原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

東京メトロ副都心線のみらい

2008年06月02日 | 時事論評
 来る6月14日に、東京メトロ副都心線が開業する。
 この東京メトロ副都心線は、現在埼玉県の和光市駅から東京の池袋駅間を東京メトロ有楽町線として使用している区間に加えて、今回は新たに池袋駅から渋谷駅間の区間で新規開業するものである。


 我が家は東京メトロ有楽町線沿いにあるのだが、度重なる住居買換えの末、今の現住所に落ち着いている。(バックナンバー「住宅ローンの早返し」を参照下さい。)
 なぜ現在の地を住居として選択したのかと言うと、東京メトロ(当時は営団地下鉄)沿線にこだわったためだ。何せ、東京の都心の地下鉄網はまさに網目のごとく張り巡らされている。都心(この場合の都心とはJR山手線内を指すが)への交通アクセスを重視し、現住所に落ち着いたといういきさつである。
 以前は私鉄沿線に住んでいた。決して都心へのアクセスが不便な地に住んでいた訳ではないのだが、どうしてもターミナル駅での乗換えがある。あの乗り換え時の混雑、喧騒が嫌なのだ。地下鉄の場合都心へ直行しているためターミナル駅での乗換えがない。しかも都心のどの目的地へ行くにも網目のごとくのアクセスの良さである。
 加えてこの副都心線の開業も視野に入れていた。これが開通すると我が家から新宿、渋谷へも直行できる。急行運行も導入されるため、池袋ー渋谷間がわずか11分だ。自宅から徒歩も入れて新宿までは20分弱、渋谷へは20分ちょっとで行けるようになりそうだ。しかも、2012年には副都心線は東急東横線にも乗り入れるため、横浜、みなとみらいまで乗り換えなし(ホーム反対側への乗り換えはあり?)で直行できるというアクセスの良さなのだ。(プライベートな話で恐縮ですが、我が家の東急東横線沿線にある別宅にも乗り換えなしで直行できるようになります!)
 

 この東京メトロ副都心線はJR山手線と平行して走ることになる。東京メトロでは初めて(?)急行運行を導入するため、スピードでもJRと対抗することになる。この急行の所要時間は、JR埼京線や同湘南新宿ラインの池袋ー渋谷間とほぼ同じとなるらしい。そのため、この路線の利用客の争奪戦に拍車がかかりそうで、JR東日本は副都心線開業により年間30億円前後の減収を見込んでいるという。
 ただし運賃がJR優位だ。この区間の運賃はJR160円に対し、メトロは190円。とは言えども、居住の地により直行を考慮した場合我が家のように選択の余地のない顧客も多いし、また乗り換えの都合もあろう。 選択の余地のある顧客はやはり運賃が多少なりとも安いJR利用に流れるのであろうか?
 JRとしては2012年のメトロ副都心線の東急東横線相互乗り入れがもたらすさらなる減収を目算し危機感を強めている様子ではある。何分JR山手線の運行収益は多額であり、現状のJR東日本の経営の柱のひとつであろう。
 東京メトロ副都心線の開業は、そのようなJRの現状を揺るがす存在となりそうでもある。


 ところで1927年に銀座線を皮切りに開業した東京メトロ(旧営団地下鉄)にとって、今回の副都心線は9路線目になるそうである。東京メトロは、これで新線建設は打ち止めて既存路線の延伸もせず、今後は予算をサービス向上や安全対策に充てていきたいとの経営方針を表明している。
 この東京メトロ最後の新線開通の恩恵にあずかる地を終の棲家と考え選択した我が家としては我が身息災な話で誠に申し訳ないが、東京メトロの新線建設打ち止め判断は的を射ていると捉えている。

 一昔前には池袋ー渋谷ルートは旧国鉄の山手線しか交通手段がなかったのだ。その頃のラッシュ時の混みようは私も経験済みであるが、あれは人が人として存在し得ない程尋常ではなかった。都庁の新宿移転に焦点を合わせ、埼京線の開通、ずっと年数を経て湘南新宿ライン、そして今回のメトロ副都心線と交通ルートは複々線化されてきた訳である。
 現在はおそらく、ラッシュ時の混みようは相当緩和されてきていることであろう。
 今後は東京メトロの表明通り、最優先は安全対策、そしてバリアフリーも含めたサービス向上に期待したいものである。

 そして、経営努力により運賃も安くしてね、東京メトロさん!  
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