スピーカーといえば有線でつないでというのが常識。それを無線化するにはBluetoothやAirPlay(※追記)があるが、あくまで端末とスピーカーの1対1の関係。それを根底から覆す全く新しいワイヤレス・ネットワーク・オーディオ・システム。パワードのスピーカーをWiFiで無線接続。自由にどこでも配置し、サーバに保存したローカルコンテンツだけでなく、数々のストリーミングサービスを利用してネット空間に存在するあらゆる音楽にアクセスできる。それがSONOSだ。「地球上のあらゆる音楽を、堅牢なワイヤレスでストリーミング」。このSONOSシステムがどれだけ便利か、文章や写真で説明するのはなかなか難しい。が、このワイヤレス・ネットワーク・オーディオ・システムがいま、俄然注目を浴びている。
うちのSONOS PLAY:1
すべての部屋にワイヤレスで世界中の音楽を
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SONOS は、各スピーカーにWiFi機能を搭載し、最大32台までの機器を1ネットワークに接続することができる。SONOS PLAY:1、3、5の3種類のパワードスピーカーと、ホームシアター用のPlaybar、そしてウーハーがあり、既存のスピーカーをSONOS機器化するアンプ機能の付いたSONOS CONNECT AMP、既存のオーディオシステムをSONOS機器化するCONNECTとが存在する。
すべての機器をSONOSアプリで一元管理。iOSアプリ、PCアプリ、Macアプリ、Androidアプリがあり、どの端末からでも操作できる。
Windows、iOS、Android、どれでも操作可能。
たとえば、Android端末でiTunesから登録したローカルの音楽ライブラリをSONOSネットワークで再生、そのAndroidがなくても手持ちのiPhoneで止めたり、Macで音量調整したり、PCで曲を変えたりすることが可能。それよりもむしろ広大なネット空間にある音を一瞬で再生できるというのが、最大の特徴で、SpotifyやPandoraをはじめ多くのストリーミングサービスに対応している。
ネットワーク上にあるすべてのスピーカーを個別に音量調整できるしグループ化も可能。たとえばリビングにいるときはリビングというグループのスピーカーだけを鳴らしたり、部屋を移動しながら、同じ音楽をベッドルームだけで鳴らすように変更、ということもできる。すべての部屋で同じ音楽を鳴らすことはもちろん、個別の部屋で個別の音楽を鳴らすことも可能だ。
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SONOSが開いた市場
SONOSは2002年に設立された比較的新しいベンチャー企業だ。まずZonePlayerと呼ばれる複数の部屋で同じ音楽鳴らすスピーカーを開発。当初は高価な専用リモコンが必要だったのだが2010年にiPadアプリ、2011年にAndroidアプリができ、今では各端末にローカル保存されている音楽を直接再生できるダイレクト・デバイス・プレイにも対応できるようになっている。僕の感覚ではSONOSの音楽ストリーミング・ネットワーク・システムはほぼほぼ完成したように思う。
今年のCESのトレンドとしてこのSONOSのような音楽ストリーミング・ネットワーク・システムを挙げていた記事がある。
CES trend? Multiroom audio. This year, everyone is gunning for Sonos
記事では、「今までSONOSはお金が余っててガジェット好きなアーリーアダプタくらいにしか受け入れられなかったが、徐々に新しいマーケットを作り出そうとしている。現に昨年後半くらいからSONOSへの注目度は急速に上がっており、いま多くのオーディオ関連企業がSONOSのマーケットを取りに行こうとしている」と書いている。まさに2014が「インターネットにつながったスピーカー」の元年だと。確かにグーグルトレンドのグラフを見ると昨年10月から突然上がってきている。
高まるSONOSへの注目度。上記記事より。
これはほとんどPLAY:1の発売が原因だろうと思う。それまではSONOSは「高い」システムだと言われていたが、エントリーレベルのPLAY:1が各メディアで絶賛され、マスへの扉が開いたということだろう。
Sonos Play:1 Review: The Best $200 You Can Spend On Sound via Forbes
Sonos Play:1 review - a little speaker with a big sound at a small(er) price via The Guardian
いまのところSONOSの競合は多くない。Samsungが数ヶ月前SONOSと同じようなシステムをリリース。このタイミングで!と感心。
Samsung Shape speakers target Sonos for multiroom wireless audio
SamsungのM5。ほんとこの会社は機を見るのが上手い。
またCES2014であのBang & OlufsenがSONOSのBridgeと類似の商品を発表したのを見てビックリ。価格を見て2度ビックリ!
Bang & Olufsen To Take On Sonos With The $1,000 Essence Streaming System
Beo Sound Essece。これが1000ドル。さすがめっちゃ強気の値段。高い!!!
「音楽への接し方と生活が変わる」
SONOSを使うと、家の中での音楽への接し方が全く変わる。インターネット、ストリーミングサービス、そして自宅のオーディオ・システムがシームレスでつながり、アプリで一元管理、一元操作できる。まさに、これからの音楽ネットワークシステムだ。
実際に使ってみて思ったのだが、ほんとに音楽を聴くようになる。スピーカーの音質も悪くないし(ベストではないが)、なにしろ電源さえ確保すれば、スピーカーの接続は一瞬だ。いったん接続してしまえば、聴きたいときにスマホを取り出せば、家のサーバにある音楽、あるいはネットラジオ、そしてまもなく始まるSpotifyなどのストリーミングサービスを使って、一瞬で聴き始めることができる。しかも良い音で。
この便利さを口で説明するのは非常に難しいが、BluetoothやらSFCやらでペアリングとかやってるのが、ばかばかしくなる。これはSONOSのセットアップがどれだけ簡単かを説明するビデオ。
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僕個人的にはここ数年仕事以外ではほとんど音楽を聴かなかったのだが、SONOSが我が家にやってきてから音楽を聴くことがいきなり増えた。日本でもSpotifyも始まることだし、どんどん便利になりそうだ。
箱は椅子になるし。
SONOSの弱点
ただ弱点がある。SONOSはいまは音楽に特化しており、映像のストリーミングには対応していない。なのでYouTubeやVimeoをiPadで再生してもその音を鳴らすことはできない。これはSONOSユーザーの多くが不満に思っていることだ。
あくまでSONOSアプリで再生できる音しか聴けないのは不便。
またパソコンで再生したブルーレイやDVDの音も聴くことができない。この問題は解決する方法がユーザーによって編み出されている。どうやるかというと、パソコンの音をストリーミングさせ、それをSONOSで受信するという方法。ただし音の遅延が起こる。その場合はVLC Playerでブルーレイを再生し、トラックの同期化で音を先行させればOK。なのだが、やっぱ色々とわずらわしい。
このあたりの問題はSONOSのフォーラムでもよく話題に上るので、今後の展開に期待したい。
ただ、既存のプレーヤーやテレビなどとの接続はPlaybarがあれば簡単なので、映像が全く見られないというわけではないし、PLAY 5であれば外部ライン入力があるので、ワイヤレスを謳っているのに不細工だけどまったくできないわけではない。
さらに、今流行りのバッテリ駆動のスピーカーもまだない。これは時間の問題で出てくると思う。また防水でお風呂で聴けるスピーカーも出るに違いない。
日本では?
日本ではあまり聞かないし、SONOS代理店もない。SONOS関連の記事をオーディオ専門サイトで見たこともない。日本では受け入れられづらいかもしれない理由はいくつかあると思う。
日本では音楽ストリーミングサービスが貧弱
音質重視のオーディオマニアには受けない
セッティングにある程度のリタラシーが必要で、できない人からのクレームが出そう
家が狭い
音楽はみんなで聴くというよりもっと個人的なもの?
などが僕が思いついたこと。僕は専門家でもなんでもないのでこの分析が当たっているかは知らない。日本にはオーディオ関連のメーカーが多いのでどこかが似たようなシステムを開発中かもしれない。が、アメリカでもSamsungが先行しているように、あまり期待できない気もする。日本メーカーはこういうワイヤレスネットワークシステムを作るの苦手っぽいし、なによりアプリが使い勝手悪くなりそう。
とはいえ、日本で話題になってくるのも時間の問題だと思う。SONOSの日本上陸が先なのか日本メーカーがSONOS類似システムを開発するのが先か。
僕はいま、このシステムを自分の編集スタジオや録音スタジオに便利に使えないかなーと画策中。ただやっぱ映像ストリーミングに弱いのが映像業者としては不満。ほんとなんとかして欲しい。あと録音機能もあるといいなあ。無線で録音するSONOSマイクアプリほすい。。。
でもそれを除けば、いや~~~便利ですよ、ほんと。上に紹介した記事に揶揄されてたような「捨てる金のある人向け」ってほど、他のオーディオメーカーのスピーカーの価格と比べて高くないし。そして昨年出たばかりのPLAY:1はやっぱ良かった。しかも僕は昨年やってたキャンペーンで買えたんでBridgeをタダでもらえた!ラッキー!
SONOS PLAY:1 - Mini but Mighty VIDEO
にしても、CES2014のレポート記事でもオーディオ専門サイトでも、SONOSに言及がないのはなぜなんだろう?あまりにも寡聞なので映像制作に関係ないのだけどせっかくだしエントリにしてみた。
※追記
いかに僕がMacに無知か露呈。。ドローン番長 に教えてもらい、AirPlayは複数台のスピーカー鳴らしたい放題だそうです!知らんかった!ならばAirPlayでええやんという気もしてきましたわ。ぜんぜん関係ないけどドローン番長、うらやますい 。
※追記(2014.1.21)
AirPlay vs Sonos: choose the best audio streaming for your studio
AirPlayとSONOSの比較記事を発見したので追記。ストリーミング・サービスとのつながりを考えるとSONOSのほうが便利と。またSONOSのホームページにAirPlayとの接続について 書いてあった 。有線なんで不細工だけど。
・ミラーリングに限られる(拡張デスクトップは不可)
・ゆえに解像度がどちらかにしかあわせられない(*)(**)
でも音声も映像も無線でワンアクション(ステータスバーから2クリック)で簡単につなげれれるので今後の進化に期待してます。
ちなみにSONOSのページのAirPlayとの接続ですが、単純にAirmac Expressの機能をAUX INしてるだけっぽいですね。とおもったらLANもつないでるんですね。むむむ。あ、SONOSのページのAirMacExpressは旧型の様子です。新型でもおそらく問題は無いとおもいますけれど。
http://www.apple.com/jp/compare-wifi-models/
(*)メインのMacbook Pro Retina15でSONYのFULL HDのTVにつなげると上下左右にレターボックスが出てしまう。
(**)TV側にあわせると16:9になる分レターボックスの面積は減るがそれでもTVの画面いっぱいにはならない。しかもRetinaのほうの上下にレターボックスが出現...。
ありがとうございます!なるほどなるほど。。
僕はほんとにMacに無知なんでいろいろ知らないことだらけなんですが、上記のCreativeBlogの比較記事にあるとおり、SONOSはやはり音楽ストリーミングに特化しているだけあって、AirPlayと比べてかなり便利なのが分かりました。特に1ソースしかダメなのと、デバイスがそこにないと鳴らせないというのがSONOSとかなり違う。
ただ、AirPlayは対応スピーカーであればなんでも接続できるというところはやっぱ優れてますね。SONOSはSONOSスピーカーだけですから。
僕の今後SONOSに期待することは、、、
1)YouTube、Vimeo、Huluなどの映像ストリーミングに対応。
2)パソコンの音を直接鳴らせる
3)SONOSデバイスをサードパーティにライセンス
ですね。すべて可能にしてくれたら最強です!!
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と盛り上がりかけてyoutube非対応のところで盛り下がる。。
動画非対応とは。。
SONOSアプリはよくアップデートされて、この記事書いた頃より、今はかなりインターフェースも変わって改悪の部分もあったりします。
ただサードパーティのアプリが出てましてAndroid限定ですが、Macronosという有料アプリを入れれば、Sonosアプリ以外の音も鳴らせます。YouTubeも可能です。
http://bit.ly/1czq8vT
でもやっぱりオフィシャルで対応してほしいですよね~~ 怨嗟の声は山ほど聞きます。これだけ多くの人から言われてるのになぜ対応しないのか。機会損失もいいところですよ、ほんと。SONOSの成長を妨げてます。