先日Vegasの大宣伝をしてしまった。あいにくSonyは自社にこんなソフトがあるの知らないからギャラなんかくれないのに。ま、どうでもいいか。
Vegasの何がいいのか。その前にSonic Foundryという今は亡き会社について説明したい。現在のSony Media Softwareの前身となる。Sonic FoundryはAcidという音楽制作ソフトでブレイクした。Acidは音楽制作において革命的な提案をしたソフトウェアで、まさに音楽制作の根本を覆した衝撃の登場だった。
それまでのDAW(※)といえばMIDI、つまり打ち込みである。MIDIとはシンセサイザーのことと大雑把に言っても怒られないだろう。音符に音色をつければ音が鳴る、と簡単に考えていただければ分かりやすいと思う。例えばドレミと打ち込んでギターの音色を選択すれば、ギターの音色でドレミと鳴る。ケータイで着メロをダウンロードしたり自分で作曲した経験を持つ方も多いはず。アレです。
MIDIの素晴らしい点はデータの量が非常に軽いこと。なにせ「ドレミ」という音符情報とギターの音色情報だけでいい(※厳密にはそれだけではなく音の強さや減衰などいろんな設定をする必要があるけど)。音楽制作の現場でいまだにMIDIを超えるモノは生み出されていない(と思う)。
ところが弱点がある。最近こそ進化したとはいえ、音色がチープなのだ。ケータイの音色で同じことを思われた方は多いだろう。80年代の洋楽を聞くと、あの時代の音のチープさが逆に心地よく聴こえるのは不思議だが、とにかくリアルさが欲しければやっぱり生の楽器が必要だったのだ。
Acidはループという概念を持ち込んでそれを覆した。
ループとは繰り返しのこと。音の生データは重い。ところが音楽は繰り返しが多い。「じゃあその繰り返し分をハショっちゃえ!」というのがAcidだった。1小節分だけを録音し、それを8回繰り返せば8小節分が完成である。ごく簡単な原理だがこれを徹底してやったのがAcidだった。ビックリするほど使いやすい。
このループという概念はスゴイことをもたらしてくれた。それは何かというと…… 僕はこんなことを偉そうに書いているがMIDIなんて全く分からない。楽器はほとんど触ったことがない。楽譜もまるでチンプンカンプンだ。こんな三重苦の僕ですら「自分の映像の音楽は自分で作ってます」と偉そうに言えるのだ!
Sonic FoundryはこのAcidで音楽制作の世界に革命を起こした風雲児だった。そのSonic Foundryが映像用に作ったのがVegasだったのだ。
※Digital Audio Workstationのこと。パソコンベースで音楽を作るシステム、ソフトのことを指す。
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