最近は夢を見ても、起きたら忘れている。
でも今朝は確かにに覚えていた。
メキシコに行く前に働いていた工務店の社長は、5年前に亡くなった。
私が帰国した年の忘年会に呼んでくださって楽しく飲んだのに、それからたった3ヶ月で突然いなくなってしまった。肺がんだった。
社長が出てきた夢の中で、まだ私は社員だった。
他所の会社を訪ねていて、ここは昔は土間だったのにすっかりリニューアルしてキレイになったな、なんて社長は元気で笑顔だった。Mさんもいて、なんだいつもの通りじゃないの。
目が覚めると、先ほどの私は今の私ではなかったと気付く。社長はいないのに、もう咲き始めた桜に誘われて、ちょいと顔を見せてくれたのだろうか。今はコロナ騒ぎで、社長が大好きな野球もまだ始まっていないのに。
なんだかハッとした朝で、彼方側のことに思いを巡らせたりした。Mさんに連絡して、久しぶりにあの会社を訪れてみようか。私を知っている職人さんは何人残っているだろう。
振り返ったり懐かしんだりするのは、案外必要なことなのかもしれない。弥生三月彼岸の月。来週あたり、聞いてみよう。