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ニッポン国VS泉南石綿村とラッカは静かに虐殺されているを観に行きました。

2018年04月22日 23時55分02秒 | Weblog


観に行きたい映画がここんとこ沢山あって、やっと観に行けた2本。あと観に行きたいのは、ペンタゴンペーパーズと想田監督の港町。
こうして並べてみるとドキュメンタリーとノンフィクション、市井の人達が権力や暴力と戦う映画が並んでしまった。陳腐な言葉ですが「時代が求めてる」ってやつですかね。

原一男監督「ニッポン国対泉南石綿村」
http://docudocu.jp/ishiwata/
休憩を挟んで四時間近い大作。大阪府泉南市にはかつてアスベスト(石綿)製品工場が沢山あり、有害物質である事が判明後も国が対策を怠り石綿肺に冒され患者、その家族、遺族が国賠訴訟を起こし、和解までの8年間を追ったドキュメンタリー。
泉南アベンジャーズと命名された原告団の皆様も病や高齢の身を押して原一男監督と共に全国の映画祭や上映会に馳せ参じています。
これは一刻も早く、見て欲しい映画。映画の話中、さっきまでインタビューに答えていた人がどんどん亡くなって行きます。そして、それは今も進行中です。見て何かが出来る訳ではないけど、その事実を知って、気持ちだけでも戦う人達と並走したい、みんないなくなってしまう前に、と思います。
そして、悪政が覆い、貧富の差だけでなく、思想や知性までも二極化激しい昨今、この映画の筋である一般人が国を相手取って戦うという事のリアルが否応なく突き刺さる。こんなことしていいんだろうか?という戸惑いや不安、怒り、焦り、無力感、温度差、生き死に、損得。
そして、人の集まりであるが故の個人の暴走や問題意識の違い。見て一緒に泣いたり怒ったりしながらも、嫌なもの見せられる気持ちにもなる。でも、これは私の中にある嫌な部分が反応するから。
原告団を引っ張る活動家の柚岡さん。熱心に皆の自宅に足を運んで話を聞き、かつての工場従業員達を尋ね、献身的な人だなあと思いますが、休憩挟んで後半になって、裁判も進み出すと柚岡さんの暴走が始まり、おとなしい原告団と難しい裁判に苦戦する弁護団を掻き回し足並みが乱れてきて、オールド左翼にありがちな反権力活動が目的であって対象は何でも良かったんじゃないの?という疑念も沸き、
原告団リーダーの佐藤さんは夫を亡くし、生前夫が言ってた運動に参加するなとの言葉を振り切り、悲しみのまま精力的に運動に参加するのですが、やはり後半、それまで非を認めなかった政府与党が一転謝罪に応じ、泉南も訪れ出すとコロッと態度が変わってしまいます。いるわー、こういう人、といった感じ。
でも、柚岡さんがいたからこそ、ずっと対面を拒絶していた省庁の扉も開くし、佐藤さんのお陰で原告団も本当に普通の関西のおっちゃんおばちゃん達の集まりなんだと、それが国と対峙してきて軟化されたら、そりゃあ舞い上がりもするだろうと思い至るし、登場人物達のそれぞれの陰影もはっきりしてくる。
近所付き合いや学生時代の教室付き合いの煩わしさを思い出す。色んなキャラがいて、でも箱から零れないようにする苦労というか。でも、それが突然自分達が被害の当事者になった時にこういう事になる。最近では東北や熊本の被災地でもあった事だろうと思う。
被災者、原告団、被害者…、色んな言葉でまとめられてしまう人達それぞれに、顔と名前と個性と人生がある。そして、いつ自分がその立場になるか分からない。それを嫌になる位、胸に刻めた良い映画だったと思います。ありがとうございました。
個人的には赤松さんが、可愛くて切なかった。愛し合ってる夫婦の別れは他人ながら辛い。

マシュー・ハイネマン監督「ラッカは静かに虐殺されている」
http://www.uplink.co.jp/raqqa/
アラブの春以降、ISがシリアのラッカに侵攻。最初は反権力の味方かと思われたISが支配と虐殺に走り、町は制圧され、逆らえば公開処刑、外部への発信も難しくなる中、立ち上がった若者達が作る市民メディア団体RBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)の活動や生活を追ったドキュメンタリー。
ISは後藤さんと湯川さんが捕らえられ殺害された事は忘れられないし、シリアだけでなく、ヨーロッパ各地で起こしたテロも衝撃だったけど、そのISに制圧された町はどうだったのか、どうなったのかは知らなかった。市民を死と隣り合わせにして恐怖で支配していく様はもう、怖くて怖くて仕方がなかった。公開処刑のシーンや殺害の様子も多々映し出されますが、怖過ぎて涙も出ない。もう、本当に怖い。夢に出てきたくらい怖かった。
その中で、町を世間から断絶し恐怖政治を断行するISが恐れたのは外部への情報発信。危険がRBSSのメンバーに近付き、一部メンバーは故郷を離れ亡命し現地の情報を送る部隊と亡命先で世界に発信する部隊と別れ、亡命先でも命を狙われながら活動は続けて行きます。
海外のニュースサイトで見たことある映像もあり、彼らが命がけで送った映像だったんだと知る。
そして、現地に残った家族が見せしめに殺され、仲間が殺され、現地から送る部隊は通信環境が悪い中で暗号化して送信後、データは即消去とギリギリの活動を続けながら「死ぬことは怖くない、発信出来なくなる事が怖い」と言う。
政情不安定ながらも、人の普通の暮らしがあった町が人が暮らしながら廃墟の町になっていく。外部からの物流を遮断し独占された貧しい暮らしの中で子供達はお菓子やおもちゃを与えられて、褒められることが嬉しくて善悪も分からないままISに参加して行く。
IS兵士が掛け声を上げる後ろを子供達の集団が笑顔で声を合わせて追いかけて行く様は場所が変われば楽しそうなキャンプにしか見えない。でも、その子供達が公開処刑で銃を持たされ、幼い子は縫いぐるみの首を笑顔でナイフで掻き切って褒められるという、この世の地獄。
選択肢がなく、生きていくことの絶望を目の前にした時にあちら側に行ってしまう事を責められるだろうか?。
映画はRBSSが報道で賞を取った授賞式で始まり、そこから回想する形で彼らの物語が始まり、授賞式で終わる。スポークスマンであるアジズ氏のスピーチで、人は自由と安全を求め、不安になると強いものに同化しようとする。ISがいなくなっても終わらないというような事を言ってて(うろ覚え)、内戦もテロも無いけど、その感覚は分かる。と強く思った。
言ってることもやってることも無茶苦茶なのに現政権を支持する層、排他的な団体、弱さの裏返しで弱いものいじめをして強くなった気になるような人達、カルト団体、不安から一足飛びに楽になりたいと隙を目指して支配する人達が現れるし、支配されることを望む人達が出てくる。その怖さは分かる。
戦争はなくなるかもしれないけど、戦争と言う形でない恐怖政治が人が生まれるかもしれない。この気持ちは絶対忘れてはいけないと思う。そして彼らが生きて現在も活動し、この作品が世界中に届いていることを本当に嬉しく思う。

興味のある方はこちらもどうぞ。RBSSホームページ。
http://www.raqqa-sl.com/en/
ちなみに、現在日本からシリアへ送金出来ないので、ホームページ内の寄付(donate)メニューから送金は出来ません。
米国のOFAC規制に準じるものだそうです。日本は別にシリアと戦ってないのに。なので、海外に行った時に送金するか、幅広い意味でシリア支援という事でトルコやヨルダンで活動している難民支援団体に寄付するかって感じですかね。

難民支援といえば衣食住を緊急支援、というのはまずありますが、その先にカウンセリングと教育ってのが大きな柱になっているのを見ます。
上記の映画を見てても思いましたが、勇ましく活動する若い彼らですが、辛い時に亡くなった弟にFBでメッセージを送ったり、亡命先で家族の写真を並べて体の震えが止まらなくなったり
、衣食住が足りたら次は心のケアが生きていくために必要なんだな、と。
そして、戦争を生む、支配する・される様な思考に至らないために教育が必要なんだな、と。

防衛だ外交だ貿易だ何だかんだと、政治の世界はやいやいやってますが、まず一旦、哲学からやろうよって思います。膨れ上がった欲望や思惑の落としどころを見つけて際限なく膨張してしっちゃかめっちゃかになってる部分はあるだろう。足し算を続けて行かないで、引き算をしてみませんかーって思う。誰に。

月曜なのに長くなってしまった。でも、私にとって凄い大きな2本だったから、やっと吐き出せてよかった。
次はペンタゴンペーパーズ、港町、と思いながらも、またこの2本を見たくなるからどうしよう。
ではおやすみなさい。
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