もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

3 040 相澤 理「歴史が面白くなる東大のディープな日本史」(中経出版;2012) 感想2

2013年12月18日 22時56分43秒 | 一日一冊読書開始
12月18日(水):

269ページ  所要時間 1:45       図書館

著者39歳(1973生まれ)。予備校講師。

買わなくて良かったと心の底から思った。「子供のころから十分過ぎるほど偏屈だった筆者(265ページ)」は、十分過ぎるほど東大の権威にしがみ付き、独り善がりな本を書いて自己満足に浸っている。

俺は本書を軽蔑する。本ブログ読者には、購入・読書しないことをお勧めする。と言われれば読みたくなるかもしれないですが、そういう人は「どうぞご自由に」。きっと面白くないですから! 誰を楽しませようというのか、わからない、コウモリのような本だ。

まず、この本を読んで、「なるほど」と力を伸ばせる受験生はいないだろう。模範解答自体が、およそ高校生・浪人生の歴史の実力を前提にせず、大人の歴史好きのレベルから見下ろすような、およそ馴染めないまとめ方の内容になっている。解説では、きちんと教科書の内容を踏まえた上での説明すらきちんとなされていない。

では、歴史好きの大人は本書を読んで楽しめたか…? 正直、俺は全く楽しくなかった。著者は、所詮研究者ではない。内容は、陳腐で新味が無く、歴史の事実関係としては「ホントかよ?」と言いたい場面が多く、独り善がりさに違和感を感じた。

全く好きなように書き散らした内容の中途半端さの言い訳に「東大の日本史」という薄汚れた箔付けをして誤魔化そうとしている。また、このキャッチコピーで読んでしまった自分が悲しい。

著者は偏屈を気取っているが、十分過ぎるほど、世俗的で、権威主義的である。歴史上の人々の気持ちを理解する上で、この感覚は、重大な欠陥を持つと感じた。

最大の証拠は、著者がしたり顔で論じる学校における「日の丸・君が代」問題に対する考え方である。学校現場の教師や生徒・保護者の思いは多様で輻輳している。そんな複雑な状況の存在を理解し汲み取ろうとする意志が全く感じられない。頭の固い意固地さと、視野の狭さを露悪趣味で見せつけられただけのような気がするのだ。

世の中は、著者が、予備校で見ている風景よりもはるかに複雑である。歴史や当事者に対する謙虚さの欠片もなく、日の丸・君が代をこれほど単純化した見方しかできないことを恥としない人間が現れてきたこと自体に歴史の変化と恐ろしさを覚える。しかもその人間が日本史を扱っているのだ。著者には、ぜひ鹿野政直先生の著書を読むことを勧める。

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