もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

8 064 藤田孝典「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」(講談社現代新書:2016)感想4+

2019年07月12日 01時56分07秒 | 一日一冊読書開始
7月11日(木):  

222ページ       所要時間2:25       古本市場86円

著者34歳(1982生まれ)。社会福祉士。

日本は深刻な衰退状態にあり続けている。国家として未来の展望はほぼ行き詰まっている。何が問題か、どうするべきかは明白だ。それは本書に書かれている。端的に、是正のための財源はないのではない。「(富裕層から)取らないから、ない」のである(197ページ)。

本書に挙げられた内容、事例は具体的でわかりやすい。言いたいことが明快に伝わってくるが、いまいち心に響かない。眺め読みだからというのではなく、本書で投げられたボールの受け手の存在をイメージできないのだ。今の政府は、本書の内容を歯牙にもかけないか、敵視・攻撃するだけだろう。

大方の読者も「言ってることはわかるが、さて…どうしたものやら。どうなるものやら」空振り感を持つ気がする。これは、著者のせいではない。今の日本の政治状況が反映しているのだ。

今の自公政府のままでは、何も変わらない。結局、<政権交代>させるしかないのだ。これだけひどい若者の貧困世代、下流老人を生み、追い詰められているのに怒り方を知らない<ゆでガエル>状態の日本人というのは、もう終わってしまっているのかもしれない。今後10年間以上、大量の外国人労働者という最貧困層を抱えることで日本社会の貧困世代、下流老人をめぐる情勢は悪化こそすれ、改善は見込めない。

アベ自民と創価学会の罪は深重だが、<ゆでガエル>状態で何もできないで貧しく衰えていく日本・日本人は哀しい。

【目次】第1章 社会から傷つけられている若者=弱者(栄養失調状態で駆け込んでくる/事例1 所持金13円で野宿していた伊藤さん(21歳男性) ほか)/第2章 大人が貧困をわからない悲劇(あまりにも「しんどい」/ソーシャルワークという方法 ほか)/第3章 学べない悲劇ーブラックバイトと奨学金問題(ブラックバイトの発見/「殺してやるからな」 ほか)/第4章 住めない悲劇ー貧困世代の抱える住宅問題(住宅政策の議論は希薄/住宅は最大の福祉制度である ほか)/第5章 社会構造を変えなければ、貧困世代は決して救われない(アセスメントを最重視せよ!/生身の若者に接する大切さ ほか)

【内容紹介】学生はブラックバイトでこき使われて学ぶ時間がない。社会人は非正規雇用や奨学金返還に苦しみ、実家を出られない。栄養失調、脱法ハウス、生活保護…彼らは追いつめられている。

昨年『下流老人』が20万部超えのベストセラーとなった著者の新書第2弾!今回は若者の貧困に着目し、「一億総貧困社会」をさらに深く読み解く。これまで、若者は弱者だとは認められず、社会福祉の対象者として扱われなかった。本書では、所持金13円で野宿していた栄養失調状態の20代男性、生活保護を受けて生きる30代女性、脱法ハウスで暮らさざるを得なくなった20代男性などの事例から、若者の貧困を分析する。
 「貧困世代(プア・ジェネレーション)」は下流老人よりも悲惨だ!
 「現在の若者たちはもはや、ロスト・ジェネレーションのような一時的な就職難や一過性の困難に置かれているのではない。雇用環境の激変を一因とする、一生涯の貧困が宿命づけられている。
  若者たちは何らかの政策や支援環境の再編がない限り、ワーキングプアから抜け出せないことも増えてきている。
  ここでわたしは、現代の若者たちは一過性の困難に直面しているばかりではなく、その後も続く生活の様々な困難さや貧困を抱え続けてしまっている世代であると指摘したい。彼らは自力ではもはや避けようがない、日本社会から強いられた貧困に直面している。日本史上でも類を見ない、特異な世代である。
  だからこそわたしは、彼らの世代を、『貧困世代(プア・ジェネレーション)』と総称することにした」(「はじめに」より)
  大多数の若者たちは、現代日本の社会構造のおかげで、夢や希望を叶える活力を持ちながらも、それを生かせずにもがいている。しかも悪いことに、若者たちは支援が必要な存在だと認識されておらず、社会福祉の対象としては扱われてこなかった。/ 貧困世代約3600万人はまるで、日本社会がつくった監獄に閉じ込められている囚人のようである。
 若者は働けば収入を得られる、若者は家族が助けてくれる、若者は元気で健康である、昔の若者のほうが大変だった、若者の苦労は一時的なものだ・・・・・・こうした「大人の言説」はすべて間違っている。/ 本書では、所持金13円で野宿していた栄養失調状態の20代男性、生活保護を受けながら生きる30代女性、ブラック企業でうつ病を患った20代男性、脱法ハウスで暮らさざるを得ない20代男性の事例などの、筆者自らが聞き取った体験談を分析し、いかに若者が社会からこき使われ、疲れ果て、貧困に至っているのかを書き尽くす。/ 貧困世代のつらさを全国民が深く理解し、いびつな社会構造を変えなければ、下流老人も含めた日本固有の貧困問題は絶対に解決しない。

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