流行語

今度の地震で想定外という言葉が盛んに使われた。特に原発に関して当事者の口から言い訳のように想定外と繰り返された。今年の流行語大賞当確だ。東電は原発の事業者だから責任は重大であるが、許認可を与えた原子力委員会や保安院はどうやらお咎めなし。免罪符のように想定外を口にするばかりだ。いつものことだがこの国では官庁は許認可の権限はあるがその責任は全くないらしい。決裁権は死守するが万が一の場合の責任を部下に押し付ける無責任で勝手な経営者みたいなものだ。
想定外があるのだから当然想定内がある。想定内すなわち法律を遵守することならば違反にならないし、想定外で建物が崩壊しても違反にならないことだ。ただし誰かが想定をしたという事実を忘れてはならない。科学的事例と証する数字に基づいて策定されたのだが自然は人間の英知を大幅に凌駕した。自然に対して安全という楽観が絶対的にありえないという良い証拠だ。安全は人間界の事柄で、自然を畏怖することなく多くは人間同士の力関係によって成立する妥協の産物ということを忘れてはならない。また原発を反対する方の姿勢も間違っている。反対空しく強制的に原発等が認可されたならば、すぐさま事故がおきたときの回避処置について追求するか、安全を求めてその地から逃げるべきだ。単なる反対は何にもならない。現実的な対応が必要で、日常的な避難訓練や放射能についての知識も習得すべきである。なぜなら自分たちは危険地帯に居住している事実がある。
菅総理は浜岡原発を停止させたが、其の舌が乾かないうちに安全が確認されたら再開すると発言したが、いったい誰が確認するのか、もしものことがあった場合誰が責任を取るのか、しかし責任云々よりも人類にとってもっと重要な問題だと思うが。空き缶じゃしょうがない。

発生

前後不覚になるくらいに飲酒しても警察の検問に引っかかったり事故を起こさなければ交通違反にならない。ほかの犯罪でも発覚しなければ犯罪として成立しない。しかも警察の取調べの後、長い長い裁判が結審しての話で、無罪放免されることも多々ある。極端なことを言えば私が殺人を犯しましたと出頭しても立証できなければ事実であっても罰することはできない。まさに真実は神のみぞ知るである。
今度のユッケの食中毒についても死者や重傷者が出なければ単なる食中毒でうやむやになっていたと思う。食中毒が起って明らかになったことは日本国中誰もがユッケを食べていたにもかかわらず厚生省の定めた基準に合った生食用の牛肉が存在しなかったという驚くべき事実である。基準になければ存在しないという事実は発覚しなければ犯罪にならないということに通じる。目の前の事実を知ろうとしない。
日本の法律および役所の姿勢は発生主義である。効果のわかり難い予防および防止についての姿勢がまったくない。十分な予防措置が功を奏すれば逆に困る業界の圧力があるのではと勘ぐってしまう。だから余計なことはしない。政治家や役人の怠慢だといわざるを得ない。現状維持に固執すること、すなわち何もしないことがまかり通り、そのことが出世への道だと確信している。
人間好きなことをすればそれに越したことはない。わざわざ健康のためにと散歩をしたり軽いランニングをしたりするのは人によっては面倒だし、暴飲暴食をすれば成人病予備軍に列せられるとわかっていてもやめる気配がない。マスコミでもグルメだの大食いだのと騒がしい。健康のためにめざしを食するようにとは誰も言わない。便利なもの、楽しいもの、美味しいもの、楽できるものすなわち至れり尽くせりの生活を一旦味わってしまうともう後戻りはできない。その気もないようである。健康をより健康になることによって生じる経済的損失のほうが気がかりだ。今の生活スタイルを変えなければ文明が行き詰ってくるとうすうす感じていても、経済成長のこと生活面での不安等があってままならない。為政者は現状を変えたくない。地震が確実に来ると予想されるのに何の策を講じることができないのに似ている。