もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

163冊目 ヘミングウェイ「誰がために鐘は鳴る(上) 大久保康雄 訳(1973)」(新潮文庫;1940) 評価4

2012年02月26日 06時46分39秒 | 一日一冊読書開始
2月25日(土):

413ページ  所要時間5:45

著者41歳。ヘミングウェイ(1899~1961;61歳没)は1954年にノーベル文学書受賞。

いつ買ったのか、記憶の無い劣化して黄ばんでしまった本棚の肥やしだった。先日NHKBSで映画を録画(観ていない)したのを微かなきっかけに手に取った。読むのを完全に諦めていた本である。とりあえず、1ページ30秒で読んでみて、2時間で半分まで耐えた。残り半分でペースが崩れ、睡魔に襲われ、筋が解らなくなりかけたりして少し苦しかった。とりあえず、上巻は目を通せたが、いま一つ物語りの世界に入り込めず、下巻をいつ読めるか、自信がない

舞台は、第二次世界大戦の前哨戦とも言うべき<スペイン内戦(1936年7月~39年3月)>。フランコ将軍のファシズム陣営に対する共和国軍(人民戦線政府軍)側の闘いを描く。義勇軍として参加したアメリカ人(モンタナ州の大学のスペイン語講師)ロバート・ジョーダンは、参謀本部ゴルツ将軍から、ダイナマイトでの鉄橋爆破の密命を受けて、共和国支持派ゲリラたちと合流、字も読めない、一癖も二癖もある農民・庶民ゲリラが一人ずつ丁寧に描き分けられ、一筋縄ではいかない作戦遂行への道のりが進行していく。ロバート(ロベルト)は両親をファシストに殺され、自らも凌辱され傷つき、ゲリラ隊のリーダー・パブロ(海千山千)の妻ピラール(肝っ玉母さん)に保護されていた美しいマリア(短髪坊主頭)と出会い、すぐに恋に落ちる。一方で、ゲリラの人々にとって人を殺すということが、どれほど重い心の枷となるか(特にアンセルモ老人)、それでも闘うことの意味と無意味に揺れる対立が描かれる。

上巻は約400ページもあるが、俺の読み違いでなければ、ロバートが来てから数日、長くても1週間ほどしか経っていない。従って、マリアとの恋は、まさに急転直下であった。場所も、ゲリラの親方パウロの洞窟のアジトとその周辺の爆破予定の鉄橋や、製材所や歩哨詰所、つんぼおやじ(*)の家などごく狭い範囲での出来事に終始し、時間的に、空間的に離れた世界は、登場人物の思い出話や記憶の中でしか出てこないし、大きな戦闘シーンなど皆無である。「別に関係ないことやけど、この作品って、舞台化しやすいやろなあ。映画化しても予算は少なくて済むやろなあ」と余計なことを考えてしまった。
(*)翻訳が39年前で仕方がないのだが、つんぼおやじ、唖(おし)、めくら、きちがい、ジプシー、くろんぼ、など今の感覚で聞くとどぎつい差別用語で、正直“心に痛み”を覚える響きの言葉が、バンバン出て来て強い戸惑いを覚えた。

スペイン内戦は、結局、フランコ将軍のファシズム陣営が勝利するのが歴史的事実なので、「人民戦線派ゲリラの闘いも、アメリカ青年ロバートと不幸なスペイン美女マリアの愛のゆくえも厳しい破滅に向けて苛酷の度を強めていくんだろうな」という想像はつくのだが、これまた429ページもある<下巻>を読むのは、相当の覚悟が必要で、読めるかどうか自信はない、のである。

第一次世界大戦後、ドイツに過酷過ぎる処罰を与えたのが、第二次世界大戦の原因なのは周知の事実であるが、1929年世界恐慌で世界の協調体制があまりにももろく崩れ去ったのには、近代国家のビジョンへの確固とした哲学をしっかりと考えていく必要を痛感する。

◎それにしても、人民戦線側による、フランコ派に対する公開の集団リンチ、死に至る処刑のシーンの紹介には大きなショックを受けた。これまで持っていた「人民戦線は良い者」という先入観が崩れた結局、現場レベルで、戦争に正義や・大義もくそもないのだ。あるのは残忍な憎悪と殺人である

◎登場人物:
ロバート(ロベルト)・ジョーダン:アメリカ・モンタナ州のスペイン語講師。義勇軍に参加。共和国軍参謀本部から鉄橋爆破の指令を受けて赴任。
アンセルモ:ロバートにとっては一番信頼できる仲間。妻子の無い孤独な老人。過去の戦闘での殺人に深く心を傷つけている。
パブロ:ゲリラの親方。残忍で海千山千の悪党。今回の作戦には非協力的。
ピラール:パブロの妻(再婚)。強力な共和派。今は弱気なパブロよりもゲリラたちへの影響力大。
フィニート:思い出の中の人物。ピラールの最初の夫。貧しい出自と貧弱な体躯で、闘牛士となり、牛の反撃による傷がもとで死去。
マリア:両親をフランコ派に殺され、共和派に保護を受けている。ロベルトと出会い急速に恋に落ちる。
ラファエル:攻撃的で過激なジプシー
フェルナンド:インディアン?
アグスティン:黒人?。
etc.

※体力の限界です。   もう寝ます。

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