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三本脚で立つ~思考の経路

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BABYMETAL探究(よりみち編~My Graduation Toss 覚え書き)

2015-04-12 00:08:20 | babymetal
一か月ほど前から、音楽理論(コード進行など)の独学も、はじめたのだ。

BABYMETALの、舞踊という「演」奏を考える上でも、当然ながら、楽曲のつくりを音楽的に分析できた方がよいに決まっている、
そう思い、30年ぶりくらいに、楽典的な本(いまはCDやDVDつきで、学びやすい本がたくさん出ているなあ)を買っては、通勤の電車の車中で読んでいるところである。

ただ、理論書を読んでも、その瞬間瞬間は頭には入るんだけれど、
それがちっとも頭に残っていかない(加齢の所為でもあろう)ので、
具体的に、「My Graduation Toss」という楽曲が
なぜこんなにせつなさを感じさせるのだろう?ということを分析しながら、
本に載っている理論を(すこしずつ)体感しながら学ぶ日々を重ねている。
(そのせいもあって、このブログもなかなか更新できていない…)

本来、今までの流れからは、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を分析の題材にすべきなのだろうが、
たまたま思いたった時期が、まさに「グラ・トス」にぴったりの時期であり、
あらためてこの楽曲の素晴らしさに浸っていたので、まずこの曲から、と手をつけたのだった。
またBABYMETALの楽曲、例えばイジメに比べて、「グラ・トス」はもう少しシンプルな構造になっているだろうし、初心者にはまだ取り組みやすいかな、という思いもあってのことだった。

で、実際に、理論を学びながら分析してみると、やはり「グラ・トス」という楽曲はよくできているのだなあ!、という思いを新たにしたのだった。

さくらの季節にふさわしい、
明るい冷たさ、
あたたかなさびしさ。

「グラ・トス」が与えるそんな印象には、音楽的な構造からくる必然性もあるのだ、ということが、ほんの少しかもしれないが、理解できた(気がしている)。


以下、このブログをのぞいていただいている方には、多少なりとも参考・刺激になるかと思い、気づいたことをいくつか書いておこうと思う。
(BABYMETALを経由して、「グラ・トス」のような名曲に出会ったという、僕のような方は大勢いるはずだから。)
ただし、素人のニワカ勉強による分析なので、とんちんかんなことを書いているかもしれません。ご容赦を。

この曲に関しては、マーティー・フリードマンが、
マーティ・フリードマン★鋼鉄推薦盤 というサイトに、
<さくら学院『My Graduation Toss』はJ-POPの王道的良曲>
というタイトルのもと、次のような記載をしている。

ちょっと専門的になるけど、『My Graduation Toss』のサビのコード進行はこういう感じです。

================================
D→A→C6→B7→G→B♭→D→
G→EonG#→A→G→A
================================

 そして、このコード進行は歌謡曲~J-POPではよく使われるタイプのもの。プリンセス プリンセス『DIAMONDS』とかね。つまり、このコード進行を使うと自然にJ-POPっぽい曲が作れてしまうんです。これ、ここだけの秘密にしておいてください(笑)。

 ちなみにこのコード進行、今のアメリカのヒットチャートの曲では使われなくなってきているものです。それが今も多用されているのは、おそらく日本だけの現象。ボクがJ-POPに魅かれる最大の理由は、アメリカにはなくなってしまったこういうメロディやコード進行が残っているからなんだよね。J-POPは、いわばガラパゴス的な進化を遂げていると言えるのかも。



これをもう少し具体的に噛みくだいてみよう。

最初のサビの部分を、歌詞とコードとを合わせて小節ごとに記載すると、
次のようになる。

D            
きみにおく/る グラデュ/

AonC#
エーショント/ス たか/

C6     B7
らものを/あつめた/


ー  / オルゴ/

B♭
オルのな/かきらめ/


くー た/びー いつ/

G       onG#
でー もお/もいだせ/

A       G  A 
るー みん/なのこと/~ 



この曲は、基調はニ長調(Dメジャー調)なので、
全体的に、D、A、Gを使ったコード進行はシンプルなものなのだが、

特徴的なのは、まず、B♭である。
これは、本来、Dメジャー調の和音ではなく、同主短調(DはDでもDm)の和音であり、専門的には「準固有和音」と呼ばれるものだ。
その響きの特徴は、
「物悲しいパラレルワールド」(『音楽の正体』渡邊健一)である。
(この比喩は、卓越!)

「つまり、長調の曲の中にパラレルワールドである同主短調を混ぜ込むと、その短調ゆえの物悲しさを曲の中に自然と流れ込ませることができるのだ。」(『音楽の正体』)

そして、歌詞をみると、驚くべきことに、

  →(たか)らもの
B♭ →(オルゴ)ールのなかきらめ(く)

という、キラキラかがやく詞に、Dm調の「物悲しさ」がまぶしてあるのである!
(なお、C6の6とは「ラ」であり、B7の7も「ラ」だから、
 D→A→C6→B7では常に「ラ」音が響き続けているという装飾も加えてある)


そして、そのうえで、もう一つ、のコード(きちんと表記するならば、メロディに「レ」の音があることからも、E7だろう)も、Dメジャー調本来の和音ではなく(これは同主短調でもなく)、次のA(D調のドミナント)につながる「ドッペル・ドミナント(ドミナントのドミナント)」である。
その響きの特徴は、

「ドッペル・ドミナントの良いところは、ホッとしたあたたかい心地にさせてくれること。それならば、その前は淋しい方がいい。淋しくて悲しくてボク泣いちゃう……という気分の方がいい。その方がドッペルに出会った時に救われた気持ちが増す。」(『音楽の正体』)

である。ここも、歌詞との関係は、なんと!

E7 → (おも)いだせ(るー みんなのこと)

となっていて、まさに、物悲しさを支えるあたたかさ、になっている。
なんか、これだけで、胸が熱くなる、というか、泣ける(笑)。

(ちなみに、このドッペルドミナントを効果的に用いた名曲として、「デイ・ドリーム・ビリーバー」があるそうで、2013年度卒業生が後輩たちに贈った名演を、想い出させる)
(ベース音のG#は、G→G#→Aと半音ずつ上がるクロマティックな進行のためだ)

サビの次の部分では、
  → (べつ)べつのみ(ちをしめす)
B♭ → (うけ)とめるたとえひとり(でも)
と<物悲しさ>をまぶしたうえで、

E7 → (たびだーちー)という名(のしょうどう)
と明るく、前にふみだす詞になっている。

以下、

  → (まん)てんのほ(しぞらにー)
B♭ → (うかぶ)せいざのようにい(つでも) <物悲しいキラキラ>

E7 → (こころはひと)つになれ(る) <明るい>

  → (つた)えておき(たかったきもち)
B♭ → (くち)にだしたらないて(しまう) <物悲しい>

E7 →  (さいごま)でえがお <明るい> 
  ( で、さらに「じゃなくてごめんね」と、もうひとひねり。 ☚これは、泣くわ)

  → (たか)らものに(であえた)
B♭ → (オルゴ)ーるのなかきらめ(く) <物悲しいキラキラ>

E7 → (いつでもお)もいだせ(る)<明るい> ☚これも、泣くわ。

  → (それ)ぞれのみ(ちをしめす)
B♭ → (なみ)だをふいてあるき(だそう)<物悲しい>

E7 → (たびだーちー)という名(のしょうどう)<明るく、前向きに>



なお、準固有和音の中でも、D調でのCとB♭は、普通のポップスでは使われない、ロックの世界でよく使われる準固有和音だそうで、この曲の基本的な「カッコよさ」、BABYMETALからたどりついた僕たちがこの曲を「神曲」だと感じること、にも、こうしたコード進行上の構造的な秘密があるのだ、と考えられる。

また、
Bメロの、「(ボ)タンにからみつく~、さび~し~さをほどきながら、まっすぐ、みつめた、みらいのとびらをあけて」のところは、
使っているコードはD調のコードだけれど、Bメロ全体のコード進行は、並行調であるBm調になっているために、ほのかに陰りを帯びて感じられるのだと思われる。


という具合に、やはり名曲というものは、例えばコード進行と歌詞が、有機的に絡み合っているものなのだな、と、ニワカ勉強ながら感じたのだった。

さて、BABYMETALの楽曲はどうだろうか?楽しみでもあり、はるかに手ごわそうでもある。(いつか取り組みたい)








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