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まだ普通に建ってるんですよね・・・。 基礎の基礎。

2015年09月01日 | 建築

まだ普通に建ってるんですよね・・・ ××な基礎。


現場の近くで見かけた県内の某ローコスト住宅メーカーさんの現場。
基礎の配筋の工事中でした。(けっこうたくさん建てている建築会社さんですよ。)


でも、良く見てみると、いや良く見なくても、べた基礎の立上部分が明らかに連続していない。
これは、構造的に成り立っていないという事になります。


簡単に書くと、こんな感じでした。↓




本来はこんな感じ↓ に、布基礎、べた基礎問わずに、立上り(梁)を連続させてそのスパンで区画(プール)を作るのが基本です。




鉄筋コンクリート造の2階の床を考えるとわかりやすいのですが、↓



外周部とそれに直行するように梁があり、その中にスラブ(床)が形成されています。
スラブ(床)は4周の梁に囲まれてはじめて構造として成立するのです。 基礎も同じ鉄筋コンクリート造なんです。


このたび見かけた基礎は、立上り(梁)は外周部こそ連続していますが(当たり前ですが・・・
中通りは途切れ途切れで全く連続していません。
立上りはなくても地中梁などで梁を連続させる方法もありますが、それもしていない

べた基礎であろうが、布基礎であろうが、立上り(梁)が連続している事が基礎の基礎。

当然、立上り(梁)には人通口や出入口で開口する必要はありますが、そこはしっかり補強が必要で
地中梁があったりスラブの配筋が密になっていてしかるべき部分ですが、それは見当たらない。 

構造計算するとわかるのですが、耐雪1mの木造2階建て程度なら、2~3間程度のスパンで区画分けした方が経済的。
それ以上は、結構なボリュームの配筋やスラブ厚が必要になってきます。
予算や施工性を気にしなければ大スパンもありですが、普通は・・・ましてやローコスト住宅では適度な区画分けが経済的です。

おそらくこんな基礎でも、瑕疵担保責任保険の検査も問題なくパスしちゃうんですよね~ 

なぜかっていうと・・・ 現場検査は設計図通りにさえ施工されていればOKだからです。
その設計図が良いか悪いかなんて審査はありません
木造2階建て住宅は4号特例によって「構造に関する部分は建築主事の審査は要しない。」事となっており
構造計算していなくてもスル~なのです。

ちゃんと構造計算すればこんな基礎はありえないのですけど・・・
と言うか、こんなの構造計算する以前の「基礎の基礎」の話なんです。
そもそも構造的に成り立っていないのです。 

ローコストが悪いとは思いませんが、そういった住宅は性能表示や長期優良住宅の認定などを利用し、
性能評価機関での構造のチェックをしてもらった方が安心ですね。


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