下保内の住宅がいよいよ着工です。
高低差を利用して高さを抑えた2階建て。低いプロポーションが美しい

スキップフロア+吹抜けのあるプランです。

スキップフロアといっても、構造計算は[大屋根を有する建築物]の許容応力度計算でクリア。
普通に下屋のある建物と同じで、1階建て+2階建てのシンプルな構造モデル。
断面を見ると、よくわかります。

一般的に、スキップフロアの建物は構造的に成り立っていない場合が多いです

本当に多いんです! 要注意です!
スキップフロア(段差のある床)は、面白みがあって
階段室や吹抜けとつなぐと空間も広がり、開放感や抜け感がイイ。
でも、本当に危険な建物が多いんです!
なぜか? 2階の床がその段差部分で途切れているから。です。
地震力や風力などの水平荷重は、屋根や床を押して、それが耐力壁に伝わります。
その耐力壁が力を発揮することで、はじめて地震に耐える事が出来るのです

床に段差があったり、階段室で床が途切れている場合、地震力が耐力壁まで伝わりません

つまり、どんなにスジカイや面材で壁を強くした所で、地震に強い家にはならないのです

大きな吹抜けがある家も同じ事で、吹抜けにより2階床が途切れてしまいますので
2階床を押す地震力が耐力壁まで伝わりません

木造2階建て程度の住宅ですと、特例があって

こういった部分の構造計算をしなくても、普~通に家を建てる事が出来ちゃいます

ここで一つ。
一般の方はよく誤解されているのですが・・・
住宅の全て構造計算されているわけではない。
さらに、一級建築士の全員が構造計算を出来るわけではない。と、いうことです。
(むしろ、計算出来ない建築士の方が多いです。)
ですから、逆に言えば、ある程度構造の事をよく知っている設計者は、安易にスキップフロアや吹抜けのある家を提案しません

ただし、これら難しいとされるスキップフロアや吹抜けの構造でも、耐震性を高める方法がいくつかあります。
簡単なのは、吹抜け部分に床の代わりに梁組みや斜材を入れる。スキップの分割部分で耐力壁を配置する。などですが、
残念ながら、TVや雑誌で見る様なあの[開放感や抜け感]はあきらめなくてはなりません

そこで、上記断面の様に、最初のプランを検討する段階で、構造をブロック区画で分けて検討すれば
シンプルかつ確実に力が流れますので、開放的な空間を得ながら地震に強い建築物になります

本物件は、耐震等級は最高ランクの等級3です

長期優良住宅は等級2で良いのだけれど、十分な余力があったので等級3もクリアしちゃいました

住宅を建てるなら、シッカリと構造計算をしてもらいましょう。
もちろん、タダではないはずです。
シッカリとした費用をかけ 評価機関による審査も受けましょう。
そして、長期優良住宅の認定も取得しましょう。
「当社は、構造計算も省エネ計算もしてます。でも長期優良住宅の認定はおすすめしませんねぇ

って、どんな理由があるのかな~ 絶対におかしいですね~
まあ、時間も手間もかかるからね~ そんな理由かな?
