んで2冊目をこれまた日本で出版した。  ところが、二匹目のどじょうにひっかかる人は誰一人おらず、売れない本はすべて自身が引き取って自分で処分せねばならなことと相成った。

 これが大変! 
 その3000冊の売れ残り本に関しては、出版者側から国内しか送れないとのことで姉が勝手に郷里の実母の住所を指定し、その後始末を母がやらされる目に遭った。 (参考だが妹の私と姉は絶縁中につき、姉は我が東京の住居地を知らない。)
 ただ救われた のは当時まだ母は自宅暮らしだったため、廃棄物処理会社に依頼して何とか処分できたようだった。 ただ、その労力とは既に年老いた母にとって、さぞや大変だったと想像する。
 
 それで姉も懲りたかと思いきや、10年経過した現在、またもや日本の同出版会社から出版の勧めが来て、それに喜んで乗り200万円を叩いて出版するに至ってしま ったようだ。

 現在母が困惑しているのは、どうせ売れ残るであろう3000冊の本を、高齢者施設へ送り つけられては困る!とのことだ。 その苦悩を察して余りある私だが。 
 それを母が姉に告げたら、「それならば、叔母の〇ちゃんの家へ送る」と言ってきたらしく。 〇ちゃんとは、母の実の妹で現在郷里で献身的に母の面倒を見てくれている立場の人だが。 私と叔母さんである〇ちゃんとは昔から仲が良かったが、我が記憶によれば姉と〇ちゃんとは(姉の歪んだ性質故に)子供のころから一切の付き合いが無いにもかかわらず。 
 それにも頭を痛めている実母だ。 要するに廃棄物でしかない売れ残った本などを〇ちゃんに送りつけられたりしては、失礼過ぎて自分が今後お世話になれないと困惑している。

 
 加えて、一番困惑するのはその本の内容だ。
  要するに3冊とも姉の自叙伝なのだが。
 その内容が(言いうのも恥ずかしいが) 、大学生時代にミスインターナショナル地元代表になって全国大会へ行った。そればかり…
  私は一度もそれらの本を見ていないのが、母が言うにはふんだんに写真を入れ込んで、その自慢ばかりをしている本だとのこと。 母も「こんな恥ずかしいことはない…」とずっと嘆いている。

 何はともあれ、「売れずに返却される本は徳島の高齢者施設へ送らずに、姉本人が自分で処 分して欲しい」との母の言い分だが、その通り!


 それにしてもそんなくだらない本を出すのに、600万円を投資する人間がこの世に存在するんだ、と身内ながら私も呆れ果てている。


 それまでして売れ残ることが明白な本を、何故姉は大枚叩いて出版してしてしまうのか ?

 米国に渡って40年近い年月が経過している現在尚、未だに心の拠り所がそんな短絡的に達成感が得られる(得られない??)事象と。
 郷里の母にしかない人間を、哀れにすら思う…