原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

金融機関の本人確認、個々の事情に即し融通対応出来ぬものか?

2015年07月08日 | 時事論評
 介護付き有料高齢者施設に住む義母の保証人代行を引き受けて以来、自治体役所等公的機関も含め各種法人対応に於いて無駄な労力を強要され、翻弄され続ける日々だ。


 本エッセイ集2015.5.21バックナンバー「今時の電話会社は“殿様商売”に走りたいのか?」に於いても私は以下の記述をしている。
 現在義母が使用している固定電話サービスが “利用者減少に伴い廃止される”との事である。 その代替として新たな固定電話サービスを推奨するため、それに契約し直して欲しいとの要件だ。
 電話会社(今回の場合はKDDIだが)から“老い先短い高齢者”の電話契約を今更変更しろと言われても、その契約を本人が単独で成せるすべもない事実を理解した上で、このような封書を大手企業であるKDDIは要介護老人に送り付けてきたのか!? この種の要件を“介護が必要な高齢者”に叩きつけられたなら必ずやその保証人が動かねばならない宿命にある。 その事実を巨大企業が理解しての措置なのか?!
 自社の都合で採算が取れない電話サービス契約を“廃止”すると簡単に言うが、公共性をも経営主眼としている大手企業が、その措置が及ぼす顧客側の迷惑を少しは慮れないものなのか。 特に老い先短い高齢者に対しては、特例として死ぬまでそのサービスを続行するとの方策も企業側の少しの努力で採れそうにも考察するが如何なものだろう?
 私はやむなく歩行もままならない義母を引き連れてKDDI関連企業であるauショップへ向かい、痴呆症状もある義母にやっとこさの思いで契約書にサインをさせ、契約締結まで持ち込んだ。
 ところが auショップ係員が言うには、「契約者(義母)に一週間後KDDIからの電話が通じて初めて契約が成立します。」とのことだ。 その電話を保証人である我が家にかけてもらえないかと私から嘆願しても、どうしても“ボケ老人”である義母の電話番号に最終電話を掛けない事には契約が成立しない」との係員のお達しである。(結局、案の定この最終確認電話の内容が本人には理解不能だったため、改めて私の方からKDDIへかけ直すはめとなった。)
 とにもかくにも、今回KDDIによる固定電話再契約強要に際して、義母の保証人の立場として様々な意味合いでとことん疲労困憊させられた。
 今現在電話会社間競争が激化しているようだが、それでもこんなご時世に於いて「電話業者」とはアベノミクス経済政策の歪んだ恩恵の下に最大限潤い「殿様商売」が叶う渦中にあるのだろうか???
 電話業界が自分本位で潤うのは勝手だが、貴方達の業界を現在底辺で支えているのはまさに“底辺庶民”に他ならない。  それら庶民の生き様や懐具合をしかと観察しつつ、今後の展望を大手電話会社どもこそが率先して推量し直すべきではあるまいか?!?
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより引用。

 上記KDDIによる固定電話廃止措置の後処理が未だ終了していないのが現状だ。
 KDDI側が杓子定規かつ強力頑固にも、「新たな電話回線に必要なアダプターを保証人宅である我が家宛にはどうしても送付不能。あくまでも痴呆症状がある義母の元に届ける。」と最後の最後まで言い張った事で、結局その受取がままならず、最終的には新たな固定電話契約を解約する事態と相成っている。

 そんな中、また新たな困難が発生してしまった。

 次なる課題は、火災保険である。
 3年程前に既に解体した元々義母所有の建物に関して、未だ火災保険料が発生していて月々その保険料支払いによる多額の損失を計上している事実を私がたまたま発見したのだ。
 これに関しては、義母本人及び火災保険対象物件を相続及び贈与にて引き継いだ親族にも大いに責任がある事は確かだ。 
 ところが相続人であった義理姉が既に死去し、その後の贈与人である義理甥とも付き合いがない現状に於いて、ここはまた私が一肌脱がねばならない立場だ。(参考のため、義母所有不動産管理に関しては税理士試験一部取得者である私に一任されている現状だ。)

 義母曰く、「あ~~ら、建物を取り壊した場合こちらから保険会社に届けなければいけないの? 私はてっきり保険会社の方がその状況を把握して保険契約が自然消滅するものと思っていたわ…。」(以上、私なりに専門用語に置換して記載。)
 まあそれでも、当該火災保険契約を締結していた事実を義母が覚えていただけでも助かる思いだ。 

 そして私は、早速火災保険会社に電話を入れた。
 その回答とは、まったくもって上記電話会社KDDIが取った態度と“瓜二つ”だった事実に、実に驚愕・落胆させられた…
 フリーダイヤルに出た担当女性氏曰く、「保険契約ご本人様の本人確認が必須となります。 今回お電話を頂いたのは義理の娘さんとのこと、この場合は契約変更取扱不能です。」
 私が応じて、「義母は既に介護付き高齢者施設に入居の身でして、本人が単独にての法律行為は不能です。 そのため保証人を立てて我が夫婦が代行を担当しているのですが、その立場でも契約解約は無理ですか?」
 「無理です。どうしてもご本人様よりの申し出がなければ保険解約は成立しません。」


 最後に、原左都子の私論に入ろう。

 特に保険会社の場合、民間企業も含めその競争の現実たるや正に激烈な事態であろう。 
 中途半端な立場の“半官半民共済組織”とは言え、その収益率こそが今後の組織体存続にかかっていることは十分に想像がつく。

 その理解の下での話だが、ここまで(保険会社を含めた)金融機関が「本人確認」にこだわる意向とは、今となっては老いぼれた高齢者と昔交わした契約を死守してでも、少しばかりの月々保険料を(悪徳業者のごとく)チマチマと稼ぎたいのかと勘繰られてもやむを得ないのではなかろうか??

 そうでないのならば、既に取崩している建物の火災保険料解約を、保証人からの解約処理で認めて欲しいものだ。
 参考だが、当該保険企業が言うには「物件解体証明書」があればその時期に遡って保険料を返還してもらえるとの事らしい。 我が義母事例の場合、現在に至ってはその種の証明書が一切ない。 そのため(今まで支払った保険料をチャラにしていいから)単に今後の保険料を支払い続ける事を回避する目的で保険契約を解約したい、と私から重々申し出ている。
 保険会社曰く、その事案に於いても、どうしても義母本人確認がないと処理不能との回答だ。 
 一体全体、保証人にどうせよ!と言いたいのか。 
 もしかして、このまま年老いた人間を食い物にして、時間経過と共に保険料をぶったくろうとの魂胆なのか??

 実際問題、我が国に於いて「高齢化」が急速に進んでいる現実を政権及び(国家と大いなる癒着がある)金融機関こそが少しは慮り、その現実に即した対応可能システムを早期に創設するべきではあるまいか?