徒然草紙

読書が大好きな行政書士の思索の日々

遺言状 その5 

2005-06-29 10:36:06 | 遺言状
先日のタイトルに、「遺言状その4 代償分割」
と書き入れて、一度アップしたのですが、後
になって、文章のなかに「代償分割」という
言葉がないことに気がつき、タイトルを
「遺言状 その4 生命保険の活用」と変えて
再度アップしました。
そのおかげで、ブログ自体のタイトルは、
「生命保険の活用」と変更されたのですが、
RSSで検索すると、そこには「代償分割」と
いう言葉がそのまま残っていました。

驚きました。RSSの検索画面では、一度アップ
すると、それがそのままの形で残ってしまい、
後から変更はきかないんですね。
それとも、私の知識不足で、他にやり方がある
のでしょうか。

代償分割というのは、特定の相続人に、財産
を集中させたいときなどに、その相続人から、
他の相続人が本来もらうことのできる財産分
を金銭に換えて、支払うことをいいいます。

言葉を変えていいますと、相続財産として、
土地建物があった場合に、本来ならば、その
土地建物を売って、金銭に換えて、それを
相続人の間でわけるべきものを、それをしな
いで、特定の相続人に土地建物をすべて相続
させて、その人が他の相続人に、その土地建物
を売ったとしたらえられたであろう金額のなかか
ら、相続分にあたる額の金銭を支払うことで
遺産分割にかえようとするものです。

この制度を使う場合には、実際に土地建物を
相続する人が、遺産分割のための資金を用意
することが必要となりますが、そのために生命
保険の利用が考えられますよと、いうのが、先
日書いたブログの内容です。

代償分割の説明としては正しかったのではない
かと思いますが、タイトルの「代償分割」という言
葉が、文章のなかに見当たらなかったことと、
RSSと実際のブログのタイトルが違っていたこと
で、「なんだ。これは?」と不思議に思われた方
がいらしたと思います。申しわけありません。

今後は、このようなことのないよう気をつけていき
たいと思っております。

「常在戦場。日々是決戦。」(なんのこっちゃ)の
覚悟で書いてまいります。


遺言状 その4 生命保険の活用

2005-06-27 11:13:24 | 遺言状
遺言状を書かれる方のなかには、財産を
ある特定の人に集中させるのではなく、
何人かの人に分けて遺したいと考えておら
れる方もいらっしゃるかと思います。

この場合、財産が土地や建物といった換金
しにくいものだけであると少し問題が起こりま
す。

普通に考えますと、土地や建物を売って、その
利益を相続人全員で分ければよいではないか、
と思いますが、現実にはそう簡単にはいかない
でしょう。

その土地や建物には、なんの未練もない。お金
だけあればよい。といった方は、まったくいない
とは思いませんが、かなり少数派ではないかと
思います。

多くの方は、自分の親や兄弟が住んできた家を
そのまま手放してしまうことには、抵抗があるの
ではないでしょうか。
また、アパート経営をされている方、農業を営ま
れている方にとりましては、土地や建物が生活の
基盤となっていますから、それを手放すことは
非常に難しいことと思います。

このような場合には、土地や建物を売らないで、
相続資金を用意する方法を考えなければなりま
せん。

そこで登場するのが、生命保険です。
土地や建物はそのまま残して、生命保険の保険
金を相続人の間でわけるのです。

具体的には、特定の人(たとえば、配偶者もしくは
長男など)に土地建物を相続させ、その他の人に
は生命保険の保険金を渡すことが、考えられます。
この場合、土地建物の相続人を保険金受取人とし
て、その人から、他の相続人に相続分として、その
保険金を渡すこととなります。

注意するべき点は、被相続人が相続資金に見合う
だけの生命保険に加入することができるかどうかと
いったことです。
ご存知のように、生命保険の引き受けは、年齢ととも
に厳しくなります。

相続について考えるのは、ある程度、年をとられた
方ではないかと思います。そのときに、生命保険に
加入することができるかどうかはわかりません。

そこで、現在自分が加入している生命保険の保険
金額を確認することが必要となります。
それが、相続資金を満たすものであれば、よいの
ですが、そうではない場合には、新たに生命保険
に加入することを考えなければなりません。
その場合には、相続のために必要な金額と、自身
の健康状態を考えながら、いくつかの保険会社の
資料をとりつけて検討することが大切です。








遺言状 その3 遺留分の活用について

2005-06-24 10:49:10 | 遺言状
個人の予防法務の代表的なものに
遺言状があります。その遺言状を書
くうえで注意しなければならないもの
として、遺留分があります。

以前にも書きましたが、遺留分を無視した
遺言状は、それ自体では有効ですが、
後で、遺留分の権利をもつ相続人から
遺留分減殺請求をおこされると、その分
については、返さなければなりません。

遺留分が認められているのは、配偶者、
子供、そして親です。兄弟には認められて
いません。兄弟は法定相続人ではあります
が、遺留分が認められていないのです。

そこで、面白いことがわかります。
遺言状がない場合、相続財産は、兄弟を
含めた法定相続人によって分割されますが、
遺言状に、兄弟には財産を相続させない旨
の記載があれば、兄弟には財産がいかない
のです。

これは、兄弟の仲があまりうまくいっていなく
て、その兄弟に財産を残したくない場合や、
相続財産のほとんどが土地や建物などで、
現金で分割することが難しい場合などに
兄弟を除いた特定の人に財産を相続させ
たいときなどに利用することができる予防
法務の方法のひとつです。






遺言状 その2

2005-06-22 17:29:12 | 遺言状
米子市には、これまで行ったことがありませんが、
ブログを読ませていただきますと、かなり暑いの
だろうなあと思います。
東京は、暑いのだか、寒いのだか、判然としませ
ん。今週の月曜日に、スーツを脱いで、半そでの
ワイシャツにネクタイをしめて、仕事に出かけたと
ころ、案外、肌寒かったので、驚きました。

今日は午前中は雨でしたが、午後には雨もあが
りました。
しかし、同時に非常に蒸し暑くなりました。ちなみ
に、今日の私は半そでのワイシャツにネクタイと
いった姿です。月曜日とはちがって、ちょうど良い
感じになりました。

さて、個人の予防法務として、遺言状について色々
書いております。

前回、遺言状を書く場合、遺留分との兼ね合いが
大事です、と申し上げました。
そこで、遺留分のはなしをいたします。

遺留分は、相続人が最低限受け取ることのできる
相続財産の割合をいいます。言い換えれば、相続
財産のうち、これだけは、相続人に残さなければな
らないと、法律上、認められた権利です。

ただし、黙っていても認められる権利ではないこと
に注意しなければなりません。遺留分の権利を主
張するためには、自分から進んで声をあげなくては
なりません。「この遺言は、私の遺留分を侵害して
いる。」と言わなければなりません。この声をあげる
権利のことを「遺留分減殺請求権」と呼びます。

また、遺留分減殺請求権を行使することのできる期
間は、相続が開始されたとき、あるいは、遺留分が
侵害されたことを知ったときから1年間と決められて
います。この期間を過ぎると、遺留分は認められな
くなります。

このように、相手が1年間だまっていてくれれば、大
丈夫といった点を利用して、とりあえず、遺留分を無
視した遺言状を書いてしまっても、よいのではないか、
といった記事を、以前、遺言状に関する本を読んだ
ときに見たことがあります。(もちろん、絶対に大丈
夫などとは、書いてありませんでしたが。)

ひとつの考え方とは思いますが、実際にはどうでしょ
うか。

極端な話、遺留分減殺請求は、口頭でもできます。
なにも面倒くさい手続きは必要としません。まあ、時
効の問題を考えて、内容証明郵便を使うほうが、賢
明とは思いますが。

そうしますと、あらかじめ、遺留分について充分に
注意をした遺言状を書いておくほうがよいかと思い
ます。




遺言状

2005-06-20 11:03:32 | 遺言状
遺言状を書く目的は、自分の死後、残された
家族や、お世話になった人々の生活を守るため
です。

遺言状には、強制力があります。すなわち、
他の法律で規制されていることをのぞいて、
遺言状に記載されたことは、そのまま実現
されます。これは、亡くなった人の意思を最
大限、尊重しようという考え方の現われです。

言い換えるならば、遺言状によって、人はみ
な、生前、自分が苦労して築いた財産を自由
に処分することが認められているのです。

ただし、遺言状でできることには、制限があり
ます。遺留分の制度がそれです。人は遺言状
を残すことによって、自分の財産を自由に処分
することができますが、遺留分を侵害した処分
をすることはできません。

そこで大事になってくるのが、遺留分との兼ね
合いを考えた遺言状の作成です。
法律上、遺留分を無視した遺言状も有効です
が、後々、トラブルの原因となります。そのよう
なトラブルを起こさないためにどのような遺言
状を書くべきなのか?
この問題を考えることが、予防法務であり、個
人の立場におけるリスクマネジメントなのです。