原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

大歩危舟下りと 石のミュージアムショップ

2013年09月05日 | 旅行・グルメ
 (写真は、大歩危“駅の道”「ラピス大歩危」ミュージアムショップにて買い求めた原石装飾のイヤリング3点。 左はシトリン、アマゾナイト装飾、中はタイガーアイ、赤サンゴ装飾、右はインカローズ装飾。)


 さて、我々親子の大歩危・祖谷の旅も終盤を迎える。

 西祖谷方面タクシーツアーの後「ラピス大歩危」にてタクシーを下車した我々は、夕刻になる前に大歩危舟下り観光を優先しようと、舟乗り場に急いだ。
 吉野川中流域に位置する渓谷での舟下りで、さほどの急流箇所はなく比較的緩やかな川下りとの情報を、あらかじめタクシー運転手氏より入手していた。
 
 約30名程の観光客が乗船可能な中型の舟に靴を脱いで乗船し、救命胴衣を着用後ゴザの上に座り込む姿勢となる。 舟の後ろには手漕ぎ用のオールが装備されてはいるが、オールを使用するのは舟の回転場面のみ、後は動力による30分間の舟下りである。
 そして、オールを握る船頭さん(とは言え洋服姿だが)が一人で観光案内を担当していた。

 大歩危地域の地質は、変成岩類で構成されているとのことだ。
 以下はウィキペディア情報によるが、大歩危は砂質片岩および黒色(泥質)片岩を主体として構成され、吉野川沿いは砂質片岩が多く露出する。変成岩中に礫(れき)の原型を留めた礫質(れきしつ)片岩が含まれているものもある。 大歩危の礫質片岩は含礫片岩として徳島県天然記念物に指定されている。
 そのような説明を、船頭さんも随時しておられたと記憶している。

 観光客20名程を乗せた大歩危渓谷舟下りの行程は、(顰蹙は承知の上で)原左都子にとっては多少“退屈”とも表現できる舟旅だった。
 途中、水鳥が生息している地も観察可能だったのだが、後は上記の変成岩類以外にはこれといった見所がない。 ただただゆったりと舟は吉野川中流を下り、そして乗船場所まで引き返して行く。
 “退屈”などと表現するのは、あくまでも何らかの刺激を求め過ぎる原左都子の歪んだ感想に過ぎないことを承知の上であり、ゆったりと渓流を観察したい旅人の皆さんにとってはさぞかし有意義な舟下りであろう事も考察可能だ。
 (参考のため、大歩危舟下りの乗船料金とは、1名に付き ¥1050-也 である。)


 などと言っているうちに、山岳渓谷に夕暮れが迫り来る。

 日本の地方に旅した方々はご存知であろうが、国内の大体の過疎地方観光地とは周辺の店舗も含め午後5時には全てを閉館とする。
 「うわ~~。 急がなくちゃ!」 などと言い合いつつ、娘と徒歩で最後の観光先である「ラピス大歩危」に走るように舞い戻る。
 
 「ラピス大歩危」には「石の博物館」と称する観光施設があることを旅行前からネット情報で仕入れていた。 ここを一見したかったものの、既に時は閉店前の17時近い。 まさに時間切れ状態だ。  仕方なく、我々はミュージアムショップのみを見学させてもらう事とした。
 そうしたところ、素晴らしいまでの原石を装飾したアクセサリーが所狭しと陳列されているではないか!
 娘と共に閉店前のミュージアムショップをほんの15分程度で取り急ぎ一覧した結果、上記のイヤリング3点を買い求める結果と相成った。
 広いミュージアムショップ内では、他にも原石アクセサリー類が数多く展示されているので、興味がある方々には是非共大歩危当地を訪れて欲しい思いだ。
 (参考のため、原石を少量で作成可能なイヤリングは、「ラピス大歩危」では想像を絶する安価だったことを最後に伝授しておこう。)


 大歩危・西祖谷の旅も終焉し、我々親子は原左都子の実家に帰省する段となる。

 土讃線の鈍行乗車の後、阿波池田駅より徳島線に乗り換えた後の道すがら日が暮れ行く。
 すぐに風景は真っ暗闇! 何だか日頃経験している東京メトロの地下構内風景が我々親子に蘇る。
 こんな真っ暗の中、若い女性がどうやって自宅に安全に帰宅できるというのか!?? 最近は全国各地で若い女性が変死を遂げる事件が多発しているが、これが地方で勃発するのは必然なのか??? なる恐怖心のみを募られる地方JR路線の午後6時以降の“真っ暗闇”の現実である。  我が子を都会で産んで育ててよかったと考察するべきか!? それとも、こんな田舎でも若き娘達が気丈に生きている姿を讃えるべきか??

 などと“真っ暗闇”状態のJR車窓を見つつ複雑な心境だった私も、目的地であるJR徳島線牛島駅に到着した。 ドアの開閉が自動ではなく、自らボタンを押して開ける事に関しては道中車掌氏に確認済みだったため、無事に下車することが叶った。 
 ここからはタクシーに乗って我が実家へと向かう。 ところが牛島(うしのしま)駅は無人駅。 駅の前にはタクシーの1台すらおろか何もなく、ただただ駅内の電気の明かりを目がけて蛾等の虫類が飛び交っているのみだ…

 それでも牛島駅まで迎車を依頼して訪れて下さったタクシーの運転手氏の対応は、都会のタクシー運転手に勝る我々顧客歓迎ぶりだ。(参考のため迎車料が無料扱いだった。都会では考えられない…)
 田舎で商業を営む人々も、都会の商業経済システムの模倣をしつつそれを上回るべくサービスを志さねば、成り立たない田舎での観光事業続行の姿勢を実感させられる思いだ。


 日本国内に於ける地域差「格差」を承知しつつの度重なる我が郷里訪問なのだが、いつもいつも接待の心を持って我々親子の旅を支援して下さる郷里の皆様に、今回も心より感謝申し上げる次第である。