極私的映画論+α

+αは・・・日記です(^^;
最近はすっかり+αばかりになってしまいました(笑)

おくりびと (2008) 130分

2009-03-20 23:07:12 | 日本映画(DVD・TV)
おくりびと [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント

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 チェロ奏者の大悟は、所属していた楽団の突然の解散を機にチェロで食べていく道を諦め、妻を伴い、故郷の山形へ帰ることに。さっそく職探しを始めた大悟は、“旅のお手伝い”という求人広告を見て面接へと向かう。しかし旅行代理店だと思ったその会社の仕事は、“旅立ち”をお手伝いする“納棺師”というものだった。社長の佐々木に半ば強引に採用されてしまった大悟。世間の目も気になり、妻にも言い出せないまま、納棺師の見習いとして働き始める大悟だったが…。

 
DVD ★★★★


 素晴らしい映画でした。

しかし、私自身の心の中に「穢れ」という意識がある限り、この映画に満点は上げられません。
 もちろんどの職業も貴いものです。どの職業も人間社会では必要不可欠なものです。

 が、しかし、「穢れ」という感覚はどなたにもあると思うんですね。

 広末涼子に劇中に「穢らわしい」や「生まれてくる子どもに胸張って今の職業を言える?」などというセリフを吐かせましたが、これが一般的な日本人の感覚なんだと思います。いわばタブーの分野まで踏み込んだこの映画は、そういう意味でもやはり画期的です。

 「穢れ」という文化はもちろん日本独自のものではないと思いますが、日本神道にも、もちろん仏教にも「穢れ」という文化はあるわけで。日本が日本である限り、この映画のテーマは永遠に生き続けるし、決して避けられない道なんですね。

 よほど排他的な宗教を信じている人以外は、身内はもとより他人の仏事にお焼香をしますね。あれは「穢れ」を落としているんです。自分自身の「穢れ」を落として清い身体でお参りするんですね。最近は少なくなりましたがお通夜やお葬式でいただく「粗供養」の中に清め塩が入っています。私は使ったことがありませんが、家に入る前に使う人ももちろん普通にいます。神社に参拝する前に、手水で左手、右手、口・・・といった順に水で清めます。また、月経中の女性は基本的に神社に参拝できませんし、どうしても参拝する場合は鳥居の下をくぐらないようにするといったものもあります。

 すべて、この広末の発したセリフ「穢らわしい」ことを清めることなんですね。

 人の嫌がる職業・・・しかし、社会生活を営んでいる上で絶対に必要不可欠な職業はたくさんあります。「他人にはお願いしたいけど、自分の身内には・・・」って思うことが、この広末のセリフなんですね。もちろん「なんて酷いことを言うんだ」って感じる人もいるだろうし、自分自身を広末に置き換える人もいると思います。そして、モックン演じる主人公も、嫁がそう思うだろうと思ったからこそ言えなかったわけですね。

 この映画では自分に近しい人の納棺に立ち会うことで、広末が彼の職業を認め、そして彼自身も彼の父親を許すことで彼自身も新しい自分になるわけです。

 昔は・・・なんていい方をすると、何年位前?って話になりますが、少なくとも戦後直後までは、身の回りでたくさんの「死」がありました。故人の近しい人が納棺していたわけですが、戦後核家族化が進み、自分自身の周りに「死」というものがあまり見られなくなりました。それゆえに昔以上の「穢れ」という感覚が根付いたのかもしれません。

 一昨年、義母が亡くなった時に、この納棺の儀式に立ち会いました。もちろん「穢れ」を感じることはありません。ルーズソックスこそはかせませんでしたが、義母を出来る限り美しくしていただきました。その手際のよさと、この映画のモックンみたいな立ち居振る舞いの美しさは忘れられません。もちろん、そのときどのような気持ちで義母を棺に納めたかってことも・・・

 そういう経験が身近にあったので、この映画は映画館で見ることをためらっていました。しかし、アカデミー賞を受賞したアンコールロードショーとはいえ、今なお映画館で上映されている作品をDVDで見ることは初めての体験でした。

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4 コメント

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この映画みてない (RIN)
2009-03-21 12:27:19
んだけどね。
ウチは田舎だからか、近しい身内を「納棺士」にお任せした経験がないんだよ。
身内や近所の人がやることだと思い込んでたので、この映画が出来たとき「そういう職業がある時代なのかー」と驚いたのよ。
いまだにその感覚が抜けないんであまりみにいく気にもなれず…。なんだけどね。
そかそか・・・ (しんちゃん)
2009-03-21 16:04:16
★Rinちゃん
場所場所で違うだろうし、日本も広いってことかも。
たとえば、お葬式一つにしても、わが町会では数年前までは、地元の町会会館で行ってたけど、今はほとんど葬儀屋さんの会館で行うしね。
同じ班の男性陣が受付に立って、女性陣が炊き出しして・・・ついこの前までそんな風景が見られました。
なんだか (kalin)
2009-03-27 21:28:59
色々、考えさせられた映画でした。

素晴らしい映画だ、と思いましたが。
やはり、私が思うところの死生観とは少し違うので。
手放しで、泣けた~とはいきませんでした(^_^;)
泣けなかったね (しんちゃん)
2009-03-27 21:53:02
★kalinちゃん
私の心の葛藤は、やはり「納棺師」という仕事を私自身が選べないなぁ・・・ってことなのね。

そう思うと、やはりこの映画を見て感動したなんてことを簡単に言えなくて。

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