もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

5 047 上田紀行「かけがえのない人間」(講談社現代新書:2008)感想4

2016年02月01日 20時28分24秒 | 一日一冊読書開始
2月1日(月):  

245ページ   所要時間3:20     ブックオフ108円

著者50歳(1958生まれ)。文化人類学。東京工業大学准教授。

俺は、今の日本社会のあり方に、どうしてこんな当たり前のことが通らないのか、実現しないのかといういらだちを感じている。ほんとうに理由がわからない。著者には同様のいらだちがある。

かけがえない人間は、目的ではなく、行動への始まりである。能力があるから行動するのでなく、行動することによってその能力があったことを知るのだ。愛されるより愛する人間になりなさい。いろいろと語ってくれているが、当たり前のことが改めてしっかりと語り直されている。人間にとって何が大切なことなのかを語り直すことを通じて、現代日本でそれがいかに当たり前で有難いかが指摘されている。

本書のような本は少し困りものだ。著者の感性はよく理解できる。当たり前のことを改めて書き出せば、それこそ全部書き出すしかない。それならもう一度本書を読んだ方がよい。著者はあまり要領のよい生き方のできる人ではない。できればせずに済ませたいつまずきや挫折をたくさんしてきた。正直な人だ。

目次:プロローグ 交換可能でない「私」/ 第1章 ダライ・ラマの愛と思いやり/第2章 私たちは使い捨てじゃない/第3章 評価が、生きることの最終目標か/第4章 ネガティブなことに大きな価値がある/第5章 愛されるより愛する人になる

・私はそうした左翼には、かなり前から見切りをつけてしまった人間です。イデオロギーからモノを言う、自分の真心からではなく、組織の論理で見せかけの抗議をする。そういった欺瞞が以前の運動にはありました。口先では弱者のためにとか言いながら、自分たちはいつの間にか権威的な強者となっているといった構造があったのです。79ページ

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