LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

西脇 来住邸と タイルの話

2007-09-21 19:37:35 | インテリア
兵庫県西脇市でのわずかの仕事の合間(ランチ休憩)に、
古い建物を見ることができました。

私は、育ったのが古い建築物の多い土地であるからか
古い家を見るのが大好きです。
「ちょっと気になるんです、すこしだけ見る時間ありますか?」とお願いし、
朝田木材さんの至近距離にある古いお家を拝見し、写真に納めてまいりました。

西脇市西脇にあるその家は、築89年。
”来住邸”(きし邸と読みます)と言って、市の文化財として公開されています。
400年続いた”来住家”は、山と田を持ち
建物の売買の商いをしていたのだそうです。
民家としては中型の大きさですが、銘木をふんだんに使った贅沢な造りです。
太い檜の大黒柱、屋久杉の天井板などいまでは入手困難な材ばかり。
ははーん、これがいわゆる貯木ってやつだなーと、頷きました。

 ”来住邸”

中型とはいっても広いお屋敷です。
プライベートな部屋と客間がはっきりと分けられていて、
渡り廊下でつながっています。

びっくりしたのは客用の”湯殿”(お風呂)です。
「なんですかー、このお風呂。やたらかわいいじゃないですかー。」
とおもわず大声をだしてしまいました。

 客用の湯殿
 
こちらがその湯殿です。
床と壁に貼られたタイルはフランスから取り寄せたものだといいます。
大正時代の和洋折衷な、当時でいうハイカラなお風呂です。

  

天井は井天井”(ごう天井)と言って神社や仏閣などにみられる特別な造りです。
ひさしは二重になっていて、ルーバーのような部分は換気の役割をはたしています。
洗面台は外国式に2台設置してありシャワーもついています。
「ただしお湯ではなく、水しか出なかったんですがね。」
と館内の方から説明されました。

実は私はタイル好きです。

古いタイルをどこに使うわけでもないのに持っているんです。

 Antique Tile

このアンティークタイルは“和製マジョリカタイル”といって
大正時代から昭和10年代にかけて日本で生産されていたものです。
近代の英国の装飾タイルを模倣したのだそうです。
イギリスの陶器メーカー”ミントン社”が「マジョリカタイル」という商品名で
売り出していたのを、日本でもそのままの呼び名としています。

国内でいくつかのメーカーがこのような美しいタイルを製造できるようになり、
当時の洋館や、旅館、一般建築の水周りに使われだしました。
ただ、これらの装飾タイルは手彩色による大変手間のかかるもので
一部の裕福層にしか買えない高級品だったといいます。
(やはり来住家のような大地主さんでないと買えないものだったんです。)

私も買おうか、買うまいかさんざん迷ったのですが
どうしても欲しくて、1枚ではなく
4枚にして柄の続いた状態で欲しくて
ついに買ってしまったタイルです。

ホリデー洋品問屋 Tel:03-3495-2178
という卸販売のお店で取り扱っています。
 


Niwa Coyaさんのお店にも、ハーフサイズの“和製マジョリカタイル”が
一枚売られています。
ロータスの絵です。
これならきっと1枚だけでも飾っておける柄です。

まさかタイル貼りのバスルームはできなくても、
4枚のタイルを大切にしていて
いつか何かに(部分だけでも)使えたらいいなと思います。

この度ひょんなことから
来住邸のタイルのお風呂を見ることができただけで
今のところ満足している私です。