映画も久しぶりだったな。
一言で言えば「良かった」です。
若い子は暗いと感じるかもしれないけど、わたしにはすごくリアリティが感じられた映画です。
「浮かれて調子のいいことばっかり言ってんじゃねえぞ」といわれたような気もします。
非常にミーハーなところから入りますが、妻夫木君はきれいな子だと思ってましたから、汚れ役を演るにはある程度の役者としてのキャリアが必要、彼もそうした時期に差し掛かってたんだなと思いました。
大学生役の岡田将生君も今をときめく美形男優。しばらくはその端正な美しさを生かした正統的なラブストーリーもので輝いて欲しいと勝手に願ってますが、いずれ彼にもそうした機会が巡ってくることでしょう。それまで折れずに役者を続けて行って欲しいですね。
さて、深津絵里さんはいつも瞳が「ひたむき」な光を放っているような印象がありますが、今回は静かな凄みを感じました。
それにしても、役者さんというのは毛穴のひとつひとつまでも大写しされて、容赦なく人間性を剥いでいかれるような過酷な仕事なんだろうなと思わずにはいられませんでした。
人に見せたくない醜い顔もさらけ出さなければなりません。
自意識の強い人間には絶対不可能な仕事です。
さて、ストーリーの方からのアプローチはネタバレになるとまずいのでどこまで言っていいものか迷うところだけど、殺された女性にも少なからず自業自得的落ち度があったのではと感じるように描かれていたような気がします。但し、本人にその自覚はなかったろうし、被害者を糾弾するというよりは、ちょっとしたタイミングのズレで物事はあっという間に予想もしない方向に加速して展開していくものだという怖さが描かれていたということでしょうか。
誰もが持ってる軽さや狡さや愚かしさ、しかし愛する者を守ろうとする強い気持ちや熱い気持ちも同時に持ち合わせているという人間の複雑さ。
勧善懲悪というのはドラマの世界のみだとつくづく思い知らされますわ。