もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 069 司馬遼太郎「翔ぶが如く (一)」(文春文庫:1972~76) 感想5

2015年04月26日 00時14分16秒 | 一日一冊読書開始
4月25日(土):

概要(ウィキペディア):1972年(昭和47年)1月から1976年(昭和51年)9月にかけ、「毎日新聞」朝刊に連載された。
薩摩藩士として明治維新の立役者となった西郷隆盛大久保利通。この二人の友情と対立を軸に征韓論・ 明治6年政変などを経て、各地で起こった不平士族の反乱、やがて西南戦争へと向ってゆく経緯と戦争の進行を、著者独特の鳥瞰的手法で描いた。「坂の上の雲」と並び、司馬作品中で最も長い長編小説で、登場人物も西郷・大久保以外に極めて多岐にわたる。中でも薩摩郷士の代表として大警視となった川路利良と、幕末期は西郷の用心棒として、維新後は近衛陸軍少将として薩摩城下士のリーダー的存在となった桐野利秋の二人が重要な位置を占めている。
初版単行本は、1975年(昭和50年)から翌年にかけ、文藝春秋全7巻が刊行。1980年(昭和55年)に文春文庫全10巻(新装改版2002年(平成14年)、解説平川祐弘)が出版された。
1990年(平成2年)のNHK大河ドラマ『翔ぶが如く』の原作となった(なお前半部は幕末期で、『竜馬がゆく』他の司馬作品が原作となっている)。ドラマ化に併せ『「翔ぶが如く」と西郷隆盛 目でみる日本史』(ビジュアル版文春文庫、1989年11月)が出版された。


323ページ   所要時間 3:55   蔵書

著者49~53歳(1923-1996)。

本書第一巻を読むのは、最低でも4回目である。近くでは2008年に読んでいる。ただ文庫本全十巻を通読できたことは未だない。第四巻までは読んだ記憶があるが、残る6巻は未読のままである。『坂の上の雲 全八巻』は最低でも二度通読しているが、『翔ぶが如く 全十巻』は、俺にとって未踏峰のままである。

大河ドラマ『翔ぶが如く』(1990年:第一部幕末編29話&第二部明治編19話)は観ているし、総集編は数え切れないほど繰り返し観ているので、「晋どん、ここらでもうよか」など内容は全部覚えている。本書は第二部明治編の原作になっていて、第一部幕末編は他の司馬作品をもとにした脚本家の創作である。西田敏行の西郷と鹿賀丈史の大久保は、これ以外考えられない程のはまり役である。また、加山雄三の島津斉彬がとにかく良い。俺の中の歴代大河ドラマ・ベスト5に入るすばらしい作品である。

本書を読む際、これまで途中で挫折してきた最大の原因は、全盛期の司馬遼太郎の長編作品の膨大な情報量と瑣末ですらあるその寄り道的な話の豊富さに真面目に付き合い、身になる情報として覚えておきたいなどとやたらがっぷり四つに組み合って圧倒され遅読となり、力負けして挫折するというパターンを繰り返してきたのだ。

今回はあまり体調はよくないが、付箋など抑制的にして、1ページ30秒のペースを墨守して読み通すことを最優先の課題とした。全巻いけるかは自信が無いが、とりあえず始めの一歩はできた。本書の内容については、素晴らしいの一語に尽きる。見も蓋もある歴史絵巻としか言いようがない。

島津斉彬の京都出兵計画は、薩長同盟、京都政権樹立、鳥羽・伏見の戦いと同じであった。

・完全に敗勢の西南戦争に際して:増田は落涙し、/「君たちは隊員であったから、西郷という人を知らない。自分はたまたま隊長役をひきうけたために、この一軍の軍議にも出た。西郷という人にも接することができた。あの人に接してしまえばもはやどうにもならない」/と言い、以下、増田は中津に永く語り伝えられたところの有名な言葉をのべた。/「かの人はまことに妙である。一日かの人に接すれば一日の愛生ず。三日かの人に接すれば三日の愛生ず。しかれども予は接するの日をかさね、もはや去るべくもあらず。いまは善悪を越えて、この上はかの人と死生を共にするほかない」/増田宋太郎というこの若者は、西郷の弁舌に打たれたわけでもなく、西郷の文章を多く読んだわけでもなかった。かれはじかに接しただけのことであり、それでもって骨髄まで染まるほどに西郷の全体を感じてしまったのである。 288~289ページ
 (俺自身、若い時、「もし西郷さんに自分の名を読んでもらったとしてら、この人のために死ねるだろう。」と考えていた時期が長くあった。今はどうか…、でも今であっても直接に西郷さんに接すればこの人と一緒に死ねるだろうと思う。そんな存在に出会えたことを喜びつつ。)

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