もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

175冊目 生田武志「貧困を考えよう」(岩波ジュニア新書;2009) 評価5

2012年03月09日 08時23分27秒 | 一日一冊読書開始
3月8日(木)

223ページ  所要時間5:25

なんとか読み終われたが、コメントの時間がない…。著者45歳(1964生まれ)。意欲的で熱い内容の本だ。テキスト。内容の豊富さ、ボリューム感に圧倒される。一読だけでは、頭に入りきれないが、何度も読み返す価値がある152冊目 生田武志「ルポ最底辺―不安定就労と野宿」(ちくま新書;2007)評価5の著者でもある。

それにしても、今、「貧困問題」を扱った著作が本当に充実している。
・170冊目 湯浅誠「どんとこい、貧困! よりみちパン!セ」(イースト・プレス;2011)評価特5
・169冊目 堤 未果「社会の真実の見つけかた」(岩波ジュニア新書;2011) 評価5
・156冊目 阿部 彩「子どもの貧困」(岩波新書;2008) 評価5
・86冊目 青砥恭「ドキュメント高校中退―いま、貧困が生まれる場所」(ちくま新書;2009)評価5
・38冊目 湯浅誠著「反貧困―『すべり台社会』からの脱出」(岩波新書;2008) 評価5
・35・37冊目 堤未果「ルポ 貧困大国アメリカⅠ・Ⅱ」(岩波新書;2008・2010) 評価5・4

少し思いつくだけでも、これだけのテキストが、挙げられるのだ。理由は明らかだ。この貧困問題がそれだけ日本社会をむしばむ深刻かつ喫緊の社会問題なのだ

「新自由主義」という美名のもとにアメリカのあとを追いかけて、「小さな政府」「規制緩和」「何でも民営化」「労働者派遣法改悪」「(自立できないのに)障害者自立法(応能負担→応益負担)」「女性の自立支援法」etc..小泉・竹中時代を中心に、自民・公明連立政権と財界が調子に乗って、人間をモノとして扱い、社会のセーフティ・ネットを食い散らし、大切な中間層を崩壊させて、深刻すぎる富の偏在・格差と貧困層(ワーキング・プア)を造り出してしまったのだ。そして、何よりも許されないことは日本の未来を担う大切な子どもたちの世界に深刻な格差と貧困を生み出してしまったことだ。

自分は無関係だという顔をして「自己責任論」を振りまわす、財界も政治家(特に自民党・公明党)も本当に恥知らずだ我々大人は、子どもたちに対する責任を深く自覚するとともに、まず自分ができることから手を付けて、早急に行動を始めるべきなのだろう。そのために、本書をはじめ、上記の著作は力強い指針となることを、俺は皆さまに保証します!。間違いないです!。

それにしても、橋下大阪市長の市長選での私怨に基づく権力闘争ごっこのニュースは、何とかならんものか…。彼はラグビーをしていたのなら、ノーサイドという言葉を知っているだろう。市長になって彼は権力者の地位に就いたのだ。今さら自分に敵対した公務員の組合員を、市長の権力で、批判勢力を血祭りに上げる行為を有権者の誰が彼に期待したというのだろう! その結果として、市役所内をイエスマンばかりの“さら地”にした後に、どんな建設的な政策が実現できるというのか。大阪市内の人々の暮らしを、つぶさに周知しているのは、市長が強く批判している市役所職員たちだろう。彼らの多くを血祭りに上げてしまっては、血の通った行き届いた政策・住民サービスは不可能だろう。

国政とはシステムの違う地方自治で、直接選挙で選ばれた市長が、議会の中に国政気どりで彼の下品な与党(大阪維新の会)を持って、好き勝手な恣意的政治をしようと考えているとすれば、もう息苦しさを覚えてしまう。

しかも、橋下大阪市長の目指すのは、日本の社会の良質なコア部分を壊してしまった小泉・竹中時代の市場原理主義、新自由主義、弱者切り捨てというより弱者に無関心な政策である。何の目新しさもない! 古臭い見世物を、毅然として?弱者を叩き伏せる(強きに阿り、弱気を挫く)形で演じようとしているのだ。もう、ええわー、臭過ぎる。橋下大阪市長の臭い田舎芝居に付き合う余裕は日本にも大阪にももうない。

社会保障制度を世界で最初に整えたのは、あのドイツのビスマルクだ! 彼はドイツを弱くするために、社会保障を充実させたのではない! 逆に、ドイツ国民一人ひとりを大切にすることによって強いドイツを実現したのだ。今、日本に必要なのは、真の強い日本・大阪を生み出すためにこそ、貧困問題の早期解決をめざす社会保障制度の再建・強化を強く推し進めることだ。そのための、痛みであれば、きつくて辛くても俺は、受け容れるつもりだ。

念のために言っておくが、俺は、大阪市役所の関係者では全くありません。一市民の立場からの純粋な意見の表明である。

あれれ、本書の内容紹介が、全然できていない。時間がないです。また、書き加えることができればやりたいと思います。とにかく、本書はテキストです!

*裏表紙:「大阪市のある区では、就学援助支給率が50%にもなっているという。いま、経済的理由で進学できなかったり、中退する生徒も各地で急増している。子どもや若者、また女性や高齢者の生活に重大な影響をおよぼす貧困、その実態を見つめ、問題解決の方法を考えてみよう。」

■目次
 いすとりゲーム/自立って……/気球社会から砂時計社会へ/カフカの階段
1章  二人のひろし:1999年9月8日・池袋/1993年の子どもの貧困/1993年7月「ホームレス中学生」/1993年の父子家庭の貧困
2章  日雇労働者の貧困――あいりん小中学校:1986年・釜ケ崎/釜ケ崎の子どもの貧困―あいりん小中学校/日雇労働者がリハーサルし、フリーターが本番をしている/
3章  子どもの貧困:子どものための炊き出し―児童館の取り組み/「100年に1度」の世界不況の中で/病院に行けない子どもたち/学校に行けない子どもたち/子どもの貧困大国・日本/母子家庭の貧困/母子家庭への「自立支援」政策/子どものためにお金をどう使っているのか/親の経済力におうじて、経済力に不平等に教育を受ける/貧困と学力・意欲の格差/貧困の連鎖/貧困と暴力・児童虐待と子どもの野宿/
4章  大阪市西成区で
 1 ケース会議:大阪市立鶴見橋中学校・西川先生の話/大阪市西成区の公立中学校・T先生の話
 2 反貧困の教育:西成高校の人権総合学習/肥下先生の話/子どもへのベーシック・インカム
5章  激化する貧困:貧困とは何か―経済大国で貧困大国の日本/格差と貧困/先進諸国にひろがる「新しい貧困」/自殺か刑務所か野宿かの究極の三択/なぜ貧困が拡大するのか(1)―ワーキングプア・失業・無業、小売店・農漁業の衰退/なぜ貧困が拡大するのか(2)―高齢化・所得再配分の弱さ/女性と貧困/パイの分配とお金持ちのおこぼれ/「カフカの階段」で貧困問題を考える/Aさんの話/障害者の貧困/上野耕一さんの話/家族からの排除・脱出/Dさんの話―DVの問題/住居からの排除―ハウジングプア(住居の貧困)/金銭からの排除/崩壊したセーフティネット/外国人は生活保護を受けられるのか/はし本郁さんの話/野宿者と「ホームレス自立支援法」
6章  貧困の解決のために:壁から階段へ/いすとりゲームとカフカの階段/柔軟性と生活保障―フレキシキュリティ/「ネットとトランポリン」/貧困ってなんだろう―経済の貧困と関係の貧困
あとがき―池袋から秋葉原へ


もう寝ます。

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