原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ストレステストの内容及び結果の詳細公開を

2011年07月12日 | 時事論評
 本日(7月12日)昼間のNHKニュースによると、玄葉国家戦略担当大臣は第3次補正予算案において「節電誘導予算」を盛り込みたい旨を発表した。
 福島第一原発事故を受け、使用電力節減のため国民皆が日々努力を重ねて来ている訳だが、玄葉国家戦略相曰く「今後は“我慢の節電”ではなく、国家が政策制度を構築することにより国家体制として節電を実行していきたい」云々… とのコメントを述べたようだ。

 菅政権の大震災復興に向けての対応の遅さに今さら驚くでもないが、原左都子がこのニュースを見聞して「えっ、震災発生後4ヶ月が経過したこの期に及んで、節電に関してお国は未だ何ら制度的対策を練っていなかったの??!」 と、またもや唖然とさせられたものである。
 
 6月下旬から既に猛暑続きの日本列島であるが、この猛暑の中、下手に節電に励もうものなら“熱中症”により命を落とす国民が例年の比ではなく発生するであろうことを私は既に懸念していた。 個々人の節電対策とは健康第一を主眼として実行しないことには命に繋がることを、近々このエッセイ集で訴えようと思っていた矢先である。

 お国が節電対策目的で今までに具体的に実行した政策(政策と表現するのもおこがましいが)とは“スーパークールビズ”だけなのではなかろうか?

 その点、民間大手製造業などは“工場稼動日変更”との思い切った対策を打ち出し、6月末より既に実施している。
 我が家の身内もその煽りを受けているのだが、木金という平日に身内に休まれることによる“弊害”をこの原左都子も被っている。 それでも、電力使用料が莫大な製造業の稼働日変更による節電対策は国全体に大きな節電効果をもたらしているであろうことを肝に命じ、9月末までは我慢の木金である…


 話が変わって、本日のNHKニュースでは福島第一原発の「汚染水浄化設備」から汚染水が漏れ出す故障が発生し、またもや装置が停止を余儀なくされているとの情報も伝えていた。(この装置における故障が繰り返されるニュースを日々聞き飽きた感もあるのだが…) 
 原発事故回復に向けた東電による短期工程計画の“ステップ1”の期限が間近に迫っている今、その達成は困難とのニュースであった。(これだけ故障が多発してれば、そりゃそうだろう

 昨日の別のニュースでも見聞したが、福島原発事故対応のため設置した汚染水処理用のパイプが“老朽化”のためか破損して高濃度汚染水が漏れ出している事態がその影像と共に報道された。 その他にも、事故対応のために建設した建屋類も既に“老朽化”していてより頑丈な素材の事故対策建屋や部品に交換する必要があるとのことだ。
 東電や政府は一体全体、福島原発事故に対して如何なる復興計画を立て、現地にその建造物を建設し装置を設置したのか?  レベル7の原発事故が“安普請(やすぶしん)”の対応で成り立つはずもない事は歴然であろうに…。
 事故発生からわずか4ヶ月にして、事故対応の建屋を建設し直したり装置を取り替える事による経済的損失や、高濃度汚染水の土壌や地下水への放散の実態、そして作業員の皆さんの無駄な放射能被爆の程を推測して心が痛む思いである。


 そしていよいよ表題に掲げた「ストレステスト」に話題を移そう。

 本日の国会に於ける論議において、菅総理は野党から玄海原発再起動に関する混乱や「ストレステスト」のあり方に関する質問を受けたようである。
 それに対し菅総理は「玄海原発再起動に関して総理である自分からの指示が遅かったり不十分であったため、皆さんに迷惑を掛けたことをお詫びする」云々と述べ、ストレステストに関しては「最終的な責任は国家が担う」ことを表明した様子である。

 福島第一原発事故という世界の歴史上稀なレベル7の放射能汚染を発生させ、世界中を恐怖と不安に落としいれ多大な迷惑をかけている当該国である我が国が、未だに原発の安全性に関して何の政策をも採っていなかった事実に呆れ果てると言うものだ。 
 (EU諸国の中には既に原発廃止を国民投票や政府の判断において決定した国も複数ある中、原発事故を引き起こした日本において未だに原発推進を掲げる政治家が存在することに愕然とさせられる思いである…)

 玄海原発を再起動すると海江田経済産業相が突如として発表し、それによる様々な波紋を受けた後に、やっと我が国でも「ストレステスト」を実施するに至った事にとりあえずは安心と言ったところである。

 ところが蓋を開けてみれば、菅政権が言うところの「ストレステスト」の内容が一切吟味されていない現実であるようだ。
 昨日の枝野官房長官の会見によると、原発が建設上の想定を超える地震や津波にどこまで耐えられるかを調査する1次評価を実施した後に再起動の是非を判断する、との表現に留まっている。
 さらにそのテスト結果を一体誰が評価し判断するのかと言えば、昨日の枝野官房長官会見によると経済産業省の「原子力安全保安院」であり、はたまた「原子力安全委員会」であるとのことだ…

 ちょっと待ってくれよ。 

「原子力安全保安院」と言えば、大震災発生直後から原発事故に関してテレビニュースでよく顔を出す国の独立行政法人だよね~~。 要するに官僚の天下り先だろ?? なんか、ニュースによく顔を出していた人物が女性問題で更迭されたという話もあるし??
 それから、「原子力安全委員会」……。 これは政権が扱い易い著名人を集めた諮問委員会ではないのか? その著名人達にどれだけの原発に関する専門力があるのだろうねえ~~???

 原左都子に言わせてもらうと、こういうのにはほとほとウンザリだよ。
 つい先だっての5月にも、菅政権は政府の福島原発事故に対する事故調査・検証委員会委員長として、東大出身の畑村氏なる工学博士を任命したようだ。 この方とは、「失敗学」なる一種“奇をてらった”理論を持ち出して世に知名度を挙げた人物であることは私も承知している。 ただ、畑村氏の原発事故やその放射能汚染に対する知識の程は如何なるものか私は心得ていないし、その情報も得られない。

 菅さん、自民党政権時代から存在するこの手の“知名度だけが取り得の人物を集めた諮問委員会”など、それこそ政権が交代したのだからそろそろ廃止してはどうなのか! 

 その代わりに政府が打ち立てた「ストレステスト」の内容及びその結果の詳細に渡るデータを、国民皆に即時に逐一公開して欲しいのだ。
 その方が、世に名を売らず地道に研究を続けている学者や研究者達から建設的で信憑性が高い反応が得られるであろうことは間違いないよ。
 そして知名度だけが取り柄で何ら役にも立たない諮問委員会の委員達に対し、無駄な報償を出すことにより国税を食い潰す弊害もなくなるというものだよ!
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