もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

6 004 中屋健一「世界の歴史 11新大陸と太平洋」(中公文庫:1961)感想5

2016年09月10日 21時33分19秒 | 一日一冊読書開始
9月10日(土):  

509ページ    所要時間4:00     ブックオフ105円

著者51歳(1910~87:77歳)。

放っておけば、死ぬまで読めない本だったので、1ページ15秒をベースに最後まで眺め通すことを意識して取り組んだ。数十か所に付箋をした。細かい部分の理解は不可能だが、俺自身が持っているアメリカ大陸や太平洋の島々、オーストラリア、ニュージーランドに関する知識が、物語性の高い著者の記述の中で次々と語られていくことで、知識にストーリー的座標?が与えられていく感じがして心地よくもあった。

1960年代の中公文庫の「日本の歴史」「世界の歴史」シリーズは、戦後の歴史全集の先駆けとして、先行著作に気兼ねなく、各時代や各地域の歴史的知識の原点ともいうべき記述にあふれている。いわば、物語的歴史の典型が記されていて今も使える部分が多い。もちろん、アボリジニを平気で土人と記すのをはじめ、先住民側からの視点を欠くなど、記述の中には、すでに許されない内容も少なくないが、そういう部分を意識して読めば、今も十分に一級の著作と言える。

1607年のイギリス船上陸から第一次世界大戦まで300年間のアメリカ合衆国の歩みが濃厚な内容で500ページに凝縮されている。本書を読んで、改めてアメリカの若さを認識できた。江戸時代の、モリソン号事件や、ビッドル、ペリーの来日も、進行形の国家としてアメリカが日本に接してきていたのだと感じた。

著者は、アメリカは「合州国」ではなく、「合衆国」の記述(福沢諭吉)こそが正しいと述べている。「合州国」の記述が正しいと主張する本多勝一氏とは、逆である。どっちが正しいのだろう?

「日本の歴史」シリーズとは違って、最後に、年表はあるが、索引がないのは少し致命的なマイナスかと思う

【目次】新しい土地と古い人々/植民地の人々とその生活/自由と平等を求めて/新しい国づくり/西へ向かう若い共和国/ジャクソニアン・デモクラシー/西部開拓と奴隷問題/避けえられぬ南北の争い/南北戦争とリンカーン/憎悪と汚職の再建/「泥棒貴族」たちと労働者/大いなる西部の発展/インディアンと最後のフロンティア/新しいアメリカ社会の出現/ラテン・アメリカの動き/世界的強国への躍進/一九世紀末のアメリカ/進歩と革新の時代/南太平洋の楽土

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