おかえりのすけBOOK

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ミモザ、スギ、耳たぶ

2005-03-19 | 
あたたかい朝です。ミモザが枯れたので、お礼をのべて捨てました。窓をあけると涙目です。掃除しながら詩をふたつ。

 大量発生したナルトが
 脳と咽にぺたぺた貼り付いている感じがする 
 それらナルトの無限増殖によって俺は死ぬかもしれない
 ……
  松本圭二〈スギトトホ〉より(「ユリイカ」2005.3掲載)

スギトホホ。


 ……
 家の扉を閉じて 
 じゅうたんの日なたで綿ぼこりが息を吹き返す
 掃除機をかけて床が削られると
 意識が明るみにさらされ 活力が鈍い形を取る
 贈られてから一度も試したことのない お菓子の本
 ボールに小麦粉をふるい入れ 牛乳を加える
 「耳たぶより少し堅めの状態になったら、」
 という 不意の説明
 耳の形は熟知しているつもりだが
 耳たぶの柔らかさについての記憶はない
 誰もが同じ耳たぶを持つとは 考えにくいし
 指で確かめても ボールに指を戻すと感覚を忘れる
 ……
  南川優子〈ロータリー〉より(『レインコートになりなさい』開扇堂 2004)

菓子作りに耳たぶ感は必須ですが、耳たぶは薄いので指でにぎにぎしてもその柔らかさがよくわからなかった。それは、低反発クッションの多くが、座ってしまうと自分の重みでそのよさがちっともわからなくなるのに似ている。

南川さんのウェブサイト「そふと」で〈ポフウェル氏の生活〉も復活!

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