原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

“ファンタジー”の芸術空間も寒々と冷え渡り…

2011年03月24日 | 時事論評
(写真は、4月17日まで東京白金台の松岡美術館にて開催中の ~松岡コレクションの幻想世界 ファンタジー~ のチラシを転写したもの)


 娘が高校の学年末試験後の休暇に入ったら上記松岡美術館のファンタジー展を一緒に観賞に出かけようと計画していた矢先、歴史的大地震が発生し、その後の計画停電等の影響によりその実現がお預け状態になっていた。
 
 ここ3日ほど、東京においても福島第一原発から届く放射能の空気中の測定結果が雨天の影響か?以前より高値を記録し続けている模様である。
 こんな中、親である私が娘を引き連れて外出するのは不謹慎とはわきまえつつも、重苦しい空気の日常の気分転換を試みたい思いもあり、昨日上記の松岡美術館を訪れたのである。

 この松岡美術館とて大震災による計画停電等を配慮して、つい先だってまで閉館していた。 ネット検索によると現在は16時までの時間短縮開館とのことである。
 
 美術館を訪れる前にランチを食するためレストランに立ち寄った。 震災発生後、原左都子が外食をするのは初めてのことである。
 この時間帯はいつもなら混雑しているはずの店内は空席が目立つ。 メニューの中には「現在提供していない」旨の×印も多い。 そんな中、希望のメニューをオーダーしたところ「本日は既に売り切れた」との回答で、別のものをオーダーすることに相成った。 やはり、外部の食事処においても当然ながら食糧不足等震災の影響を受け苦労しつつ営業していることを実感である。(こんな時に外食などを楽しんで、被災者の皆さんには誠に申し訳ない話ですが…)

 そして、いよいよ松岡美術館へ向かう。
 自宅最寄の東京メトロ駅でも現在は電車の運転本数が通常の数割程度とのことで、いつもの倍近い待ち時間を過ごした。 松岡美術館へ向かう東京メトロ南北線の駅でもやはり同様に電車が来ない。 寒々とした地下ホームで「16時の美術館閉館までに間に合うといいね」などと冗談半分に娘と会話しつつも、電車が動いているだけでもありがたいと言うものだ。

 松岡美術館に到着すると、玄関先から薄暗く開館している気配がない。 もしかしたら、今日も臨時休館か? との思いと共に足を踏み入れると、エントランス担当者の方が丁寧に説明して下さるのだ。 「大地震の影響で16時までの開館です。館内に暖房は入れておりませんので、寒い中ですがご了承下さい。」
 それは当然了承の上で展示室に入ると、(もしかしたら今日は美術館が我々の“貸切”か??)と思うほどに観覧者がいない。 原左都子など(これはじっくりゆっくり観賞できるぞ!) とラッキー感を抱いたほどだ。  実際問題、首都圏の美術館とはその特設展によっては“超ゲロ混み状態”で、一体全体美術作品を観に行ったのか、人の頭を観に行ったのかが判別できないほどの不快感を抱くものである。

 と言うことで、実にゆったりと松岡美術館の常設展と特別展である“ファンタジー”を多少寒い感覚はあったものの、じっくり味わえた我が親子である。


 松岡美術館を原左都子が訪れるのは、今回で4度目である。
 この美術館を私が好むのは、白金台という都心にしては閑静な土地柄であろうか?今回の大地震は特別の事情であったとしても、いつもさほどの“混雑”がないことである。
 そして、都心の個人美術館にして心休まる中庭が展望できることも捨て難いものがある。
 さらに松岡コレクションは多岐に渡っており、エジプト、インド等古代文明からヨーロッパ近代現代彫刻に渡る常設展に加えて、今回の“ファンタジー”展のごとく現代日本の作家による特別展も開催されることが大いなる魅力であろう。

 今回の松岡美術館特別展である 「幻想世界“ファンタジー”」 に関しては、美術分野ド素人である原左都子が考察するに、寒い中全館空調を止め照明も最小限とする等配慮し、そして観覧者がごく少数だったことが、特別展の趣旨である“幻想性”を大いに導いていたのではないかと結論付けるのだ。 これはあくまでも芸術素人の原左都子の感想でしかないが、やはり美術館観賞とは“ゲロ込み”状態だけは避けたいものである。 (そういう意味では、大震災によって社会が自粛を余儀なくされている今こそ美術鑑賞のチャンスかもしれない!?とも考察できるのである。 津波原発被災地より遠い者として、大いに不謹慎な発言であることを再度お詫び申し上げます。)

 そして帰路に着き、携帯電話をオンにするなり携帯トップ画面のニュース速報テロップに愕然とさせられたものだ。
 福島原発から40kmの地点の土壌が高濃度のセシウムに汚染されている! はたまた、東京の水道水に乳児に影響を及ぼす高値のヨウ素が検出された! ……


 まだまだ大地震被災地の被災が拡大されつつあることに心を痛めると共に、相も変わらずメディアは“安全神話”を報道し続けている現状である。

 こんな危機的状況下において、本日東京都知事選が告示“されて”しまった。
 今、この期に及んで東京都知事に立候補した輩どもの脳ミソやハートの中身とは一体どうなっているのであろう? 
 日本の歴史上最大の危機的状況下において、被災が少ない東京都民に次期知事を選ぶキャパシティを発揮して欲しいと我が身息災に考えているのだろうか?  決してそうではなく、都知事選に立候補する程の力量があると自負している貴方達が今取るべき行動とは、都知事選を勝ち抜くために尽力することではなく、そのエネルギーを東日本大震災の被害者の今後に注ぐことではないのか!!?
 
 今は国家を挙げて東日本大震災の早期の復興を優先するべき時期であるはずだ。
 知事選を含めて地方選挙など当然ながら全国で延期するべきと考えていた原左都子は、今回の都知事選立候補者の誰にも投票したくない心境である。

 (松岡美術館の芸術性の高さを評価申し上げている原左都子は、今回の記事は我がエッセイ集に於いては「芸術」カテゴリー記事として公開申し上げる予定でおりました。 ところが現況の大震災の被害が未だ拡大し続けている現状において、そんな社会情勢とごちゃ混ぜにして「時事論評」カテゴリーとなりましたことをお詫び申し上げます。
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