ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

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BABYMETAL探究(「バトル」考4~イジメ、ダメ、ゼッタイ7)

2015-07-06 00:44:11 | babymetal
”新たな調べ”の正式リリース発表(あるのか?)を待ちながら、心躍らせる日々、である。

ところで、先日の「情熱大陸」で放映された、ダンサー菅原小春(ご覧になっただろうか)、実にカッコよかった。
とんでもないキレ、である。
口を噤んで、見るしかない。圧倒された。
で、「すげえなあ~」と驚嘆しながらも、やはり、考えていたのは、YUI・MOAの舞踊のことだった。

菅原小春は、今、23歳。15歳時の映像も一瞬流れたが、格段に現在の方がキレが増し、カッコよくなっている。
YUI・MOAも、鍛錬次第ではますます高度な動きができるんだろうなあ(今年のワールドツアーのMOAMETALの動きのダイナミックさを観ても、それは間違いないのだろうが)、なんて埒もない感想を抱きながら番組を観つつ、いちばん強く感じたのは、「なんか、違う」、ということだったのだ。

比較してどちらがいいとか悪いとかではなく、菅原小春のダンスと、YUI・MOAの舞踊は、それこそ「なんか、違う」のだ。
その違いとは、何なのか?

端的に言えば、「目的」、あるいは想定する「効果」(同じことか?)、の違いだ。

例えば菅原小春のような素晴らしいダンサーが、楽曲に載り、歌詞に載り(番組でも「desire!」という歌詞をどう踊るかに腐心する場面があった)、最終的には楽曲や歌詞を背景にした自らのダンスを前景化して表現する
のに対し、
YUI・MOAの舞踊は、SU-METALの歌や神バンドの演奏と異次元で絡み合いながらその”調べ”のふくらみを立体的に表現するために機能している
それが、YUI・MOAの舞踊が「演」奏だ、ということの内実だ。

裏返しに、楽曲の側に立てば、菅原小春のダンスにおける曲とは「ダンスのための楽曲」(大雑把な言い方だが)であり、YUI・MOAの舞踊における”調べ”とは「舞踊によって(より立体的に)実現される楽曲」ということになる。

また、身体の具体的な動きのレベルで「違い」を言うならば、
YUI・MOAの舞踊で特徴的なのは、そのダサさ、である(ここ、超重要だ、と最近つくづく実感している)。
菅原小春のダンスが、ピーンと張りつめた集中力のもとで研ぎ澄まされた肉体の鋭い動きを繰り出しつづける(そのカッコよさ!)に対し、YUI・MOAの舞踊は、洗練されていない、コミカルな・不気味な動きが、突然はさみこまれる。
そのダサさのカッコよさ

それは、ちょうど、ヘヴィメタルにおける楽器の音色、例えばギターのディストーションやダウンチューニング、ピッキングハーモニクス等のカッコよさに似ているのではないか。
メタルダンスユニット、BABYMETAL。
この名をお気に召さない方々も結構たくさんいらっしゃるようだが、僕はむしろ絶妙のネーミングだと思う。
メタルバンド、ではなく、メタルダンスユニット、だ、というのは、まさにYUI・MOA(もちろんSU-も)の「演」奏を端的に表現する名であるからだ。そうした「メタル」の名を負う彼女たちの舞踊は、ただ単に洗練されたダンスとして高品質なもの、であってはいけない(ありえない)のだ。もう一つのコンセプト「カワイイ(Kawaii)」と相まって、ダンスとしてはむしろダサい動きが強烈なエッジとなって観客を襲うのである。

観客の側に立てば、
菅原小春のダンスをみる観客が、彼女の超絶的な身体の動きに見惚れる、のに対し、
YUI・MOAの舞踊を前にした観客は、キツネサインを掲げ「合いの手」を大声で叫ぶ、のだ。
YUI・MOAの「演」奏とは、「合いの手」を観客が叫ぶ、その誘発装置でありコンダクターなのである。

すべてはメタルのために。
すべては観客を煽るために。
(ダンスのためのダンス、ではなく)。

表情も含めて、YUI・MOAの舞踊は、ダンスの美しさ・激しさ・カッコよさを追求・実現しようとしているのではない
あえていえば、YUI・MOAの舞踊は、ダンスもその一部として含んだ「演」奏なのだ、というべきなのだろう。ダンスを基軸としながらも、ダンス以外の「演」奏によっても、歌や楽器演奏によって表現される”調べ”を、より多次元の立体的なものとして、観客に届け、観客を煽り、熱狂させる
それが、YUI・MOAの舞踊=ヘヴィ・メタルの「演」奏なのだ。

ふう。自分なりには、だいぶ納得できた気がする。

こう考えるのは、僕がBABYMETALのライヴを「体験」したからだ。「鑑賞」だけでは、上澄みのオシャレな考察はできても、BABYMETALの核心にはまったく届いていなかった、と、自分のこれまでの考察を振りかえって思う。

ただし、「鑑賞」だけでも存分に楽しむことができる、というのが、BABYMETALの凄さで、毎日ウォークマンで赤・黒・FORUM・BRIXTONのライヴ音源を聴きながら通勤しているのだが、相変わらず、鳥肌を立てたり涙をにじませたりしているのだから、その音楽的魅力とはとんでもないものだ。

さて、そんなYUI・MOAの「演」奏の、
まさしくダンス以外の舞踊のひとつの極限形である
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の間奏の「バトル」。

その探究の後半、2014年から2015年にかけての変遷の検証である。(これも「鑑賞」である。ライヴの最中にはYUI・MOAの動きの詳細は見えないことがほとんどだろうし)。

いきなり、ドラマチックな、これだ。
9.RED NIGHT 版(2014・03・01)
<涙の激闘>

a① MOA (手裏剣を放ちながら?)突進、右腕を大きく振って殴りかかる → YUI (?映っていない) 
a② YUI キツネサインを交互に突き出し突進、飛び蹴り→ MOA 前につんのめりながらよけ 
b① MOA 一回転しながら起きあがり、キツネ、キツネ、突き出す。突進し、高い飛び蹴り → YUI 腰を低くし耐えて 
b② YUI 右腰の剣に手を当てながら前進、右上から左下に切り下ろし、左下から右上に刀を切り返し、もう一度右上から左下に切り下ろし、くるっと一回転し正面に向く → MOA 頭を下げ、次に、海老反りになって耐えるも転倒
(最初の「キメ」は、YUIの楽器隊とのユニゾンだ。これは以下すべてのヴァージョンに共通するので、以下省略)

今となっては「事件」として語ることができるけれど、この「今」においては、全く想定すらできない事態が起った後の、魂のこもった「バトル」である。
YUIMETALもそうだが、MOAMETALも明らかに限界を超えていた。
(「ヘドバンギャー」で、2人きりになった後の土下座ヘドバンから起き直った後、右足をぐにっ、とひねってしまったように見える。その後の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」での最初の疾走の際に転倒してしまった(映像には映っていないが)のも、その影響なのだろう。何度も足をふらつかせながら、最後の1曲、と、全身全霊を振り絞って舞踊しきったMOAMETALの姿(b①の飛び蹴りも、かなり高いし、b②でも何とか転倒しないようこらえようとしている)には、(みなさんと同様)僕も何度見ても鳥肌が立ち、涙が滲む。

よく、BABYMETALをマンガに喩える言説があるが、本当にそうで、
結成時のエピソードから今に至るまで、どこを切り取ってもマンガを超えたドラマの数々を見ることができる。
例えば、 「ガラスの仮面」×「BECK」=BABYMETAL なんて数式を、さらに超えたストーリーの数々。
その中でも、この『赤い夜』は、まさにその、大きなヤマ場のひとつ、だ。
とりわけSU-METAL(中元すず香)の夢だった武道館公演という晴れの舞台の、最後の最後にきての、信じられないアクシデント。
そして最後の1曲の、本当に「命を削った」フラフラの熱演。
そんなドラマチックな物語のうえに、実際の歌・楽器演奏・舞踊は、超絶に高品質の、パフォーマンスを全身で見せてくれるのだ。
魅せられないわけがない。

b②でのYUIMETALの動きは日本刀のさばきを感じさせる。
ヴァージョン8(LEGEND1997版)のフェンシングを思わせる動きとは、さばき方が全く違う。ほんの数秒、細部にまで心を凝らした「演」奏が、こんな極限状態でも行われている。


10.BLACK NIGHIT 版(2014・03・02)
<転倒なし、「完璧」なバトル>

a① MOA 手裏剣を放ちながら前進、右手を回しなぐりかかる → YUI 手裏剣を受け、パンチに後ろへ飛ばされながら耐える 
a② YUI キツネサインを交互に繰り出しながら前進、飛び蹴り(SU-METALの頭くらいまで飛びあがっているように見える) → MOA くの字になって耐える 
b① MOA くるっと回転し起きあがり、全身、飛び蹴り → YUI 回転しながら後退、耐えて 
b② YUI 右腰の剣をおさえつつ前進、右上から左下に切り下ろす、また右上に振りかぶりながら伸びあがり、飛び降りるように再度右上から左下に切り下ろす → MOA
 頭を下げ、海老ぞりになって耐える


「赤い夜」をほぼ踏襲しつつも、b②が異なる。YUIMETALの剣さばきもだが、MOAMETALの耐え方は、前かがみから、ほぼ360度海老ぞりになっても倒れない、という壮絶なものだ。前日も、ほんとうはこのような「演」奏がしたかったのかもしれない、と強く思わせる。
完璧、である。

BABYMETALのコンサートにおける、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の「バトル」の意味が、この「赤い夜」「黒い夜」の2日連続公演を観ると、ひときわはっきりする。
完成されたそれぞれの楽曲の「演」奏の中で、「そのときかぎり」であること、なおかつそれが「闘い」であること
今現在もそれをし続けているのだが、BABYMETALは、(単なる設定だけではなく、実際に)一瞬一瞬を闘い続けてきた。その「今を生きる=闘う」姿が、この「バトル」の差異となって現れているのだ。


11.The Forum 版 (2014・07・07)
<ワールドツアー・ヴァージョン降臨>

a① MOA なぐりかかる → (YUI 転倒?) 
a② YUI フォース球をつくり突進し、キック→ (MOA 転倒?) 
b① MOA 手裏剣、ジャンピングキック→ YUI こらえる 
b② YUI キツネサインを繰り出しながら突進、左下から右上へ切りあげ、右上から左下へ切り下ろし→ MOA 身体を前に折ってこらえる。


攻撃を受ける方の動きがあまり明確には確認できないが、a①、a②では、転倒している可能性が高い(あくまでも雰囲気からの個人的類推です)。
何となく観ていると、「いつものバトルだな」と見過ごしてしまいがちだが、「赤い夜」「黒い夜」とは動きの組み合わせが大きく異なる。
MOAMETALの手裏剣は、「赤い夜」「黒い夜」では、a①であったのが、ここではb①に、YUIMETALのキツネサイン繰り出しもa②からb②に移っている。また、刀さばきも、「赤い夜」「黒い夜」とは、第一太刀からして違う。
”ワールドツアー2014ヴァージョン”と名づけておこう。

なお、ソニスフィアでの「バトル」、私有していないのであげていないが、ファンカムで確認してみると、上のヴァージョンと概ね同じだが、b②の剣さばきが「右上から左下に切りおろし、左上から右下に切りおろす、という、×を描く剣さばき」になっている。これは、確認できる限り、ソニスフィアのみの動き、だ。切り終えた後、目を伏せているYUIMETALの立ち姿は、剣豪のそれ、を思わせる。
一瞬、一瞬、の完成度よ!

12.幕張メッセ(「London」特典ディスク)版(2014・09・14)
<カオスな絵の、日本凱旋公演>

a① MOA 突進し上から右腕を振りおろしなぐりかかる → YUI 左手でかばいながら耐える 
a② YUI フォース球をつくりながら突進、飛び蹴り → MOA 耐える 
b① MOA (手裏剣を放ちながら?)突進、飛び蹴り(とんでもない高さ) → YUI こらえ 
b② YUI キツネサインを繰り出しながら突進、刀を左下から右上に切り上げ、ジャンプし(両足が跳ねあがるだけの時間のある跳躍)、飛び降りながら、右上から左下へ切り下ろす → MOA (こらえる?)


巨大ディスプレイに、狂乱する観客たちが映り、その前で3姫が歌い踊る、というカオスな絵が心地よいヴァージョンだ。
「バトル」の絵も、a①a②b①では、巨大ディスプレイには背後から映したYUI・MOA「バトル」(左右反転)が映り、b②では巨大大村神が映るという、カオスな贅沢な映像である。
ステージが広いので、2人とも存分に「バトル」のための助走もできたようで、b①b②でのMOA・YUIの跳躍の高さは、凱旋公演にふさわしい(?)とんでもない高みに達している。
「バトル」は、ヴァージョン11を踏襲しながら、b①のMOAMETALの飛び蹴りや、b②のYUIMETALの刀を振り下ろす跳躍の高さは、よりとんでもないことになっている。

13.O2 ACADEMY BRIXTON 版(2014・11・08)
  (含む『BABYMETAL現象』テレビ放映版)
<異国でのタイトなバトル>

a① MOA 突進し上から腕を振りおろしなぐりかかる → YUI 転倒 
a② YUI フォース球をつくりながら突進 (キック?) → MOA 転倒 
b① MOA 起きあがりつつ手裏剣を放ちながら突進、飛び蹴り → YUI こらえ 
b② YUI キツネサインを繰り出しながら突進、刀を左下から右上に切り上げ、ジャンプし、飛び降りながら、右上から左下へ切り下ろす → MOA のけぞってこらえる。


a②の最後の部分は、映像が観客席を映すので、YUIの動きが確認できないが、ジャンピングキックはおこなっていないようにも見える。そうなると11や12とは、大きなヴァージョン違いになるのだが。(NHKの『BABYMETAL現象』でも確認できなかった)。
11のFORUM版、12の幕張メッセ版と、動きの組み合わせはほぼ同じ、つまり”ワールドツアー2014仕様”だが、a①a②で転倒するところが、幕張メッセ版とは大きく異なるところだ。これは、ステージが狭いことからくる、時間差というかタイミング調整的な意味があるのでは、と思う。
幕張の広いステージでは、転倒しなくても、後ろに下がりながら「受け」の「演」奏を観せることができるが、狭いステージでは、後ろに下がれないために、「転倒」という「演」奏によって楽曲との動きを合わせている、そのように思う。
2人の体力や技術の向上からも、ヴァージョン4までの「尻餅」とは全く意味の異なる「転倒」、タイトな「演」奏としての「転倒」、なのだ、と。


14.2014年末 MUSIC STATION 版(テレビ放映) (2014・12・25)
  バトルなし


これは、ノーコメントで。


15.新春キツネ祭 版(WOWOW放映)(2015・01・10)
<驚愕!!!なんじゃ、こりゃ!>

a① MOA 手裏剣の連射、突進、右腕でなぐりかかる → YUI 耐える 
a② YUI 弓矢を狙い、打ち、突進し、ジャンプしMOAを飛び越える→ MOA 弓矢で射られた仕種、 位置が逆に
b① MOA → YUI 間合いをはかりながらMOAがキックし、
  左右入れ替わり 
b② YUI → MOA 両方とも剣で切り合い、刀を打ち合って、YUIの切りおろし、MOAがのけぞって耐える。


いやあ、こうやって、「バトル」だけ順をおってを追いかけてみて、最後に改めてこのヴァージョンを観て、今、ぞぞぞ、と鳥肌が立った。凄い。凄すぎる。

a①のMOAMETALの動きのキレからして、今までのヴァージョンとは段違いのスピードである。そして、a②での、YUIMETALの弓を射る動きとMOAMETALの射られたリアクションとの連動もリアルだし、その後のYUIMETALの飛び越え!
それによって、MOA・YUIの並びになったのは、BABYMETALの「バトル」史上、初めてのことだ(今のところこの時だけだ)。
その後の、MOAが刀で切るのも、初めて見る動き。
最後は、この「バトル」の見どころのYUIMETALの剣さばきとMOAMETALの海老ぞりでの耐え、で締める。

それにしても、a①~b②の「バトル」はほんの14秒ほどである。
別に、例えば、ワールドツアーヴァージョンで統一して「演」奏しても、文句を言う人など誰ひとりいない。
それを、今までと全く違う「バトル」に変えてくる、その、プロ意識というか、観客を楽しませようという意識には、改めて感服する。
たったこの14秒のために、どれだけ練習を積んだのか?

それに、考えてみれば、楽器の演奏や、歌は、録り直し、かぶせ、ということができる。今までの音盤や映像盤でも当然それは少なからず行われているだろう。
しかし、YUI・MOAの「バトル」をはじめとする舞踊は、そんなごまかしはきかないのだ。まさに本番一発勝負である。あの日あの時、疑いなく、YUI・MOAはこの超絶的な動きを、長いコンサートの中のほんの一瞬の中で、実際に行ったのである。
とんでもない「実力」だ。言葉を失う。

ここには、母国、日本の観客には、特別な「演」奏を届けよう!そんな意志をひしひしと感じる。先日の幕張でも、全く新たなヴァージョンが降臨した、ことは既に書いた。(映像が手に入ればまたじっくり楽しめる!)

生誕祭などの、映像化されていないライヴでも、とんでもない「バトル」がひょっとして行われているのかもしれない。

本当に、この、YUI・MOAの「バトル」は、BABYMETALにおける最大のインプロヴィゼーションだ。実際に分析を重ねてみて、改めてそう思う。
そして、BABYMETALの凄さ(本物さ)を、この「バトル」瞥見を通じて感じている。
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1 コメント

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Unknown (F)
2015-07-13 04:36:39
素晴らしい! 「バトル」を、毎回変えているとは知らなかった。

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