人間界 不思議なことばかり

不思議発見というテレビ番組がありますが わざわざ遠方に出かけなくても 身の回りには 不思議なことがいっぱいあります

2011-07-22 12:35:38 | 日記
ヴァイオリンの名器ストラディバリウスの美しい響きが今の科学をもってしても解明されていないように、130匹ものねずみを水際に導いて溺死させたハーメルンの笛のなぞも童話のままだ。美しい音色かどうかは不明だがある種の生物にはある音色が行動を狂わす作用があることを暗示している。文字や映像は脳内で何かに変換して神経へと伝達されるが、音は単純な振動なので直接耳から脳への刺激になる。だから適切な音は麻酔に似た陶酔作用のある脳内物質を分泌させるようだ。かの色道の大家サド公爵も耳からの刺激が一番色情を催すと述懐している。ポルノを見たり実践したりするより、耳からの嗚咽のほうがどうやら色道の極意らしい。だから電話でセックスの愛好家がいて商売として成立するのだろう。しかしこれは性とは何かという本質を表象している。
さて予算が減ったといっても道路工事はインフラの要である。山中にまで道路が通じ、いったい誰が利用するのかと思いきや遠くのほうからバイクの音が響いてくるのが常である。リックを負うた若者たちが騒音を立てながら過ぎる。彼らにはエンジン音こそが脳内物質かもしれない。
大型道路工事があると必ず周辺の民家は取り壊される。その際古い民家からはねずみの移動が起こるという。そしてこれまでねずみに縁のなかった家にチューチューと登場する。とにかく家庭の主婦はねずみには異様なほどの敵対心を出し近所中が大騒ぎになる。役所から無料の殺鼠剤が配られる事態になる。こんなときにハーメルンの笛があったらさぞ便利だと思う。ただ都会の川は随分と前に埋め立てられているので彼らをどこへ案内したら良いかと迷う。
実家は古い家で今もって土壁である。母親は老婆だから土壁のほうが雰囲気にぴったりしている。以前若い女の子が玄関に立っているので不審に思い理由を訊くと、土壁が珍しいのでつい覗き込んでしまったとのこと。建築家の卵だった。
築五十年も経つと当然ねずみが第2の主人だ。家賃も払わないで時々悪さをする。屋根裏が遊園地になり廊下に出没するようになると決まって退治するようにと連絡が入る。こんな時は母親の権威をむき出し早く退治しろという。昔はかごやバネ式のネズミ捕りが主流で、ねずみがかごの中を元気に走り回ったりバネの下敷きで死んでいたりで始末に困り、現代のようなスマートな時代にそぐわない。美味しい殺鼠剤を食べて人目に触れずに死んでもらうか、強力接着剤に捕まったままごみ袋に放り込んでしまう。何事も右から左だ。
石鹸やシーツ等の贈答品、冠婚葬祭のお返し品がしっかりと詰まった押入れ等が彼らの格好な作業場だ。老婆にとって捨てるに惜しい品々で、かといってすぐに使う様子もない。ねずみを退治した後、尿の匂いに耐え小豆大の糞を踏まないように、さっさと押入れを掃除し、ついでに贈答品を処分してしまう。老婆は捨てないでと騒ぐが無視して捨てる。誰かにあげるからと文句をいう。誰にあげると聞いても答えない。と言うことで近くのゴミ捨て場に久谷焼の湯飲みやら益子風の皿を箱ごと置いておくと、翌日になるまでもなく消えている。